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だるまさんがころんボ! 45

FILE.45 策謀の結末

 銃器の密輸を計画していた詩人ジョー・デヴリンは、金を持ち逃げしようと企んでいた銃の仲買人ポーリーを裏切り者として処刑する。捜査に乗り出したコロンボは早速、犯行現場となったホテルの一室から、ポーリーの残したメモを見つけ出し……。

 犯行現場から見つかったメモを取り出すコロンボ。そこには〈LAP
213〉と記されている。
「……これになにか特別な意味があるとでも?」
 メモに目をやり、そう尋ねるデヴリン。
「犯人が探していたものは、これじゃないかって気がするんですがね」
 コロンボは彼の表情をうかがいながら、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「興味ある見解だ。さて、この暗い霧の中から、どんな真理が引き出せるか……」
 寝室のベッドに横たわり、推理を始めるデヴリン。
「LAP……LA213だとロスの市外局番だがな」
「それじゃあPが余っちゃいますよ」
「ああ、そうだ。それにロスにいる人間が、ロスの市外局番をメモするわけないし」
「普通、そんなことはしませんね」
「LAP……誰かの頭文字かな?」
「すると213はどうなります?」
「貸金庫の番号?」
「それはいい。メモしておきましょう」
 笑みを漏らすコロンボ。
「P……ポリス。警察バッジの番号」
「それもいけますな」
「車のナンバープレート」
「すごい」
「会員制クラブの会員番号」
「それもいただきです」
「アメリカ以外の国の郵便番号」
「をを! 日本の神奈川県川崎市高津区の郵便番号が213です。もしかしたら、この場所にLAPという名前のなにかがあるのかもしれませんね。調べてみましょう」
 いつからそんなものを持っていたのか、日本地図が描かれた分厚い本を広げるコロンボ。
「見つけましたよ。溝の口駅近くに、LapisLazuliという名前のマンションがあります。この近辺が怪しいですね。……あ」
「どうした? なにか見つけたのか?」
「LapisLazuliのすぐ近く……高津区溝の口2丁目13番地に〈くちなし〉という名前のレストランがありました」
「LAPの近くにある213……それに間違いない! 彼はきっと、その場所をメモしたんだな」
「おそらくそういうことなんでしょうな」
「しかし、それならどうしてレストランの名前を記しておかなかったのだろう? わざわざ近くにあるマンションの名前をメモするなんて」
「これはおそらくダイイングメッセージです。ポーリーさんは自分が殺されるかもしれないと思い、あらかじめ犯人の名前を残しておいたんですな。犯人に見つかってもばれないよう、あえてこのようなわかりにくい形で書き残したのだと思います」
「つまり、犯人は〈くちなし〉に関する人物だと?」
「そのとおり。詩人にくちなし。つまり犯人はデヴリンさん、あなたです」

▼作中に登場する地名、マンション名、店名、住所はすべて現実のものです(ただし、二〇一四年十二月現在)。
▼最終話にふさわしいスケールの大きなお話。瓶に残った傷がどれも同じである理由に、もうひとひねりあったらよかったんだけどなあ。

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