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MAD LIFE 207

14.コインロッカーのひと騒動(11)

4(承前)

「このコインロッカー……」
 暗闇の中、中西と真知はコインロッカーの前に立っていた。
「急がなくっちゃ」
 真知はポケットから〈23〉と刻まれた鍵を取り出すと、同じ番号のコインロッカーを探し始める。
 その間に、中西は真知から渡された服を着た。
「23……23……あったわ」
 真知がロッカーに鍵を差し込み、左に回す。
 静かな構内にロックの解除される音が響き渡った。
 扉を開けると、赤いスポーツバッグが無造作に放り込んである。
「……よかった」
 真知はほっとした表情を浮かべると、バッグを手に取った。
「そのバッグの中身はなんなんだ?」
 中西が真知に訊く。
「私もよく知らない。重要な研究育料だと須藤さんはいってたけど」
「……須藤?」
 中西が首をひねったそのときだ。
「手をあげろ!」
 何者かの声が背後で聞こえた。
 中西と真知は互いに見つめ合い、ゆっくりと両手を上げた。
「ようし。スポーツバッグをそのままこちらへ渡せ」
「誰なの……あなた?」
 真知の声は震えている。
 中西にはまったく事情が呑み込めていなかったが、こういうときこそ真知を守らなければと思った。
「誰なの?」
 もう一度、真知が尋ねる。
「俺か?」
 男は笑って答えた。
「俺はおまえさんたちの敵さ」
「敵?」
「そう――〈フェザータッチオペレーション〉だよ」

 (1986年3月7日執筆)

つづく

この日の1行日記はナシ

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