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1996ベストミステリを語る 04

速報!「このミス」ベスト10(96 12/9)

「じゃ、次のアンケートに行く?」
「ちょっと待ったぁぁ!」
「ど、どうしたのよ。急に大声出して。なに? あたしの美しさに欲情でもした? 駄目よ、今はまだお・あ・ず・け」
「そうじゃなくて、『このミス』のベスト10が判明したんで、今回はそれをお伝えしようと思います」
「あら? でもまだ『このミス』、発売されてないんでしょ?」
「明後日(11日)発売だってさ。で、昨日、本屋へ行ったら、店頭に一足早く結果が張り出してあったんだ」
「ま、先走ってもよかったのかしら? でも書店に結果発表が張り出してあるってことは、ここで公開しても別にかまわないはずよね?」
「おそらく。……とにかく泣いても笑っても、明後日には発売されるわけだし、案外、首都圏なんかでは今日ぐらいに書店に並んでいるのかもしれないし、『速報!』ってほどの価値はないかもしれないけど、ままま、とりあえずベスト10を眺めてみることにしましょう。あ、でも国内だけね。海外はまったくわからないから」
「じゃ、10位から見ていきましょうか。今年の第10位!」
「『人格転移の殺人』!!」
「きゃあああ、愛しの西澤さんがベスト10に入ってきたのねぇぇ。あたし、感激だわぁぁ。おしっこ漏らしちゃいそう」
「うん。これは予想してなかったな。昨年の『七回死んだ男』ほどにはインパクト強くなかったから……でも嬉しい。ますます頑張ってもらいたいです」
「続いて第9位! じゃじゃん!」
「『雪蛍』。あ、未読だからコメントできず。でも年内中には読もうと思ってます」
「そして第8位! じゃじゃじゃん!」
「『家族狩り』。昨年末の出版だから、どうしても印象が薄くなっちゃうんだよね。なのに、堂々の8位。すごいっす」
「確かに、あの分厚さを一気に読めちゃったもんね」
「とにかくホントに怖いんだよ。親子愛情ものって結構くらくらきてすぐに涙を流しちゃう方なんだけど、だからなおさら、恐ろしかったね」
「さてさて第7位は?」
「『鉄鼠の檻』。うむ。やはりこの人は入ってきますね。『絡新婦の理』は『このミス』では今年の対象作とはなってないけど、この2冊を比べた場合、『鉄鼠』の方が好きって人も結構多いみたいね」
「さぁて6位よ!」
「『蒼穹の昴』。おおお、ミステリーではないから、ランクインは難しいのではと言われていたようですが、こんな上位にまで食い込んできましたねぇ」
「これも未読。……ここまで話題になったんだから読んでみたいんだけど、あたしの趣味に合うかなぁ……ってちょっと不安なのよねぇ」
「分厚いしね。でもいずれ読んでみたいです」
「続いて第5位! べべべん!」
「『海は涸いていた』。うむ。これも未読なんだな。今、読み始めたところだから、近いうちに感想はアップできると思います」
「第4位!」
「『蒲生邸事件』。おお。正直、ここまで高い位置にくるとは思ってなかったな。今年は長編はこれ一冊だけだったからね。もしあと何冊か出していたら、もっと票がばらけていたかも」
「さあ、いよいよベスト3よ。なにがランクインしてるのかしら? まず第3位は?」
「『名探偵の掟』。前々回いろいろと述べたんで、詳しくは語らないけど、やったぜ、東野さん! ってな気持ちです」
「そして第2位!」
「『奪取』。うん、これは面白かったもんね。今年、唯一の徹夜本だったんじゃないかな。とにかくページをめくる手が止まらなかったもん」
「……じゃかじゃかじゃかじゃかじゃぁぁん。さあ、感動の第一位は!」
「『不夜城』。これには賛否両論あるみたいだけど、僕は全面的に賛成します。ホント、面白かったもん。こういう世界を描いた小説があまり好きでない僕でも、これだけのめり込めたんだから。予期しなかったラストも気に入ってるし。読んだあとも、あの話題で盛り上がったし(笑)」
「そんなこんなで、『このミス』はまもなく発売よ。発売されたら、またいろいろコメントしたいと思います」
「んじゃ、また」

解説

~人格転移の殺人~
 「人格転移の殺人」(西澤保彦*講談社ノベルス)
 宇宙人が残していった謎の機械が引き起こす大混乱。SFなんだけども、本格ミステリしてます。

~七回死んだ男~
 「七回死んだ男」(西澤保彦*講談社ノベルス)
 時間のしゃっくりに巻き込まれてしまった少年が殺人事件の真相を暴く。昨年度の私のベスト1ミステリ。

~雪蛍~
 「雪蛍」(大沢在昌*講談社)
 私立探偵佐久間公が戻ってきた! 夜の世界に君臨する大物ファミリーの娘を追うその行く手には……。

~蒼穹の昴~
 「蒼穹の昴」(浅田次郎*講談社)
 清朝末期の激動の時代を生き抜く男たち。作者の力量を十分に見せつけた大作……らしいがまだ未読。

~海は涸いていた~
 「海は涸いていた」(白川道*新潮社)
 血であがなわれた究極のウルトラCとは? ハードボイルドの逸品!

~蒲生邸事件~
 「蒲生邸事件」(宮部みゆき*毎日新聞社)
 二二六事件の起こった時代にタイムスリップしてしまった受験生。そこで起こる密室殺人事件の真相とは? ……といっても本格モノではない。

~奪取~
 「奪取」(真保裕一*講談社)
 偽札作りに情熱を燃やす若者。果たしてその企みは成功するのか? 真保さんの新たな境地!

~不夜城~
 「不夜城」(馳星周*角川書店)
 派閥と差別の中で生き抜いていく男。新宿の裏の世界を描いたクライムノベル。


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