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モノの「アフォーダンス」とは何か?

大学の卒業研究で「モノのアフォーダンス」を研究した
もう、うん十年前だけれど、その時に「人」と「もの」、「しぐさにおける文化性」などを調べたことは、今、モノのデザインをするときにとても役立っている。

アフォーダンス(英: affordance)とは、環境が動物に対して与える「意味」のことである。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによる造語であり、生態光学、生態心理学の基底的概念である。「与える、提供する」という意味の英語の語「アフォード」から造られた。

Wikipediaより

私が仕事としているのは、モノのデザイン・設計。
デザイナーとして「はじめての〇〇」をデザインしたり、メーカーさんと一緒につくりあげることだ。

そのとき、「はじめての〇〇」なのでもちろん、メーカーさんの過去例がないときが、ある。使い方がよく似た商品などはもちろん参考にする。
デザイナーとして、一番大切にするのは、使う人が混乱しないように、間違った操作をしないように、配慮すること。
使う人がどういう操作をするのか、何が危ないのか、などチェックリストを確認しながら、モノのカタチ、ボタンの位置、色をきめる。そして、どう移動させる、設置する、などをつめていく。
そのとき、この「アフォーダンス」は重要な指標の一つとなる。

モノをつかうとき、
アフォーダンスが悪いと、使い手に混乱やストレスを感じさせる。
普通に使うのに、説明書をずっと持っていなければ使えないモノはアフォーダンスが悪いといえる。

安全性はアフォーダンスより優先される

ひとつ、アフォーダンスより優先されるものがあるとすれば、「安全性」だ。
事例をあげると、
かつて、シングルレバーの水道栓は、上げ吐水と下げ吐水があった。

どちらもメリット、デメリットがある。
アフォーダンス的にかんがえると水は下に落ちるもの、だから、下げ吐水 となる。
だが、今、シングルレバーはすべて、「上げ吐水」に統一された

なぜか。

国際標準に足並みを揃えたという側面もあるが、
阪神大震災のとき、上からの落下物により下げ吐水で水栓がひらき「水」による二次的被害をもたらした。という指摘も後押しになったと考えている。


モノは、時として人に被害をあたえる凶器となることがある。
そうならないように「デザイン」で配慮すること。
これがデザイナーに求められる使命のひとつ。


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