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だるまさんがころんボ! 40

FILE.40 殺しの序曲

 天才だけが入会できる「シグマ協会」会員のオリヴァー・ブラントは、手の込んだアリバイトリックを利用して、友人のバーティを殺害する。しかし、コロンボにすべて暴かれてしまい……。

「警部。おたくの知能指数はいくつでした?」
 ソファに寄りかかったまま、コロンボを見上げるオリヴァー。すべての罪を認めた彼だったが、しかしその瞳は輝きを失っていない。自分と同等か、あるいはそれ以上の知性を持つコロンボに、いまだかつてない喜びを感じている。
「それが知らないんだ」
 首を横に振るコロンボ。
「きわめて高いでしょうな」
 調べてみるべきだと、机の引き出しに手を伸ばすオリヴァー。
「ここにテストがあるはずだが……ああ、これだ」
 一枚の用紙を取り出す。
「そういうのは苦手なんですよ、あたしゃ」
「いや、そうとは限りませんよ。じゃあ、中でも難しいのをやってみましょうか。……これがいい」
 とびきりの難問を見つけたオリヴァーは、わくわくしながら続ける。
「では、単語を四つ出しますが、ひとつ共通点がないものをあげてください。借用、外泊、敗北、欠勤」
「共通点のないものですか? 借用、外泊、敗北、欠勤……」
 首をひねるコロンボ。
「待ってくださいよ。……あ」
 なにかひらめいたのか、目を見開く。
「わかった。欠勤ですね」
「なぜ?」
「ほかの三つには『く』が混ざってますからね」
「あ、ホントだ。……いや、それはナシということで」
「えええ? どういうことです? 『く』があることも立派な共通点でしょ? 『く』がないと哀しいんです! 涙が出てきちゃうんです! ♪くない、くないべいびー、涙こらえて~」
「歌わなくていいですから、別の解答をお願いします」
「うーん……借用……外泊……敗北……あ、わかった。仲間はずれはやっぱり欠勤です」
 嬉しそうに答えるコロンボ。
「なぜ?」
「欠勤だけは裸になりませんから」
「はあ?」
「野球拳で敗北したら、裸になるでしょう? お金を借用するときも、服を売って裸になるじゃないですか」
「どんだけ貧乏なんですか? じゃあ、外泊は?」
「外泊先のホテルって、開放的な気分になって、つい裸になったりしませんか?」
「……あなた、ただの露出狂でしょう?」
「ああ、今度こそわかったあああっ!」
 大声を張りあげるコロンボ。
「正解はやっぱり欠勤です! ケツ、キンで下ネタ満載だから!」
「違う! ああ、あんたがこんなバカだとは思わなかったよ! やっぱり、私とわかり合える天才なんてどこにもいないんだ!」
 そばに飾ってあった薔薇を投げ捨てるオリヴァー。
「♪赤い薔薇投げ捨て~これで終わりにしようぜ~」
「歌うな! バカバカバカ! えーい、こんなもの――」
 続けて、試験問題の記された用紙を投げ捨てるオリヴァー。
♪バイバイ、IQテスト
 歌い続けるコロンボ。

▼またもや全裸ネタ。決して、僕の趣味ではありませんので。念のため。

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