前頭葉機能検査-FABについての文献まとめ「Frontal Assessment Battery」

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https://note.com/kuro_hakos/n/nfac24a00b7ba?magazine_key=m85087620777f

FABについてまとめてみました。

参考文献の書き方が雑になってます。

+でもーでも評価していただけるとありがたいです。

FAB-前頭葉機能検査

【概要】
· FABはDuboisらにより2000年に発表された検査で6つの下位検査からなり、 様々な下位検査を総合して得点化している。
・施行が簡便であり、 所要時間も15分以内で済むこと、 得点の幅が少なすぎず多すぎず直感的に高低を把握しやすいことから臨床場面で頻用されている。
·FABの得点はMMSEやCDR、記憶検査の結果と正の相関をもつことから知能や記憶などの認知機能全 般を反映していると考えられている。
•他の検査結果や症状から慎重に判断する必要があり、FABが低値であるから前頭葉機能障害があると短絡的な診断をしないように留意する必要がある。
· 18点満点であり、 カットオフは12/11点におかれる。
· 8歳以上で満点が取れる課題となっている。 22)では健常であれば17点以上。70歳代以上だと10点以下で異常となっている。

【検査内容】
前頭葉+他機能が関係している。
※パーキンソン病患者を集めた際に、FAB低値群で血流低下がみられたのは左下頭頂小葉、左縁上回であった。 前頭葉に差はみられなかった。

①概念化(類似性の理解)
・知能. IQが関係する
・いくつかの語彙の共通する上位概念発見の能力評価。
・類似性は失語症が無ければ抽象的思考力の低下を表していること、 具体的側面に執着し、 抽象的な施行が困難になるといわれており、 概念の転換障害を意味する。
・上位概念を言えずに誤反応を示した患者でも、課題単語対の共通属性を述べることができた患者と述べることができなかった患者の間で、概念操作の障害の程度に差がある可能性が示唆される。
→正答以外の共通する部分を言えたか言えないか。

②思考の柔軟性(語の流暢性)
・指定された文字から始まる単語を1分間でできるだけ多く想起する文字流暢性課題。
・ルールにしたがった語の効率的な検索と想起が必要で、 課題に対する思考の柔軟性を評価している。
•前頭葉の中前頭回、 左下前頭回、 側頭葉の右下側頭回後部、 帯状回が関与している。
―低値―
・非日常的な作業を自分で組織意味記憶から思い出すことが困難になる。
・失語症を生じなくても自発言語の減少が見られる
・運動や精神活動の減少、発想も貧困になるといわれている。


③運動系列(運動のプログラ ミン グ)
· Luriaの系列を思考させることで、運動を継続的、効果的に行う為の行為の組織化の能力を判定しており、運動のプログラミングを評価している。
・錐体外路症状や失調、失行などの運動機能が影響する

④葛藤指示(干渉刺激に対する敏感さ、 two-one tapping 課題)
・被験者がみた反応に対して言語命令に従って手をたたけるかどうかのtwo-one-tapping課題で、干渉に対する俊敏さを評価している。
• 前帯状回(葛藤)、下前頭回(抑制)記憶が関与している。

⑤GO/ NO-GO 課題(抑制コントロール)
・検査者が手を叩いても被検者は手を叩かずにいられるかを判定することで、適切な行動を取るために不必要な外界からの刺激への反射的な行動を抑制するという機能を評価している。
・記憶が関与している。
• 同じよ うに叩き続けた場合、保続が考えられる 。

一低値一
・ステレオタイプの抑制障害や、習慣的な行為や認知傾向を抑制することが困難である
・現在行っていることを止めて他のことに 転換することが難しく 、概念の転換障害に近い。
• 前課題の葛藤に対する指示入力が保続として残存し、そのため、一度描いた概念が転換できないことが考えられる。
・思考の柔軟性の低下や概念の転換障害を生じることで発想や視点の転換が困難で、1つの考えや視点にこだわり、柔軟な思考ができなくなるといわれている。
. 1つの動作に固執し、指導内容が反映されないことは思考の柔軟性の低下や概念の転換障害の影響と考えられている。
→このような患者には絵や文字を取り入れたパンフレットなどを用いた指導が必要である。
しかしそれだけでは患者自身の行動変容を伴うことができず、実際の動作や環境の変化のなかで楽にできたという成功体験を用いること、実際の動作を数値化して本人へわかりやすくフィードバックすること、本人だけで無く家族など周りの支援者にも直接的に指導を行うことが必要であると考えられる。自ら得た動機づけの中から行動変容が行えるようなかかわりが必要である。

⑥把握行動(環境に対する被影響性)
・手掌に加えられた刺激で誘発される病的把握の有無により、環境に対する被影響性を評価している。


【介入による FAB 得点変化】
· 4) COPD、PD、PSP、AD 、FTD、多系統萎縮症、皮質基底核変性症で低下することが報告された 。
· 1 1) FAB はうつ状態で有意に低得点を示す。
· 2 8) FAB は失語では低値 となる。
· 3 0 ) 男性において FAB 得点は LS(ロコモティ ブシンドローム)のリスク要因であることが示された 。

【他検査との相関】
· 1)FAB は記 憶検査と 正の相関を有する。
· 5) FAB の点数は WCST の保続と相関している 。MMSE は相関せず、前頭葉機能の評価に有用である 。
· 1 3 ) 時計描写課題 (CD T) では輪郭と針の描写が FAB の得点と相関 している。 また、CDT と FAB
は正の相関を示した。
· 1 6) anti-saccade 課題正答率とFAB下位項目の運動プログラム得点に有意な正の相関が得られた。
· 2 4) FAB と FIM は相関 を示し、前頭葉機能が AD L の自立度に影響することが示唆された。
· 2 7 ) 前頭前野の内側障害群 において BADS 改善率、ハノイの塔改善率と FAB 改善率は相関していた 。
· 7) FAB の語想起課題と葛藤指示においてやる気スコアやアパシーとの間に有意な相関を認める。
· 1 9) MMSE と FAB は年齢と相関 する。
· 3 1) DHA、EPA の摂取により FAB の葛藤指示、 MMSE のことばの反復が有意な正の相関を示した。

【介入による得点の変化】
・高原ら)MMSE23 点以上の高齢者 15 例において 遂行機能トレ ーニングを週 2 回行う事で MMSE,T MT ­ A,St roop,IAD L 評価,FAB の得点向上がみられた。エビデンスII a
・中村ら)高齢者 11 例において 30 分以上の有酸素運動、注意の変換・分配課題をつき 2 回実施することで FAB の得点向上がみられた。エビデンス II b
・3)認知機能訓練(算数、音読)によりFABの得点が有意に向上 した 。
·29)老健において運動療法を主とした機能訓練に加えて、認知課題である数唱、逆唱、ストループテスト、かな拾いテスト、減算課題の人地理はを週3 回、20分行い、3ヶ月実施することで抑うつの指標であるGDS,SDS 得点が改善し、認知機能ではFAB得点が向上し、有意差が認められた。

【転倒との関連性】
· 15)転倒群はTMT-Aの所要時間が長く、FABおよびSIASの腹筋カ・垂直性の点数が有意に低かった。場面に応じた対応ができず、運動プログラムが行えず、動作の順序を誤り、行為中に外界の不要な刺激に反応し、二重課題を処理できないことなどが起因となり転倒に至った可能性が示唆される。このことから FAB と転倒に関連を認めたと推察される。


【認知症との関連】
. 7)脳血管性認知症のFAB得点は他認知症と比べて明らかに低値である。
· 12)血管性認知症の早期診断にはFAB が適している 。
. 9)ガランタミン投与後、4週後にFAB平均8.8点から10.2 点、8週後に10.7点と有意に改善した。
· 1 4 ) 田原ら)4 歳児~10.5 歳児の概念についての研究
→ 4 歳児は共通・上位共に概念形成ができず、 5~7 歳では何らかの共通概念が抽出できる。 8 歳になって急激に上位概念が用いられ、9 歳になると安定する。
→認知症では逆の順で障害されていく。
· 26)FAB や MoCA-J による群分けによりMMSEの点数で初期認知症 と判断された高齢者の判別も可能であることが示された。
· 25) FABは健常群とMCI 群および健常群に対しAD群で顕著に得点が下がることを報告している。
· 32) ADの初期症例に対し高血圧や糖尿病のコントロールが先欠であると考え降圧剤の変更やインスリン抵抗性改善薬を投与した結果、 MMSEやMoCA-Jに有意差はなかったがFABにおいて軽度の改善・前頭葉から側頭頭頂葉を含む広範な領域の血流改善がみられた。
· 33) AD の誤認因子該当群(人物誤認、幻の同居人、 Capgras 症状、人物・場所の重複記憶錯誤)では
FAB の成績にも低下が見られた。
· 23 ) 多忙な日常診療の認知症スクリーニング検査では MMSE ·FAE· ABS· GDS ·AS· ADCS-ADL
の6検査の組み合わせが有用。

【脳機能との関連】
· 6) PVHが重症になるにつれてRCPM、MMSE、FABのいずれも成績が低下する傾向が示された。このうち DWMHではRCPMのみが有意差を認めた。 FABの成績とPVHの重症度との関連は大脳白質線維の障害と関係しているものと考えられる。
· 6) FABは後頭葉、小脳を除いた両側の前頭葉、視床、右半球の広範囲での脳血流との関連を認めた。
. 6) 内頚動脈狭窄症では両側の場合に、有意な低下を示した。
· 12) WCSTとFABは白質病変と相関している。
· 17) SBR(静注、SPECT)はTMT-BやFABに有意な相関を認め、 DAT (ドパミントランスポーター:ドパミン再取り込み)の集積と前頭葉機能の関連が示唆される。
· 17)展望記憶は前頭葉機能と深く関連 し、TMT-B,FAB,WCST等の前頭葉機能と相関が高いとされる。
· 18 ) 前頭葉機能障害と歩行障害に対するリハ即時効果との関連が推察され、FAB による評価が PD患
者の歩行障害に対するリハ即時効果を予測する上で有用と考えられる。
· 2 0 ) 前頭前野の機能を調べる FAB 検査は 50 歳代までの健常成人で18 点満点がとれ、 60 歳以降徐々に得点が低下する。
· 20) 前頭前野機能は調理習慣 による生活介入により向上する。
· 21) 楔前部・後部帯状回の血流低下に関連する神経心理学検査ではFAB が抽出された。
· 21) 類似性GO/NO-GO、把握行動には前頭前野背外側部が関連する。後部帯状回は前頭前野背外側部と線維連絡があり、後部帯状回の血流低下 によりFABの得点が低下する可能性が考えられる。


【参考文献】
1 )前頭葉の機能解剖と神経心理検査:脳賦活化実験の結果から一佐藤正之
2 )認知症予防におけるわが国の作業療法効果の文献探索的研究一松本ら
3 )学習活動の遂行で健康高齢者の認知機能を改善できるか一転移効果から一吉田ら
4 )慢性閉塞性肺疾患患者における前頭葉機能の検討ーfrontal assessment batteryを用いて‐岡島ら
5 )筋萎縮性側索 硬化症におけるFrontal Assessment Battery による前頭葉機能評価-寺田ら
6 )内頚動脈狭窄症における Frontal Assessment Battery(FAB)を用いた認知機能評価と局所脳血流の検討
7 )前頭葉実行機能に対する情動障害(うつ、アパシー)の影響ー山口ら
8 )前頭葉損傷による高次脳機能障害のみかたー前島ら
9 )認知神経科学によるフィールドアプローチー障害児者の早期発見と介入の試みー,脳機能賦活に対する
ChE阻害薬の早期介入ー小黒浩明
10)慢性呼吸器疾患患者の高次脳機能障害の検討 ー岡島ら
11)もやもや病患者におけるうつ状態の発生と前頭葉機能に関する検討 ー中溝ら
12)白質障害と認知機能ー小林祥泰
13)認知症の脳ドック健診における時計描画試験の有用性
14)Frontal Assessment Battery(FAB) の類似性課題における概念操作障害の重症度評価法の作成と妥当性の検討一堀ら
15)短下肢装具を作成した在宅脳卒中者における屋内転倒予測因子の検討一回復期リハビリテーショ ン病棟での退院前評価を用いて一村田ら
16)Parkinson's disease(PD)における前頭葉機能不全:記憶追跡課題,ant i-saccade課題と運動・高次脳機能評価の比較ー伊藤ら
17)パーキンソン病における線条体ドパ ミントランスポーター集積の関連一 沢田ら
18)パーキンソン病患者の前頭葉機能障害とリハ即時効果との関連~歩行時の下肢関節角度と体幹バランスの検討~ 宗宮ら
19)アルッハイマー病患者における側頭葉内側萎縮と大脳白質病変の併存効果一徳地ら
2 0)調理による能の活性化(第二報)一調理習 慣導入による前頭前野機能向上の実証実験ー山下ら
21)物忘れを主訴に神経内科を受診した患者における海馬の萎縮および脳血流と神経心理学検査の関係ー備前ら
22)遂行機能障害と前頭葉ネットワークー 山口 修平
23)日常診療における認知症スクリーニング検査の組み合わせー長船ら
24)脳損傷患者のADLと前頭葉機能との関連一玉那覇ら
25)高齢者に対する Frontal Assessment Battery(FAB)の臨床意義について 一 前島ら
26)BCIと前頭葉機能検査を用いた認知症の早期診断法ー諸岡ら
27)前頭前野に病変を有する脳腫瘍患者の遂行機能障害評価ーBADS(Behavioral Assessment of the Dysexecutive Syndrome)得点の有用性ー原田ら
28)リハビリテーショ ン病院で軽度失語症者を見過ごさないための方法ー山路ら
2 9)介護老人保健施設入所者の抑うつに対するリハビリテーション効果の検討:前後比較研究 ー坂本ら
3 0)都市部地域在住自立高齢者におけるロコモティブシンドロームのリスク要因の性差ー白谷ら
31)ドコサヘキサエン酸の食品への利用~特定保健用食品を使った臨床研究~玉井ら
32)NilvadipineとPPARyアゴニストの併用により認知機能や脳血流量が改善した早期アルツハイマー病の 1例ー佐藤ら
33)アルツハイマー病とレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)における誤認妄想:連続症例を対象とした検討ー安中ら


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