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MAD LIFE 376

25.最後の嵐(11)

5(承前)

 突風。
 それはまさに天の救い――神風だった。
 突然の強風に砂煙が舞い上がる。
 郷田は砂を避けるために目を閉じた。
 ……今だ!
 俊はチャンスが訪れるときをずっと待っていた。
 犯人たちの一瞬の隙。
 それを狙っていたのだ。
 身体をひねり、郷田の左脚を力いっぱい蹴る。
「ぐっ……」
 郷田は奇妙な呻き声をあげ、バランスを崩した。
 まともに戦ったらとても太刀打ちできる相手ではなかっただろう。
 しかし、彼は左脚を負傷していた。
 苦痛に耐えられず、全身から力が抜け落ちるのがわかった。
 銃が地面にこぼれる。
姉さん! 早く逃げて!」
 俊は叫んだ。
 瞳は銃を拾い上げると、それを素早く海へ放り投げた。
「小僧!」
 八神が手に持っていたナイフを俊に向ける。
「ぶっ殺してやる!」
 凄んだ表情を見せたが、次の瞬間、彼は白目をむいてその場に倒れた。
「……え?」
 八神の後ろには、大きな石を両手に抱えた真知が立っていた。
 形勢は一気に逆転した。 
 誰もがそう思ったのだが――

(1986年8月23日執筆)

つづく

1行日記
なんと一昨日盗まれたパンツ等、すべて馬道のあたりで発見されたのだ!
(※馬道は自宅近くの地名)


 

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