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だるまさんがころんボ! 14

FILE.14 偶像のレクイエム

 かつての大女優ノーラは、過去の横領をネタにパークスから恐喝を受けている。彼女はパークスの車を爆破するが、そこに乗っていたのは親友のジーンだった。事情聴取のためにノーラ邸へやって来たコロンボは、大女優が目の前にいることに舞い上がり、自宅へ電話をかけるが……。

『もしもし』
「ああ、あたしだ」
『やあ、義兄さん。姉さんならいないよ』
「どこ行ったんだ?」
『イボ痔が飛び出したもんだから、慌てて病院へ行ったけど』
(そんな格好悪いこと、ノーラさんの前でいえるかああああっ!)
 焦ったコロンボは、「魚を買いにですって」とごまかす。
『魚屋じゃないよ。肛門科へ……』
「おい。帰ったら、もう出るなっていってくれ」
『誰に? イボ痔に?』
「おい、切るなよ」
『いや、お医者さんは切ったほうがいいって話してるそうだけど』
(いい加減、イボ痔の話題から離れろ!)
 コロンボはノーラを手招きする。
「弟にハローといってください。ジョージっていうんです。ひとことだけ。ハロー、ジョージって」
 受話器を受け取り、「ハロー、ジョージ」と話しかけるノーラ。
「今の声、わかるかい?」
 コロンボは義弟の驚く顔を想像しながら、彼に尋ねる。
『藤波京子だろう?』
「……は?」
『知らないの? 日本テレビ系で放映されていた特撮ドラマ《チビラくん》で、チビラくんの母親ママゴン役を演じていた声優じゃないか』
(いや、その……そういうことじゃなくてさ)
 義弟が声優おたくだったことを思い出し、焦るコロンボ。
「なに? わからない?」
『いや、だからわかったって』
「映画見たことないのか?」
『昔、テレビ東京で放映された《アサシン》では、アン・バンクロフトの吹き替えをしていたんじゃなかったっけなあ』
(だから、そういうマニアックな話じゃなくって……)
「もっと聞きたいって?」
『いや、べつにいいよ。俺、今、忙しいから』
「わかった。じゃあ、もう一度だけな」
『おい、義兄さん。俺の話をちゃんと聞いてる?』
 わめく義弟を無視して、コロンボはノーラに受話器を向ける。
「ハロー、ジョージ。ノーラチャンドラーよ。よろしく」
『ノーラ……ええ? 野村道子? 長年、ワカメちゃんやしずかちゃんの声を演じてきた野村道子さんですか?』
(こいつの鼓膜は腐ってるのか?)
 口に手を当てて吹き出すコロンボ。
 もっとからかってやろうと、ノーラに「背の高さを訊いて」と頼む。
「ジョージ、背はどのくらい?」
『背? 背? せなで断ち切る道しるべ~♪』
 突然、歌い出すジョージ。
「え? あなた、もしかして……」
『♪たとえ~どんなに離れてい~ても~。こんばんは。山本譲二です

▼書いてるうちに、支離滅裂になっちゃいました。ごめんなさい。ほかにも、『偶像の和久井映見』とか考えたんですけどね……。
▼ドラマの撮影シーンと現実が交錯する演出に感動。いつものパターンを破り、前半は「誰を殺したかったのか?」が伏せられ、また後半は「殺人の動機はなんだったか?」がメインの謎となる。コロンボのひっかけも爽快。ただ噴水のくだりは、少し唐突すぎる気がしないでもないけど。

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