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MAD LIFE 369

25.最後の嵐(4)

2(承前)

 真知の声がした方向にライトが移動する。
 三つの人影が浮かび上がった。
「八神!」
 ライトの中の人影を見て浩次が叫ぶ。
「八神……おまえまでどうして……」
 八神の手にしたジャックナイフの先は真知の喉もとに当てられていた。
「真知!」
 娘のそばへ駆け寄ろうとした徹に、
「動くな!」
 郷田が怒号を飛ばす。
「動くと娘さんの命はないぜ」
 徹は立ち止まるしかなかった。
「……卑怯者め」
 唇を噛んでそう呟く。

 三つの人影が浮かび上がったとき、洋樹と中西は同時に別々の言葉を口にした。
「俊!」
「真知!」
 叫んだあと、ふたりは顔を見合わせた。
「どうして俊が……」
 洋樹は呆然と呟く。
「真知! 今行くぞ!」
 中西はその場を離れ、倉庫に向かって走り出した。
「馬鹿、待て。中西、待つんだ!」
 洋樹は慌てて中西のあとを追いかける。
「真知!」
 中西の声を聞いて、真知の視線が動く。
「……中西さん?」
「ああ、そうだ。真知、待ってろ。今すぐ助けてやる」

(1986年8月16日執筆)

つづく

1行日記
明日は全統一次模試だったりする……

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