Tips -1- スムーズなテキストセッションを目指して
はじめに
こんにちは。黒崎江治です。最近は過去シナリオのリライトとか、書いてる小説のブラッシュアップとかであんまり新しいものを作っておらず、やや焦り中です。
私がTRPGをプレイするときはもっぱらテキストセッション(以下テキセ)です。ログを読み返すのが楽しいとか、プレイヤー(PL)とまったく違うプレイヤーキャラクター(PC)を演じやすいとか、固有の楽しさはありますが、時間がかかりすぎる、スムーズにいかない、という悩みも出てきやすい形式だと思います。
今回はプレイヤー諸氏の一助になればと考え、スムーズなテキセをおこなうためのちょっとしたテクニックを書いていきます。
具体的には
以下のテクニックが目的としているのは「他プレイヤーの待ち時間とストレスを減らすこと」です。「タイピングの練習をしよう」「チャットツールの機能を活用しよう」みたいな当たり前のことは省きます。
短い文を小刻みに
「それは確かにエゴやで。人間様が動物と違うっちゅうエゴや。人間も動物の一種なんやで? 殺して殺される。そこに差はあらへん」
コロラドマタギの探索者ベッキーがいい感じのセリフを言っているシーンです。
上記の文、みなさんは何秒でタイプできるでしょうか。私は単純に打ち直すだけで28秒かかりました。ほかのプレイヤーが「ベッキーがなんか言おうとしてるな」と思って待ってくれていたりすると、セッションに28秒の空白が生じることになります。
あるいは私がこれをタイプしている間にほかの探索者が発言をして、話題が移ってしまうかもしれません。ベッキーは空気を読み、喉元まで出かかった言葉を飲み込むことになります。
しかしもっと短い文を連投するようにすれば、セッションに生じる空白が短くなり、話題が流れてしまわないよう掴んでおけます。
「それは確かにエゴやで」
「人間様が動物と違うっちゅうエゴや」
「人間も動物の一種なんやで? 殺して殺される。そこに差はあらへん」
「エゴやで」の部分で、ベッキーがなにかいい感じのことを言おうとしているのは明らかですね。ほかのプレイヤーも、きっと横やりを控えてくれるでしょう。
ストックしておく
「絶望に捉われてはなりません! いまは破滅のときにあらず!」
「同じ方向に吹き続ける風など存在しない! 希望を胸に――順風を待つのです!」
世界に危機が降りかかるさなか、市民を鼓舞する風と雨の神官カマン・ヴェイル。
いきなり市民を鼓舞しろと言われると私も考え込んだと思いますが、このときは少し前のシーンで「お前が市民に希望を伝えてくれ」とNPC(GM)に言われていたので、あらかじめセリフを書いておくことができました。宿敵との決戦が迫っているとか、面倒そうなヒロインを説得しなければならないとか、先の見通しがつく状況であれば、セリフを事前に書いてストックしておくと、土壇場になって美麗な言葉をこねくり回さずに済みスムーズです。推敲もできます。
GMの立場で考えると「この後〇〇があるので、いい感じのセリフを考えておいてください」とプレイヤーに伝えることで、スムーズな進行が可能になりますね。あんまりぶっちゃけすぎると興を削ぐことになっちゃうかもしれませんが。
先にコマンド/回答を置いておく
前項と似ていますが、これはやりとりや判定単位の話。たとえばソード・ワールド2.5の戦闘においては、①冒険者の命中判定 → ②エネミーの回避判定 → ③ダメージの決定、という流れがあります。
上記の場合、PL(冒険者)が行動を宣言した時点で、GMは回避判定が生じるか否か分かります。なのでPLが命中判定のコマンドをタイプしている間に、回避判定のコマンドをタイプしておくことができます。攻撃が命中し、PLがダメージを算出している間に、エネミーのHPを減らすコマンドの一部をタイプしておくこともできます。
命中か失敗か、結果がどちらになるか分からない場合でも、見込みの高いパターンをタイプしておけば、まあまあな確率で時間の短縮になります。これを置きコマンドと言います。いま思いつきました。
ほかの例としては、冒険者たちが依頼を受ける導入。「受けてもらえないでしょうか」→「受けましょう」→「そう言っていただけると助かります」みたいな予定調和的な流れであれば、先読みでセリフをタイプしておくことが可能です。
待っていてもらう
上記三つは待ち時間を短縮するテクでしたが、待ち時間を短縮するだけがセッションをスムーズにする方法ではありません。それなりの待ち時間が生じたとしても、PLが安心して待っていられれば問題はないわけです。
テキセではお互いに顔が見えないので、画面の向こうで相手がなにをしているのか分かりません。アクションや反応のない相手が、セリフをひねり出そうとしているのか、ログを読み返しているのか、居眠りしてるのか。「セッションに飽きて裏でソシャゲでもやってるのかな……」みたいな不安はGMあるあるなのではないでしょうか。
「ちょっと考えます」「ルール確認します」「どうしようかな……」みたいなPL発言は、あなたのアクションを待つ人の不安を解消します。PCになにをさせるべきか分からなくとも、PLがなにをしているか/しようとしているかを伝えることはできるはず。「ダメだいますぐやれ」と急かしてくるPLはあんまりいないと思います。
注意を向けてもらう
「私はこれからなにか言いますよ」という旨のアクションは、会話の交通整理の役割を果たします。PC/NPCの名前を呼んだり、「あの」と言ってみたり、手を挙げてみたりすれば、ほかのPLはその発言/行動をしたPL/PCに注意を向けます。「なにか言うんだな」と安心して(あるいは自分のアクションを保留して)待ってくれるでしょう。複数のPCがNPCと会話しているときは特に有効です。なにか言いたかったけど話題が移ってしまった……みたいな悲しい事態を回避できます。
黙っているというアクション
あなたのPCは寡黙な性質なのかもしれないし、そうでなくとも黙っていた方がよい場面に出くわすかもしれません。しかしPCもPLもまったく発言しないでいると、GMやほかのPLは不安とストレスを感じます。「(黙っている人が)発言する隙を作った方がいいのかな?」と考えて、セッションの流れが滞るかもしれません。
たとえ言うべきことがなかったとしても、「黙っているPC」がそこにいるならば、それを描写することはでき、GMやほかのPLを安心させられます。気に入らないNPCを睨んでいるかもしれないし、呆気に取られているかもしれないし、壁際で腕を組んでいるかもしれません。「…………」みたいなPCの発言も、黙っているというアクションの宣言になり得ます。PCの言動とは別に、PLとして意見を言ってもいいですね。
プレイヤーの反応/雑談でもいい
なんも考えつかん、という場合でも、セッションに参加しているよという態度を示すことは常に可能です。「怖い」「すごい」「えらい」「やったぜ」「うわぁ……」みたいなリアクションがあれば、そのPLがセッションに参加していると分かります。もっと長い感想や本筋を外れる雑談は別のタブかなんかでやるとよいでしょう。
まとめ
以上、「他プレイヤーの待ち時間とストレスを減らすこと」が大事という前提で、色々テクニックを書いてみました。テキセは相手の顔が見えないので、ある程度能動的なアクションを取っていく必要があると思います。
よいセッションを。
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