見出し画像

雨上がりのカラフル〜美術館さんぽ8/18〜


COLORFUL-イロドリ日本画展-
郷さくら美術館

最近お気に入りのテレビ番組がある。

司会は片桐仁さん。
彼が美術館を訪れ、作品を鑑賞する流れ。
泉屋博古館東京にチラシが置いてあり、それから見始めた。
セレクションが好みだったのもある。
泉屋博古館東京、永青文庫、国立西洋美術館、そして郷さくら美術館。
追いかけっこをするように私も同じ場所を訪れている(あるいは先回りしている)。

中目黒にある

当日も雨が降っていた。
長い傘を持って、お出かけ。
家事の合間にねじ込んでいる、私の発散の時間。
やるべきことをやったら、自分の好きなことをする。
それでバランスを取っている。

電車の窓からいつも見ていた。
銭湯と教会の間に見え隠れする看板。
こんなところに美術館があるんだ。
ちなみに「ごうさくらびじゅつかん」だと思っていた。
(正しくは「さとさくらびじゅつかん」)

現代作家(昭和以降の生まれ)の日本画をコレクションしている。
洋画に比べると日本画を鑑賞する機会は少なかった。
何となく身構えてしまうが、「カラフル」という軽やかな響きに誘われて入り口をくぐる。

林潤一《四季樹木図》

館内は撮影可能。
1階から3階までの展示。
1・3階が企画フロア、2階が常設フロアとなっていた。

1階 1A「夏を彩るCOLORFULな日本画」
  1B「エネルギー溢れる赤・黃・橙」
2階 常設「桜百景」
3階 「爽やかな青・緑の日本画」

1階に展示されていた林潤一の作品に釘付け。四季の樹木を同一画面に描いている。
まるで縁側に腰掛けて、ぐるりと庭を眺めているような感じ。
光指す部分と日陰の湿った部分。草木が匂い立つようだった。
水彩とも油彩とも違う独特の透明感がある。
彼の作品は3階にもあり
ブナ林が四曲一双の屏風に描かれた《緑林》、朝顔の瑞々しさが伝わる《爽暁清韻》が印象に残った。副題の「morning glory」がぴったりくる。

日本画で使われる画材

こちらも展示されていた。
日本画は何で描かれるのか。
岩絵具と聞いてもピンと来ず。

主に鉱石を砕いてつくられた粒子状の日本画絵具のこと。
粒子は砂のように粗く、艶のないマットな質感が特徴だとか。
これだけでは紙に固着しないので、膠液を加えて使う。

鉱物を砕く!
それも驚きだが、並べられた鉱物を見てさらにビックリ。
宝石だ…。
孔雀石とか紅珊瑚とか水晶もある。
金箔に銀箔、軽石まで!
これらを使って自分の色を表現する。
同じ色を作るのだって大変だろう。

那波多目功一《さざ波》

この作品の前で足が止まった。
河口湖を描いた一枚。
ドライブ中、その眺めにハッとして車を停め3日かけて写生したという。
立った波に光がきらめいている。
水はいくつもの色を重ねたりずらしたりして表現。
濃淡も繊細。湖畔に揺れる葦の葉とともに、自分もそこにいるみたいだ。
国立西洋美術館で観た《ケイテレ湖》も然り、最近湖に心惹かれる。

フロアがゆったりとしていて、圧迫感がない。流れるように作品を観て、ぽつんと置かれたベンチに腰を下ろす。
目線を変えて楽しむのもいい。

年に5回ほど展示替えをするらしいので、また訪れたい。

こちらも寄り道

中目黒からひと駅歩いてみた。
行きたかった場所がもう一つ。

旧朝倉家住宅

渋谷区が管理する重要文化財。
朝倉虎治郎氏の邸宅であり、かつての経済企画庁の渋谷会議所として使われていた。

庭も美しいので、ソファに座ってのんびりしようと目論んでいたんだけど。
現在はソファが撤去、座り込むのも禁止という悲しい貼り紙が…。

代官山駅からほど近いのに、この静けさ。
雨の湿気で床がきしむ。
建物に入ると、独特の湿った匂いがした。
床柱や欄間、古い照明器具。
鈍く光る渡り廊下。
ここでどんな暮らしがあったのだろう…と思いを巡らせる。
足元に気をつけながら庭園も歩いた。


秋のもみじも美しいに違いない。
また美術館とセットで来よう。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?