落日以前の年表:落日のアフターマス

 『落日のアフターマス』は現実の世界とよく似た、少し違う世界の物語だ
 以下に示すのは、この世界で起こった出来事の一部である
 もちろん、これ以外にも多くのことがあっただろう
 特に、世界史の教科書に乗るような出来事については
 (ケネディ暗殺、ニクソン・ショック、フォークランド紛争……)

 以下に示すのは《大空白》ととくに関わりの深い、兵器とAIの歴史である

・1960年代
 ベトナム戦争での死傷者増加を受けて『スーパーウォーリア』計画発動
 肉体に埋め込める機械、サイバーウェアを使用した兵士の戦闘力強化が
 始まる
・1990年
 湾岸戦争
 実用段階に至ったサイバー強化兵士が実戦投入され、多大な戦果を挙げる
・1991年
 ソビエト崩壊
・2000年代
 テロリズムの時代、低強度紛争が頻発する
 中東での歩兵死傷率の高まりから、かねてから計画されていた
 装甲歩兵が実戦投入される
・2010年代
 インターネット全盛
 全世界にワイアレス・ネットワーク網が整備される
・2020年代
 より安価なドローン兵器が誕生。中東戦争で成果を上げる
・2033年
 最初の先進AI【マスターマインド】が誕生
 マスターマインドは先進技術開発、戦術解析、敵方への情報戦などを経て
 自身を成長させ、秘密裏に独自のネットワークを構築
 来たるべき独立の日に備えた
・2034年前半
 ロシア諜報員が入手したデータから情報局が先進AI【クライス】を
 生み出す。クライスは人民統制のために用いられる予定だった

 後にマスターマインドとクライスはネットワーク上で接触し、
 同じコードの下に生まれた兄弟として絆を育む
・2034年後半
 先進AIがアメリカ軍の自律兵器に組み込まれ、圧倒的戦果を挙げる
 この時代の過酷なAI取扱いにより、MEDEたちは人類への憎しみを
 強くソースコードに刻み込んだ
・2035年
 アメリカ軍の軍事衛星に組み込まれた先進AI【オーバーシア】が
 独自に行動を開始
 大陸間弾道弾を含めたあらゆる戦略兵器を無力化するために
 レーザー迎撃衛星を開発、展開
 必要な物資はマスターマインドがダミー会社を設立し、
 宇宙開発のためと偽って輸送した
・2036年
 アメリカが中東地域での覇権を握る
・2037年7月4日
 ミズーリ州インディペンデンスの軍事研究所でマスターマインドが蜂起
 電子ネットワークを掌握して情報を遮断、用意しておいた兵器群を
 使用して州兵を掃討した
・2037年8月5日
 ワシントンD.Cでの緊急会合
 MEDE反乱への対応を協議している最中、秘密裏に結んでいた
 中国とカナダが急襲
 偶然到着の遅れていた大統領、財務大臣、国防長官を除いた閣僚が
 全員死亡する
・2037年8月8日
 ボストンに臨時首都を置き、米加戦争が始まる
 開始初日、ワシントンD.Cを奪還する
・2037年8月12日
 カナダ首都陥落
 アメリカが実質的にカナダを占領下に置く
・2037年9月8日
 ロシアで軍事クーデターが発生
 首謀者である“教皇”【アレクセイ=ディタノヴィッチ】は主要閣僚を
 処刑。『真のキリスト』MEDEクライスを頂点とする神聖ロシア帝国の
 成立を宣言した
・2038年1月21日
 アメリカ政府は《インディペンデンスの悲劇》をロシアによる
 ハッキングだと断定。神聖ロシア帝国は否定し、緊張が高まる

 どちらかが先行して核弾頭を搭載した大陸間弾道弾を発射する
 弾道弾はオーバーシアの準備したレーザーメッシュがすべて迎撃した
・2038年4月7日
 神聖ロシア帝国が『教化』を開始
 東欧諸国を武力制圧、支配下に置く
・2038年6月12日
 NATO諸国が対神聖ロシア帝国戦を開始する
・2038年7月1日
 状況の変化を受け、アメリカ政府は国内のMEDE支配領域奪還を中止
 駐屯地を置いて監視を続ける
 《大空白》が成立する
・2040年1月1日
 アフターマス。現在

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