それは些細なこと
かぼちゃが腐っていた。
仕事が忙しく、このコロナ禍に終電で帰った日のこと。
かぼちゃを買った日の事は覚えている。
ひき肉と煮詰めて頂こう。
そんな風に思っていた。
それが何日前なのか
何週間前なのか
よく覚えていない。
職場で1日中仕事を片付け
パワハラ気味の上司に叱責され
どうにか汲み取ろうにも言葉は掴みきれず
水中で話しかけられているような
もどかしい言葉のキャッチボール。
もう数ヶ月もそんな水中で藻掻くか諦めるか、
いや、まだ諦めてはなるまい。
ジリジリと心身の何処かを削りながら理性を保っていた。
あの日もそうだった。
かぼちゃが腐っていた。
腐る前に下処理して冷凍庫に入れれば良かっただけである。
それすらも。
嗚呼、
ボキッと大きく心が折れる音を聞きながら
「育児疲れってこういう感じかな」なんて
静かに思っていた。
私が鬱と診断される少し前の話。
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