2021年5月6日憲法審査会 山尾志桜里委員発言

2021年5月6日憲法審査会 山尾志桜里委員の発言を文字起こししました。

◆立民提出の修正案に関する意見

あのですね、限られた政党間で合意していただいてもそれはどういった意味を持つのか国民に対して全く開示されないんですね。
でも私申し上げておきたいと思いますけれども、こうして修正案の提出者としてしっかりとその修正案の質疑を通じて、立法者意思、修正案の提出者としての意思を議事録に残す正当な機会があったにもかかわらず、自らそれを応じなかったわけですから、後から自由討議で独自見解を言われてもですね、その修正、最終の表明としての説得力が全く欠けるということを申し上げたいと思います。その上であのもう本体の話をさせていただきます。

◆緊急事態条項

今日は緊急事態条項と自衛権の話をしたいです。
あの憲法記念日に改めてですね、やっぱり憲法本体の戦後の宿題にきちっと回答を出すべきときが来てるんじゃないかっていうことを私自身は感じました。
憲法に緊急事態条項がないこと、自衛権を統制する条文がないこと、やっぱり現実に存在するものを憲法上ないことにしていて、だからしかも国家の危機を統制できない社会になっていると。それを実感させてるのが、このコロナ禍と中国の拡張主義だというふうに思います。

今回のコロナ禍では必要な議論や十分な説明がないまま、本当に国民ひたすら先の見えない我慢を強いられています。
せめて緊急事態宣言が国会承認事項であったら、少なくとも今より政府は科学的な根拠を示したり、合理的な説明をしたり、そういう必要に迫られていたのではないかとも思いますし、国会議員自らが賛成反対を問われて、そして後からそれが正しかったのかって検査を受けるわけですから、もっと緊張感を持って自責の念も込めてですけど調べて悩んで質疑に立っていたんじゃないかというふうに思います。
改めて自民党の平成24年の改憲草案にあった緊急事態条項、ゴールデンウィークに読み返しました。
宣言を出すには必ず国会承認が必要と、一度出されたら100日ごとに必ず事前の承認が必要かつ国会には宣言解除の議決権すらある。
ただし宣言の効果としてですね、立法権を国会から内閣に移してしまうに等しい点は私問題だと思ってます。
ただこういうところはきちっとみんなで改善していけばいいと思います。
やっぱり今コロナ禍で宣言を出せば出すほど効果に疑問符がつくような状況になっているのは、厳粛に、法の根拠に基づく使い方をせず、お手軽な警戒警報のように使ってきたきらいがあるからじゃないかと思います。
そしてそんなふうに使えてしまっている特措法の要件効果が多くが政令に委ねられていて、割といつでも出せる、割と何でもできる、そんな法律になってしまっているという問題点があると思います。
緊急事態宣言というのは何かレインボーブリッジを赤く染めて国民を緊張させるメッセージを発するためにあるんじゃない。
やっぱり平時には許されないレベルの人権制約を、まさに緊急事態として一時的に可能にするための法の根拠に基づいた危機管理、国家の危機を乗り越えるために必要不可欠な力だけど極めて人権保障にとって危うい諸刃の剣。
だからこそ事前に国民の意思でルールを定めておくこれが緊急事態条項であって、それを置く場所はまさに国民の意思で権力を統制する憲法だと私は思います。

◆憲法9条・自衛権

そして9条、自衛権の議論も結局同じです。
海警法改正が象徴する中国の拡張主義が日本の安全保障にとって直接の脅威となっている今、改めて自衛権が日本という国家の存続、ひいては国民の生命安全のために必要不可欠な存在です。
これ以上、憲法で無視し続けるにはあまりにも重要で、しかも存在だけ書き込んで終わらせるあまりにも強い力だと思います。
だからこそ憲法に自衛隊を位置づけて、そして少なくとも基本的な枠づけを定める議論をしようと訴えてきました。
自衛権が戦力であること、その行使が交戦権の一部行使に他ならないことそれをきちっと正面から認めた上で基本的なルールを定めるべきだと思います。
緊急事態条項に据え置く場にせよ、月の国家に必要不可欠な力を憲法上ないことにして無視し続けることで押さえ込もうというのは、日本の法の支配にとって限界そして有害ということだと思います。

最後に、本体の議論として、もちろんデータ基本権の議論大事です。緊急事態に国家の権能維持するための出席の問題や、任期の問題も極めて重要です。
ただ、戦後76年が過ぎて、日本という国家の自律と法の支配を確立するための核心部分は、やはり球場であり、緊急事態条項であると思います。
あわせて砂川事件(Wikipedia)の最高裁判決で象徴的に傷つけられた日本の司法の独立を再構築して、統治行為論から卒業するための憲法裁判所の検討も同じ根っこを持つというふうに思っています。

憲法審査会も変わってきてると思います。
時代や国際環境が変わってきているのに、変わらない方がおかしいです。
変わると一時的に非難を受けるかもしれませんが、みんなが少しずつ変わっていくことで、左右の分断を埋めていくような、1人1人が石になることができたら、憲法審査会のメンバーとして本望ではないかと思っておりますので、ぜひ今後とも建設的な議論を進めていきたいと思います。

◆参考資料:

①憲法改正に向けた論点整理

自衛権・自衛隊関連 - P.35
緊急事態条項関連 - P.47

②20210506憲法審査会 山尾委員発言部分(山尾志桜里チャンネル)

③20210506憲法審査会 山尾委員発言部分(Nth国会)

④国会会議録(未掲載)


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