【本】島口大樹「遠い指先が触れて」。幼少期の記憶を奪われた男女が記憶を取り戻す旅へ向かう。人称(視点)が目まぐるしくかわる文章に驚く。人称の飛躍により、人物の輪郭が曖昧になり、世界とも溶け合う。記憶の曖昧さに人は根拠づけられている。この曖昧さこそが救いであり絶望でもあるのだ。

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