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485系郵便専用特急 たまづさ

485系交直流特急形郵便電車

Twitter上で開催された「荷電祭り2021」で発表した作品です。

いつものように設定を考えてみましたので、よろしければお付き合い下さい(╹◡╹)

◽️登場背景

1970年代、鉄道郵便は帰路に立っていた。

かつては鉄道郵便のために郵便番号が設定され、全国に張り巡らされた路線網とともに通信インフラとし使われていたが、ネックは輸送速度が遅いことだった。

高速道路網が整備された1970年代後半にはシームレスに移動できるトラック輸送に手も足も出ず、やがて仕分区分室は使用されなくなり、鉄道郵便は締切便や護送便が中心となっていった。

従来の鉄道郵便輸送は郵便取扱駅を隈無く回るために普通列車や急行列車に併結される例が多かったが、頻繁な積み下ろしにより郵便物が乱雑に扱われ破損が相次いだり、表定速度の面で速達便に対応しきれなかったりと、長距離高速定時輸送という鉄道の利点が活かしきれていなかった。

また、当時郵便車に乗り組む郵政職員の労働環境の劣悪さも手伝って、内外より鉄道郵便廃止の機運が高まっていた。

そんな中、鉄道郵便の新たな形を模索するべく計画されたのが485系交直流特急形郵便電車である。

◽️仕様

設計は485系300番台がベースである。

1975年当時廃車の進んでいた181系電車の台枠を利用し、製造コストの低減が図られたほかは485系列車両と同様の車体構造を持つ。

形式は以下の3車種である。

①クモユ485

護送・締切便専用の制御電動郵便電車で、小包などを保管する締切室・郵袋室にはサシ481に酷似した構造かつ、両開きの外吊扉を有する特異な外観である。

郵便室の最大積載荷重は7t。

運転台側には簡易リクライニングシートが8席用意され、護送便運用時の郵政省職員の休憩室を兼ねている。

車端部にはトイレを有する。

室内構造は郵便物の秘匿のため国鉄職員の乗務員室とは隔離されており、行き来のできない構造となっている。

郵政省職員用扉は485系電車の客用扉と酷似しているが、専用鍵による施錠と圧縮空気による開閉が可能となっている。これは、手動扉より職員の転落事故が相次いだことに対する安全対策として講じられ、旅客列車と同様の戸締め構造としている。

②モユ484

護送・締切便専用の中間電動車で、屋上に交直流切り替え機器とパンタグラフを有する。

室内構造はクモユ485に準じるが、職員休憩室はなく、全室が郵便室となっている。

最大積載荷重は10t。

③クユ481

護送・締切便専用の制御郵便車である。

窓のない特徴的な外観をしており、郵便室は妻面寄りの半室で、最大積載荷重は3t。

運転台側にはガスタービンエンジンを設置した電源室を有している。

床下には燃料タンクとMGを有し、燃料満載時の車体重量は3形式中最大。

電化区間に接した非電化区間への乗り入れを企図した装備で、パンタグラフを畳んだ状態でM'Mユニットを駆動することが可能である。

山陰線、大糸線(南小谷以北)、高山本線、肥薩線など各線への入線実績がある。

ガスタービン期間を搭載した量産車としては国鉄唯一の存在で、機関室は157系電車改造キハ171系ガスタービン気動車キサヤ171を基本構造としている。

◽️運用と終焉

485系交直流特急形郵便電車は1976年、長野運転所に新製配置。

3両ユニット12本36両が製造され、幹線と非電化を含む地方線を直通で結んだ。

歯車比を3.50とすることにより、485系以外に581/583系、183系とも併結して高速運転が可能で、全国津々浦々で様々な特急列車、夜行列車との併結が見られた。

特急列車と併結し高速ダイヤに乗ることで線路容量を圧迫せず郵便物輸送を格段にスピードアップさせることに寄与した。

1986年の分割民営化後、郵便荷物輸送が廃止されていく中でも郵便特急は変わらず活躍を続けていたが、1990年代後半より各地で国鉄形特急電車の世代交代が進み、併結可能な車両が少なくなると本形式は徐々に入線線区を狭めていくことになった。

最も長く活躍したのは北陸本線、東海道本線で、特急雷鳥・しらさぎに併結した姿が最もよく見られた。

2003年にしらさぎが683系2000番代に置き換えられるのと同時に、本形式は運行を終了した。

◽️保存車両

クモユ485-1が京都鉄道博物館で静態保存されている。

◽️後継形式

JR東日本、西日本の共同開発による683系9000番台特急形郵便電車3両編成5本が存在し、本州各地で活躍を続けている。

◽️模型

ベースはTOMIX HGの485系300番台です。

種車はクハ2両、モハユニット2両の4両を使用しています。

①ボディ

側面窓を1mm厚のプラ板で塞ぎ、隙間をカラーパテなどで埋めながら根気よく削りました。

郵便室扉はトレジャータウンのエッチング荷物扉セットを使用し、裾絞りに沿って曲げをつけて瞬間接着剤で固定しています。

郵便室扉の外吊ドアレールは前述の荷物扉のランナーを土台に0.5mm厚のプラ板で自作しています。

窓パーツは適宜切り取って必要な窓のみ使用して、郵便室窓はGMキットの窓セルを使っています。保護棒は銀河モデルの塗装済みの物が手持ちにあったので使ってみました。

国鉄時代を再現したかったので、屋根上は製品のまま銀塗装ですが、クユ481はガスタービン電源室があり、キハ181屋根より切り出したファンデリアを削り合わせの上で取り付けています。

ファンデリア周りは機関換装時を考慮して屋根ごと取り外しができる構造を想定したため、ダークグレーに塗ったホワイトフィニッシュを貼りつけて段の上がった上蓋構造屋根を表現してみました。


塗装はジェイズスプレーの国鉄特急色の赤とクリームを使用しています。


ユの表記が白しか見つからず、かくなる上はと裾上にもう一段赤帯を配して「郵便特急色」として形式表記が貼り付けられるようにしました。

そのほかマスキング目止めや仕上げにクレオスのスーパークリアースプレーを使用しました。

②床下

クモユ485は床下パーツを台車周りを残して切り取り、モハ485から上記と同じ幅に切り出した床下パーツを少量のゴム系接着剤で固定しています。荷物室にあたる部分は座席を切り取り、ダークグレーに塗ったシールを貼りつけて覆いました。

モユ484の床下はモハ484と同じで、座席のみ切り取っています。

クユ481は、ガスタービン電源室の真下にあたる床下パーツを切り取り、カニ24の床下より燃料タンクを移植しました。

③トレインマーク

車両セットに付属していた「ひばり」文字タイプの文字をシンナーで消して、

HOのオユ10に付属していた側面の「郵〒便」インレタから「〒」を転写し、トップコートを吹いて仕上げました。

以上、長文をお読みいただき、ありがとうございました(╹◡╹)


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