岩田健太郎先生の本を読むたびに思うことと、おすすめの本
#30分読書習慣 で岩田健太郎先生の本を出しているからか、最近「先生の本が気になっています。ぜひ感想を!」と声をかけてくれた方がいました。先生の本に興味を持ってくださったのがとてもうれしくて、さぁてどんなふうに紹介しようか…と考えたのです。
考えたのですけど、結局のところ、先生の本を読んだあと、思うことはいつも同じであることに気付きました。先生の根幹にあるものはまったくブレないので、本のテーマ(感染症、食べ物、時間、医学教育、などなど)は違っても、行き着く先はいつも同じなんです。
というわけで、先生の本を読んだあと、ほぼいつも以下のようなことが頭の中をぐるぐる駆け巡っては、しばらくいろいろ反省するのでした。
・感情を排除して、事実だけを見ることの重要性(と、難しさ)
・わかりやすい、あるいは、自分が安心できる話(陰謀論とか)に飛びつかない
・納得できるまで考え抜く、問い続ける(わからないことに耐え抜く)
・目の前の人・物事と向き合う覚悟
・もっと勉強しなければ(特に英語。あと統計学)
そのほかにもある気はするけれど、思い出せないのでこのへんで。
先生の本を初めて読んだのは、2011、12年ごろです。上司から『「患者様」が医療を壊す」(新潮選書)を勧められたのがきっかけでした。その後何冊か読んだあと、『新・養生訓』が出るまで読んでいなかったのですが、いま、不安はありつつも比較的穏やかに過ごせている理由のひとつは、先生の本を読んだ経験があったからだと思います。
以下、わたしの独断と偏見ですが、これから読むとしたらこれがおすすめ、というのを3冊選んでみました。
その1:『新・養生訓』(丸善出版)
書店に並んでいる(いわゆる)健康本を題材に、Buzzfeed Medical の岩永直子さんと対談した本です。電子書籍版がなさそうなので、いますぐ読むのは難しいかもしれませんが、批評(クリティーク)とはどういうものか、感情を抜きにして事実だけを見るとはどういうことかが、これでもか! というくらい出てくる、とても実用的なありがたい本です。久しぶりに岩田先生の文章を読んで背筋が伸び、ふたたび先生の本を読み始めたきっかけとなった本でもあります。
たまたま↓のページを見つけました。
私はただ、対談を読んでいるだけなのに、文字を追いながら緊張し、冷や汗が出てしまうこともたびたびありました。でも、これってお互いの存在に敬意を示しているからこそできることなんだと気づいて、(少なくとも会社では)ここまでの人間関係を築けてないなぁ、と反省したのでした。
その2:『1秒もムダに生きない』(光文社新書)
たぶん、一般的にはタスク管理とか、時間管理術に区分されるのだと思います。ふだん、バリバリタスク管理している方にはすでに知っていることも多く、物足りないんじゃないかなぁと思いますが、この本のキモは第3章の「私の時間は何ものか」です。がつんときます。
その3:『インフルエンザなぜ毎年流行するのか』(ベスト新書)
インフルエンザとありますが、ワクチンや感染症対策の話なども出てきます。この本、一気に読めます。新書だから、というのもあるんですけど、文体が「えっ!?」と思うくらいギャップがありすぎてびっくりしました。この驚きを味わうには、別の本を読んでからこの本に手をつけるのがおすすめです。
感染症がテーマの本もありますが(たとえば『絵でわかる感染症 with もやしもん』とか)、まだ読んでいないので取り上げていません(ずっと先送りにしていました)。楽しく学べそうな本だったのでそのうち読むと思いますが、来月出る興味深い本・雑誌を手に取るのが先になりそうです。
いつ書いたんでしょう…。
2冊目は別の出版社から出ていたものですが、まだ読んでいなかったのでこの機会に。3冊目はおそらく医療従事者の方向けだから難しい気もしますが、わかるところだけでも読んでみたいなぁと思っています。