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RAGEのThe Missing Link 変メロバンドから格好いいジャーマンメタルバンドへ 進化の系譜を繋げる一枚

あの頃のRAGEは神がかってたよね。
ジャーマンメタル好きで1990年~2000年あたりを駆け抜けてきた人達と、RAGEについて語る時に必ず使おうと思っているフレーズです。

RAGEは1984年にAvengerという名前で結成されましたが、イギリスに同名バンドがいたため改名し、それ以降RAGEという名前で活動を続けています。
私は1989年リリースの4thアルバム Secrets In A Weird World、1990年リリースの5thアルバムReflections Of A Shadowあたりを聴いたことがあったのですが。
当時ベース兼Voのピーヴィーは絞め殺されそうに苦し気な、裏声交じりのハイトーンを駆使した歌唱を多用、歌メロもなかなかに珍妙なメロディが混入されており、正直当時は「変なバンド」という印象しか持っていませんでした。

その印象が変わったのは次の6thアルバムのtrapped!からで、無理なハイトーンは控えめになりピーヴィーの変メロセンスは曲を中心に発揮され、歌メロはなかなかに聴きやすいメロディになっていきました。
そういうわけでtrapped!はヘンテコなアルバムではあったのですが、格好いいヘンテコなアルバムという印象を持ったのでした。

そしてリリースされたのが7枚目のスタジオアルバムのThe Missing Linkです。

ピーヴィーのメロディセンスとマンニの独特なリフが結実し、クリスのドラムがそれをしっかりと支えるという初期トリオRAGEの音楽性の集大成ともいえるアルバムが誕生しました。
捨て曲皆無でどの曲も格好良く、それぞれの曲がどれも個性的です。
歌メロもハイトーンは所々あるものの裏声が混ざることはほぼ無く、聞き苦しい感じは全くありませんし、メロディもキャッチーでフックも満載です。
1曲目のFirestormから13曲目のAnother Kind of Madnessまで、統一感を持ちつつ万華鏡のように表情を変えていく楽曲群に翻弄されつつもとても満足な時間が過ぎ、アルバム一枚あっという間に聴き終えてしまいます。

アルバムに収録されている曲の中で個人的に一番好きな曲はWho Dares?ですね。
ドラムのテンポがどんどん速くなっていき、最後はツーバスドコドコやりだすのがとても新鮮で、聴いていると曲のテンポが上がっていくのに引っ張られて自分のテンションも爆上がりしていきます。

残念ながらピーヴィー、マンニ、クリスの3人体制のRAGEはこのアルバムを最後に終わってしまい、次からはマンニが抜けてギタリストが二人入っての4人体制となります。
そしてリリースされたのがBlack In Mindというアルバムで、これは非常に攻撃的かつオーセンティックなヘヴィメタルと言える名盤なのですが…正直この3人のまま、あの少しヘンテコな魔法がかかったような状態のままでもう何枚かアルバムをリリースしてほしかったなと思います。

レコードに関しては、私が集め始めたころには当時(1993年)発売されたものは全く見当たらず。
2023年に30th Anniversary Editionが発売されたのでそれを購入しました。
レコード2枚組でアルバムの楽曲はA~C面までに入っており、D面にはボーナストラックが入っています。

正直このボーナストラックは蛇足な気がしているので、私はC面までしか聴きません。
途中で針をあげたり聴きたくない曲を聴いたりしなくていいので逆にこういう構成にしておいてくれてよかったです。

あの頃のRAGEは神がかってたよね。
このフレーズを使うため、まずは1990年から2000年にかけてジャーマンメタルを聴いていた友達を募集したいと思います。

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