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<縁は異なもの粋なもの?>Don’t think! Feel JAZZ! 第二回 「愛のセレモニー」

※黒田ナオコ過去コラム公開シリーズ 2017年6月号のひろたりあん新聞掲載

<以下本文>

私は六月生まれだ。蟹座の女だ。蠍(さそり)に比べたら危険性は薄い。毒はないけど美味いよ、っていうところか。

梅雨生まれだからか、湿気には強い。五月の爽やかさは好きだが、梅雨のじんめりも、お肌にも良い気がして好ましい。

小学生のころ、毎年、お誕生会をやってもらったものだ。誕生日の午後、自宅のひと間に、母の手料理とケーキが並んだ。そこに学校のお友達十人前後が思い思いのプレゼントを持ってやってくる。

手料理と一緒に並んでいるのは、毎年いつも、さくらんぼ。そうそう、この時期はさくらんぼ。日本産のものしかなかったころの昭和だ。あまり主張しない奥ゆかしい和製さくらんぼの、ほんのりとした薄味と小ぶりの可愛い形が、セピア色に思い出される。そんな時代に育ったのだな。

いい大人になったこのごろは、仕事の関係もあって、自分の誕生日にライブコンサートをやる。いつのころからか、かなりのジャズマンが、これをやるようになった。ロックは知らないが、ジャズでは風習にさえなりつつある、『バースデーライブ』。
演奏をお客様に聴いていただく。お客様とお店が祝ってくれる。普段のライブより、なんとなく場が華やぐ。

辛辣な友人に、「やらせライブ」だと言われたことがある。しかしそもそも、誕生会っていうのはハプニングではないのだから、ヤラセ要素が強いのだ。計画的にお祝い事をするのがヤラセなら、結婚式が最たるヤラセだと思う。
やはり離婚や葬式はハプニングだ。幸せは計画的に、不幸は突然に、なのだ。

話はそれたが、大公言してからおこなうバースデーライブ。それがまた今年もやってくる。
誰も来なかったらどうしよう…などの基本的な不安は置いておいて、お越しくださる皆様には誠心誠意の演奏をお届けしよう。プレゼントとかは期待しないでおこう。しかしどうしてもくれるというなら有難く頂こう。

何より、来てくれることが嬉しいではないか。義理でもよい。義理には義理で、愛には愛で応えよう。考えたら、義理だって愛だ。義理堅いひとは情愛が深いひとだ。

誕生会は、家族や友達と祝う「愛のセレモニー」だ。この世に命を授かったという感謝の日を祝うのだもの。
あれ?だんだん神聖ささえ増してくるバースデーライブ…。

先日、十二歳の娘のお友達の誕生会に、母娘で招かれた。
イタリアンレストランを貸し切ってのディナーパーティーだ。会費制で、ママたちはワインなどもいただく。娘たちはスマホを片手に何やらキャーキャーやりながら料理をつつく。時代は確実に移ったのだな。

ふと、わたしの人生には、果たして何回の誕生日がくるのだろうか、なんて考える。
多すぎず少なすぎず、が理想だけど、こればかりは計画的にはいかないだろう。天命にお任せだ。

END

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※挿絵は娘、当時13歳。


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