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まいぎり式火おこし器

メタルマッチを使うようになってから、出番の少なくなってしまった、まいぎり式火おこし器。今回利用したいという連絡を頂いたので、メンテナンスしました。

メンテナンスと言っても、火口の部分は消耗品の為、本日、新しく作り直しました。

火口の良し悪しで、火のつきが大きく変わってしまうため、ひとつひとつ手作りをしています。
特に火きり棒の先端部分が重要で、黒川では剪定をした紫陽花の枝を使用します。

紫陽花の枝は中心部がスポンジ状になっているため、下の杉板と擦れた時に都合が良いのです。中心部が固い木を使うと、回転して摩擦がががると、先端部分が尖ってしまい、キリの様になり下の杉板に穴を開けてしまって、摩擦がおきにくくなるのです。摩擦がおきないと、温度が上がらず、火をおこすことができません。
その点、紫陽花の枝は芯がスポンジ状なので、火起こしには好都合なのです。
紫陽花以外にもウツギやセイタカアワダチソウをなどが使えます。紫陽花同様、どちらも、芯がスポンジ状になっているので、火おこしに使うには重要アイテムとなります。

もうひとつ大事なポイントが、火きり棒の皮の部分を削っておく事です。木の皮の部分は火起こしには不向きなため、この作業が必要になります。
皮がついていると、火をつける事が何倍も難しくなってしまうのです。

火きり棒は、出来るだけ真っ直ぐな物を選んでください。曲がっていると力が逃げてしまい、摩擦が弱くなり、火の付きが悪くなります。

自然の枝を使うため、工業製品の様に全て同じものをそろえるのは難しいのですが、そこは手作りの良さで、1本1本オーダーメードで、その枝の特徴を生かして作っていきます。

下の火きり板には杉板を使います。
新しものより、古い板の方が、着火しやすい様です。
そこでいつも火きり板には、倉庫裏などに立てかけてある古い杉板を使用しています。


V字にカットを入れ、その部分に擦れて出てきた木の黒いクズ(黒い粉)が溜まるように作ります。


Vの字が細くても、太くても、粉の出が悪くなります。Vの字角度は60度くらいがベストです。円の中心にVの字の頂点が来るように作るのが理想です。

まいぎり式で、火をつけるには、火きり棒と火きり板の相性がとても重要になります。
自然の物なので、使いながら微調整する事が大事になります。上手くはまれば、比較的簡単に火をつけることができます。

いろいろな方法の火のつけ方がありますが、もしよかったら、木と木をこすり合わせて火をつける、まいぎり式火起こしに挑戦してみてください。

苦労の末に火がついた時の喜びはひとしおですよ!(野口)


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