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スピイベント潜入記②【2020年10月6日、7日「シンデレラ・プロジェクト」】


(①はこちらから)

◇◇

■「八木さや、えらい」

真下のステージで展開される素人さんのステージ。それと真横に座ってきた子宮委員長八木さやを交互にチラチラ見て時間は過ぎる。

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(ステージの途中でマルシェに出向く八木さや+側近)

八木さやは、席ではちゃんと素人さんのショーに拍手。音楽に合わせて手拍子もして、明らかな自分の信者さん(私も顔が分かる龍使いの人、まあ大部分がhappy信者ともかぶっている)がステージに出たら頑張ってスマホで撮ろうとしてあげていた。遠くて撮れなかったようだが。
八木さや、えらい!

「ケッ、どうせ最初だけだろ。すぐに飽きてスマホをいじりだすに違いない。何分もったか計ってあとで書いてやるぜ。フヒヒヒ」
と、時間を計測していたが、私の方が先に飽きてスマホいじった。
なんなら八木さや観察にも飽きた。ごめん。

さて、ステージ上は十数名が思い思いの衣装で歩いた「ワタシブランド」
みんな並んで司会の二人による総評だ。

happyは「各々の世界観がある人達」を選んだのだそう。
トップバッターを務めたウォッチャーにも人気の信者さん。横に立った鯨井さんに演技がかった熱い目線を送り「めっちゃ見られてます」と言われ、「〇〇(本名)です。宜しくお願いします」と自己紹介までして会場の笑いを誘った。
そうだよな、爪痕を残さないと。君たちはお金を払ってその舞台に立っているのだからもっとグイグイいっていいんだ。


続いて「コスプレショー」
ベティ・ブープ、セーラームーン、初音ミク、鬼滅の刃などのコスプレで次々と出てくる。やっぱりよく見るとちょっと年齢層高い……?
先ほどより一人一人の持ち時間が短い。メインステージまで歩いて3ポーズぐらいで帰っていく。

最後はみんなで「シュガーソングとビターステップ」(UNISON SQUARE GARDEN)に乗ってダンスだ。ああ、わりと好きな曲だよ……。まさかここで聴くことになるとは。

総評でhappyは「すごいですねーまたすごいですねー」などと褒める。
HTLというhappyの「研究所」というオンラインの集いでコスプレ好きが集結したらしい。ふーん。


「クイーンアンドプリンセス」
問題のステージだ。まず映し出されたリハーサル中の集合動画から。
声を揃え「女の色気で世界を包め」「可愛さ認めて愛されろ」と投げかける。脳に不正侵入して思考回路をバグらせるようなこの煽り文句。
非常に嫌な予感がした。

的中だ。最初はまだウエディングドレスの方々が何人か出て来て踊っただけで済んだ。(何も済んでない)

しだいに音響がドンツクドンツクうるさくなって心臓に響く。
中央にポールが設置され、人魚姫のような格好の、整った筋肉をした男性ダンサーが出て来た。

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後から知ったが、レディーガガのバックで踊ったこともある有名な方らしい。
セクシーな音楽に乗り、今度はさっきより若い感じの女性たちが下着のような際どいドレスを着て次々に登場。その一人がランウェーを進み、
「あ」と思った次の瞬間。

えええ!!? ブラジャーとった! 脱いだ!

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あ。あっぶねえ…乳首だけ何か貼ってある。それなら大丈夫。
いやいやいや!大丈夫なわけあるかい。乳ボローンなっとるがな。
そんで地べたで思いっきり開脚しとるがな。そういう職業の人なのかな……。

さっきの人魚姫の男性ダンサーも颯爽とランウェーへ激しく躍り出て、ロングヘアーのカツラもとり、赤い短髪を露わにして衣装も全部脱いでTバック一枚に。くはあ。
そのままポールダンス開始。激しい音楽の中、男性がハンケツでぎりぎり棒(ポールに非ず)が隠れるぐらいの布一枚で、ぐるぐる空中を回る。
その下には、先ほどのウエディングドレスと半裸の女性たちが混じって激しく腰を振る。

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なんなんだこの光景は……。

はい、それでは今から、このペンの先が光りますのでじっと見てください。
パシャーン!
あれ、今まで私は何を? という感じで記憶を消してくれ。

ステージを終えると、やりきって感涙にむせぶ女性たち。
「これからもぶっちぎって輝いて可愛さと美しさで生きてください!」
と、happyちゃんはトッテモ、ヤサシイヨネ。

■「みんなでダンス」

おい、さっき、八木さや観察に飽きたと言ったよな。
すまん、あれは嘘だ。

八木さや、瓶の栄養ドリンクをぐいっと空けた。いいねえ。壱岐島から長旅で疲れたやろ。
おお、ハッピーターンらしきお菓子を3、4個一気食いだ。happyたん主宰のイベントだからか。いや、これ嘘みたいだけどマジなんだって。happyの楽屋にあったという可能性もあるな。
私もさっきのじゃがりこをとっておけば、ボリボリの競演ができたのに。

しばらくすると、どのタイミングともなく八木さやは側近とともに去っていった。何やら予定があったのかな。ばいばい。二日目の出番、頑張れよ。


「私に時間ちょーだい」ステージの時間だ。

K-POPのダンス、初心者が大半のバレエなど。
好きなことをやれて満足そう。頑張って練習したのでしょう。

でもこの辺りになるとさすがに「ワイは金払って何を見せられてんねん」という虚無感が隠せなくなる。素人さんに罪はないんだが。もう食べるお菓子もないし。予定時間から40分も遅れてるし。

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おい、いま完全に踊りから明らかに一人遅れただろ、とか。あまりそういうのをつっこめない。脳の「自動優しさ機能」みたいなのが働き始める。会場の拍手がとても温かい。

次は「ズンバ」。ダンスフィットネスのことらしい。
言っちゃ悪いかもだけど、どんどん演者の年齢層が高くなるんだよ……。
盛り上げ役のおば様がすごくお上手にマイクパフォーマンスをして会場を沸かす。

「では、みんな立って!」

嫌ですって。おいおい立つな立つな。座ってるのが目立つだろうが。
よかった、立っていない人もチラホラ。なんとか誤魔化せそうだ。

「まずは右足を出して次に左足を、こうしてステップです!一歩、二歩、はい三歩!」
アリーナ席を中心に何百人もがレクチャーを受けてボックスを踏んでいる。「レッツ、ズンバ!」

音楽はリッキー・マーティン「Livin' La Vida Loca」(郷ひろみのアーチーチーアーチーの原曲)

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おお踊っとる踊っとる。アリーナだけでなく、二階席の隣のおばちゃんも前のネエちゃんも、ぎこちなく踊っとるよ。

歌詞の中にBlack cat(黒猫)と出てくるのを知っているのでニヤニヤしてしまう。「ぶっとんだ女」に振り回される歌詞の内容なのでこのイベントにぴったりだ。
そんな知識があるのかね!?ノリノリで踊っている君達に!
今ちょっと確かそうだったよなと心配になって私も確認したけども!

みんな楽しそうだった。
司会のhappyもステージ下で一緒に踊っていたらしく「楽しかったー」との感想。あの、今さらだけど、あなた語彙力あれだよね。バレエについての感想は「子どもの発表会みたいで可愛かったあ」と。
いや、お前それは言うたんなや……。


■「カラオケ大会」

ここで休憩とのこと。
不思議な休憩突入だ。何時までとか何分間とかアナウンスしてくれない。
その理由はすぐに分かった。後方のマルシェに大勢が押し寄せる。そうか、買い物の時間なのか…。
いや、違う! 何かがステージにいる。

休憩時間を利用して「富豪カラオケ」の開幕だ。

休憩中のステージで自分の好きな曲がカラオケで歌えるのである。
この枠をオークションで購入した方々らしい。55万円で落札した人もいるとか。

まず登場したのは「ノリちゃん」。Gジャン姿で登場して「スギちゃんのお姉ちゃんノリちゃんです。ワイルドだろ…」と吐息のような声。漫才師になりたかったというおば様だ。何をしゃべってるかいまいち分からない。
今からお前が歌うのか? どうやらこの枠の司会者らしい。分かりにくい。

最初の歌手は男性。ちゃんと覚えてないけど、なんちゃらオリオンさん。
自ら「オ・リ・オン!オ・リ・オン!」と会場を煽りながら登場。
ステージから指を差し「三階席!二階席!アリーナー!!!」と盛り上げている。
みんな休憩や言うてるのに。

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曲は「テルーの唄」(ゲド戦記より)「心を何にたとえようー」。スピっぽい選曲だ。
ってお前、それほぼアカペラの静かな歌やないかい!さっきの盛り上げなんやったんや!

歌唱力、普通。いや、でもよく声は出ていたと思うよ。
観客のみなさん、誰か知らんやろうけど頑張ったこの人に拍手を……
観客「キャー!オリオーン!!」
いや、みんな知っとるんかーい!ズコー! happy信者内では有名らしい。
手を広げなびかせてバサバサと動かして羽ばたくように去っていった。鳥っぽかった。好きだ。嘘だ。

他にも歌いに出てきたけど、休憩させてくれ。だって、本来は休憩時間なのだから。なんで休憩させてくれないの。そんなに私が憎いの?(勝手に潜入してんだろ)
ここはもう完全に身内しか分からん文化祭。さすがにこれはいいだろ…
司会のノリちゃんGジャンの袖を足に履いて登場。
会場もクスクス笑う。分かった、もう分かった。見てやるから小ボケやめてくれ。ちょっとトイレだけ行かせてくれ。

帰ってきたら、ノリちゃんまた衣装チェンジ。「藤原紀香の双子の姉の藤原のりこです……」。もうそのインスタとかで60人ぐらいに向けてやってそうな内輪ネタ分からんねんマジで。

最後にデカいティアラに赤いドレスの女性が。割と、こう、体幹がしっかりした感じの、ね。
KOKIA「I believe ~海の底から~」を熱唱。
けっこう上手だ。でもな、KOKIAって実力派歌姫の筆頭みたいな人で、これと比べ物にならん程ものすごい歌唱力なんだよ。
うっとりして聴いてるそこのおばちゃん、知ってた? ここに来る金あったら本物のライブに4、5回はいけるよ?

ああカラオケいきたいな。私も歌うのは好きだ。
たださすがに大金払ってステージに立とうとは思わない。気持ちよくなりたいなら歌広場かカラオケ館で十分。幕張メッセとは思わんよ。わきまえるよ。

でもきっと大勢に聴いてもらいたかったんだろうな。そんなチャンスをお金で買うことを誰が責められようか。
どうか皆さんが借金などして無理に支払っていないことを願う。


■「みんなで安室、浜崎、松田聖子」

休憩終わり。
またダンサーを従えてhappyのダンスステージから再開。オープニングよりダンサブルなK-POPっぽいオリジナルの激しい曲。ある程度のプロが作ってるんだろうな。

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歌い終えるとゼエゼエ言いながら「つかれるねー! 後半戦いきますよ。きつい…。鯨井さん助けて……」
鯨井さん「大丈夫? 『瞑想』する?」 
会場爆笑。完全にいじられてるやん。

これもオリジナル曲?
「私、10曲あるんですよ。いつかアルバム出したいと思ってます!」
いい笑顔だ。会場大拍手だ。私だけ無心だ。


続いて「みんなでシリーズ」

はいこれも問題のステージ。
みんなで安室奈美恵、浜崎あゆみ、松田聖子になりきるという。
曲の使用許諾の問題もあるだろう。かなり難しそうだけど本当にどうやってクリアしたのだろうか。大会場で大物アーティスト達の曲を使用したこんな大規模な収益事業など、全て完璧に手配できていたとしたら本当に謎だ。正攻法では無理なのではないか?

最初は安室奈美恵。20人以上で安室ちゃんの曲とコスプレ衣装でみんな自分が成りきって踊る。「どうしてもやりたかった」というhappyもその中心にいる。またお前かよ。

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みんな好きなだけあって踊りがノリノリだ。
happy「最高だったね。また踊ろうどこかでこれ。楽しすぎる」
ああそうかよ。

次は浜崎あゆみ。また20人弱。年齢層高くなる。みんなたぶん大学時代とかにあゆ全盛だな。色々な世代のあゆの衣装が見られる。

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安室ちゃんと違うのは歌が入っている。みんなマイク持ってカラオケしてるじゃん。ずるい!さっきの休憩の「富豪カラオケ」で済ませておけよ! 
「アリーナー!」

それもさっきオリオンさんがやったろ!
おい、何曲やるねん。メドレーかよ。泣くな泣くなステージで泣くな。マイクに「ひんっ」とか入っとんねん。泣きたいのはエイベックス関係者だわ。

最後に松田聖子が十数人。すみません、予想通り年齢層が天元突破したので略です。みんな泣いてる。

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happy「(この3人のアーティストは)伝説じゃん? やりたいじゃない。私もこれは夢だったから叶えさせていただきました」
そうか。やりたかったらやっていいのか。そうか。

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最後は安室組、浜崎組、松田組が集結して、思い思いのポーズ。
よかったな。伝説だよ。一緒に語り継ごう。ともに生きよう。

― 続く ―

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