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区境とはバーチャルな存在

23区全区境踏破第4回

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今回から本格的に歩いていきます。
四ツ谷駅から千代田区の区境を時計回りに歩いて行こうと思います。
前回見たように、四ツ谷駅の北側では、旧江戸城外堀を埋め立てて造られた外濠公園内を区境が通っていましたが、まもなく外堀の水面が復活します。
そこからは水面上が区境なのですが、さすがに忍者でないので歩けません。
このように区境が水面など道がない場所、歩けない場所になった場合は、可能な限り近い部分を迂回して歩くこととします。
私有地などの場合も同様です。

ここの場合は新四谷見附橋のたもと、四ツ谷駅の麹町出口まで戻ります。
ちなみに駅前の小さなロータリーは旧江戸城の四谷門跡です。
巨大な石垣が一部残り、解説版なども多数あります。

区境に近い道は駅から北側、東京の御三家女子校の一つ、四谷雙葉沿いに向かいます。
左側に旧江戸城外堀の土手があり、上に登る階段があるので登りましょう。
上に上がると、下にJRの線路や外濠公園の施設がよく見えます。
春はお花見の名所となる土手上の広い道を進みます。
少し進んだ左手の緩い斜面は、江戸時代に築造されたままの斜面で、今は江戸期に植えられた松の子孫の林となっています。

広かった土手の道が急に狭くなる場所があります。この辺りの下には、昔は鉄道トンネルがありました。
中央線が甲武鉄道と言って、単線のころの話ですね。
土手上の公園は少し寂しくなり、子供用の遊具などがある場所のすぐ先で階段を降りて外堀沿いの車道に続きます。
大きな道に出たら左がJR市ヶ谷駅です。

四ツ谷駅近くの外堀土手上の道

駅前を通る靖国通りは、ここで外堀を横断して屈曲していきます。
この外堀を横断する土橋の土台は実は江戸時代のまま。
隣接する釣り堀側に行くと、巨大な石垣の壁を見ることができます。

さあ、区境は外堀の中間線を通っているので、この橋のどこかを通過しているはず。
何か目印があるでしょうか?
・・・・・・
ない。

そうです。自治体の境にもちろん地面に線など引かれていませんし、鋲などのようなものもありません。
時々道路などに「⚪︎⚪︎区」などの看板を見ますが、あれは実は実際の境からかなり離れて設置している場合がほとんでです。

では他に何か目印はないかというといくつか参考になるものはあります。
都心部で役に立つのは違法駐輪警告表示と禁煙表示です。
新四谷見附橋上でも、千代田区と新宿区の違法駐輪警告表示がかなり近接しており、区境はこの辺、と感じることができました。
この市ヶ谷土橋でも、橋の上に千代田区の表示があり、中程やや下側に新宿区の表示がありました(私の取材時)。
禁煙表示とは路面に書いてある「歩行中禁煙」というアレです。
今や都心部のほとんどは条例で歩行禁煙です。それを促す表示があちこちにあり、これで区の「縄張り」がわかります。

あとは街中の住所表示で参考になるのは、電話ボックス。
必ず住所が書いてありますが、今はかなり減ってますね。
郵便ポストにも住所は書いてあります。
街頭の消化器・消火栓・街灯にも管理している区が明記してあります。
「ゆっくり走ろう」などの交通掲示にもは必ず所轄署の表記がありますので参考になります。
バス停は時々動くせいか住所表記はありません。
道路上にはよく見るとさまざまな鋲のようなものが打ってあり、これも参考になりそうですが、道の境や測量の基準だったりして、自治体の境を表すものはないようです。

ということで、自治体の境というのはほぼバーチャルなもので、「たぶんここ」という感じで想像して歩くしかないのです。

と言っておきながら実は、稀にですがはっきりと区境の場所が明示されている場所もなくはないです。
次回、その稀有な例をご紹介します。

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