信仰の対象と芸術の源泉-世界遺産の富士山が抱えるその問題とは
こんにちは、くろ(旅*世界遺産ライター)です。
先日6月22日、日本最高峰の富士山が世界遺産に登録されてちょうど10年を迎えました。各所で記念式典も行われたりしたので、報道を目にした方も多かったのではないでしょうか。
その一方で、富士山が抱える問題についての報道もいくつかあったのも事実です。
そこで今回は、それらの報道を受けて、私なりの考えを書いていこうと思います。
世界遺産としての富士山
まずそもそも、富士山のことを世界自然遺産だと思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし世界遺産としての富士山の名称は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」です。この名称から想像できる通り、富士山は世界文化遺産として登録されています。
ちなみに「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」に登録されている場所は、富士山域の場所含め、以下の通りです。
そして富士山は、ⅲとⅵの二つの登録基準で世界遺産に登録されています。
オーバーツーリズム
有名な世界遺産であればどこでも付きまとうとも言えるこの問題。特に富士山は、世界遺産になる前から日本を代表する場所として、オーバーツーリズムが問題になっていたように思います。
環境問題やそこで暮らす人々の生活の問題など、オーバーツーリズムになっていいことはほとんどありません。
オーバーツーリズムの話を聞くたびに、入場制限(この場合入山制限)をかければと思うのは極端すぎでしょうか。ペルーのマチュピチュなどはその例ですね。山岳信仰という側面もあるとは思いますが、富士山の場合は、果たして登ることが全てなのか、それに入山禁止にする訳ではないですし。
また日本の世界遺産も含め、観光名所にもなっている世界遺産の場合、その入場料などの収益で保護・保全の資金に充てていることはよくあります(例えば富岡製糸場など)ので、何らかの形で保全料を取ることはむしろいいことだと思います。任意徴収では払わない人が多くあまり意味はないので、義務かやらないかの2択ですね。
鉄道建設
富士山に関する話題として、一番旬とも言えるのが五号目までの登山鉄道建設問題。実は昨年12月の世界遺産検定マイスターの試験でも、この事案に関する内容が出題されています。
建設推進派である山梨県の長崎幸太郎氏の「大型バスによる渋滞問題への対策」という意見も理解できる部分がある一方、富士吉田市の堀内茂市長「整備することでの環境への負荷」というのも分かるところはあります。渋滞や環境問題への影響は、どちらの意見ももう少し細かい予測データを見たいですね。
また世界遺産としての富士山は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」という名称で登録されているので、渋滞や環境に対する議論もさることながら、それ以上にこの"信仰の対象と芸術の源泉"に対しても、どのように影響されるのか議論を見てみたいです。
まとめ
いかがだったでしょうか。色々と賛否両論がある話だと思いますので、ぜひ皆さんのこの問題に関する意見も聞かせて欲しいです。
そして芸術の源泉という観点でいえば、富士山の世界遺産登録10周年を記念した芸術イベントも開催されているので、気になる方はぜひ行ってみてください。
メインのイベントは6月22日に実施済みですが、イベント自体は7月17日まで開催中です。
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