PC spin-off2 "新堂 翔"

Punch with Pride

俺はずっと"弟"だった。

父親はスポーツが好きだった。兄貴も必然のようにスポーツが好きだった。

兄貴が始めるなら、と俺も気がつけばグローブを渡されていた。兄弟なんてそんなもんだ。
「スポーツはいいぞ。優勝は一つだけだからな。頂点だけを目指せばいい。」
兄貴が言ったあの言葉は俺もその通りだと思った。
だから俺も目指そうとした。でも、兄貴には勝てなかった。いつからか俺は兄貴を超えることだけ考えていた。

俺は一度も兄貴に勝ったことがない。それでも実力は歳にしてトップクラスで、いつでも俺たち"兄弟"は持て囃されていた。
それでも兄貴には勝てなかったから、いつまでも"弟"でしたかなかった。兄貴は単体でもちゃんと取り上げられていたけど。

兄貴は避けるのが上手い。最小限かつ一番強い一撃。カウンター。素直に真っ直ぐしかいられない俺はその一撃に敵うわけなかった。

高校に上がるときに、兄貴は当然のように一番の強豪校に進むことになった。俺にも推薦状はあったみたいだけど、俺は断った。そして、ひとりで高みを目指しに行くことにした。
親も兄貴が一番だ。当たり前だ。兄貴は本当に一番なんだから。だから俺は難なく孤高を歩めることになった。

一人暮らしは難しい。仕送りあるし生活には困らない。でも時間が足りないと感じた。
学校には良いやつがいっぱいいた。過去(いままで)とは違う。俺のこと、新堂翔としてしか見ない人ばっかりだった。離れればこんなもんか。みんないい人だ。俺はみんなに恩返ししたい。

俺のことを慕ってくれる人もいる。俺は気がついた。俺が追うのは兄貴の背中じゃない。俺は頂点を目指さなきゃいけなかったんだ。
俺は、俺だ。

今まで俺は弟でしかなかったから気づけなかった。
今は護るべきものも出来た。俺は自分にしか出来ないこと、それが分かった。

俺は弟なんかじゃない。
だから高みを目指す。
仲間と…そして君のおかげで気づけたんだ。本当にありがとう。

これからは俺が"主役"だ

ミュージカルにしてもいいぜ？主演やってやろうか！
これ、空に言ったら何て言われるかなあ。


俺の拳は護るべき者の為に。

Punch with Pride .  新堂翔

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

Punch with Pride

a
生きる意味を知らないまま
駆けてきた　俺ら
理由(わけ)もなく頂点(てっぺん)を目指していた
無意味な憧れに　悔いと涙を流た
だけど護る理由を見つけたんだ

b
高い壁
喰らう傷
増えても癒えぬ　衝撃
笑うやつ
見向きも
されないままに　いつづけた
だけど俺だけの道を見つけられた

ｻﾋﾞ
ここにいるのは
誰でもない　自分だ
生きる意味があるなら
誰にも負けない
いま刻み込むよ
一生消えない傷
だけどそれが一番の
ここに在る力だ

Punch of Pride

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

あとがき

え？歌できてんじゃん？
ミュージカル部の相方PCだし、歌かなあと思って。

ということで、kurokawaです。今回は高校生ボクシング部の翔くんです。
おにいさんのモチーフは某「学校であった怖い話」の誠さんでした。名前からしてな。勝手に持ち寄ってすみませんです…。名言はそのままに。やはり高校生と会談系になると過るというか、好きすぎるというか。

まだまだ彼の物語は始まったばかりなのでこれから楽しみかつ期待していこうかと。
普段の彼は本当にどうしようもなく馬鹿で天然気質で訳がわからないのですが、内心こんなこと考えてたんですね。

ショートだけどこれぐらいが彼の良さだと思います。いい子やで。
では、また何かの記事で。続きたのしんできます！

kurokawa