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ボーイスカウトと学校教育(初出2006年02月18日)

ぬまたさんからご紹介いただいて、「memorandum」というサイトの「ボーイスカウトと学校教育」という記事を拝見しました。
http://d.hatena.ne.jp/bn2islander/20060215/1140011436

この記事の中で、うちのブログの「班の意識」 の記事を引用していただいていて(ありがたいことです)、学校教育とボーイスカウトについて、「班」 をベースにした比較を深めてくださっています。「班の意識」で紹介した 「日本を滅ぼす教育論議」と言う書籍がベースになっていて、この本に対するコメントの中で、 うちの記事を引用してくれています。

このなかで、「ボーイスカウトが下火になっている理由もわかるような気がする」とコメントをいただいています。「そうだよなあ」 と思いつつ、ふと考えてみると、ボーイスカウトが多い国を見ていくと、学校教育と「班」との関係やきっかけが見えてくるような気がしました。

たとえば、アメリカ。ここは、私の記事でも紹介しましたし日本を滅ぼす教育論議でも記述されていますが、学校教育の中で、 班としての教育がどうも行われていないことから、その補完としてボーイスカウトが貴重な存在なのかもしれません。また、 インドネシアは逆にボーイスカウトが学校教育に取り込まれてるからこそ、人数が多いという状態なのでしょう。班としての教育を、 学校教育の場でボーイスカウトの手法を利用していると言うことなのかもしれません。(誰か、インドネシアのボーイスカウトの研究をお願いしたい・ ・・。)

これって、結構重要。この学校教育と「班」との関係が見えてくると、 日本における班制度のあり方が根本的に間違っている可能性があるわけです。つまり、学校教育での補完を考えて「班」のあり方を見ていけば、 班長がより楽になるような気がするし、「学校の中での班も、こんな風に運営していけば楽だよ」とつなげることができれば、ボーイスカウトが 「リーダーシップを育成している」と言うことの明確化が可能になってくるはず。

ものすごくいい示唆を受けたように思います。ぬまたさん、ご紹介ありがとうございました。

と書きながら、一番の問題に気づいてしまいました。それは、そういう各国の現状について、「日本のボーイスカウト組織では、 何ら研究が行われていない」と言うことです。いや、もしかしたら、誰かがどこかで行っているのかもしれませんが、それがしっかり研究論文・ 資料として残されていかない限り、誰も知り得ることができません。

法学研究においては、「比較法研究」というのが重要な一分野を形成していて、各国・各地域の法制度を比較することで「本来のあるべき姿」 「適切な制度設計」などを検討しています。同じようにボーイスカウトにおいても「比較制度研究」が必要な時期になっているのだと思います。 そして、それを記録として残していく作業も重要だと思います。

中村知さん(=ちーやん)が、「ローバーリング ツウ サクセス」を翻訳していく際の疑問点を「英国ローバーの研究」 としてまとめていったと聞いています。これなんかはまさに比較制度研究なんでしょう。 このような地道な作業をボーイスカウト組織内部で続けていかないと、「本質」が見えてこないような気がしてなりません。

ちなみに、3月18日のスカウティング研究集会では、「タイ」のボーイスカウトに関する研究の発表をお願いしています。その意味では、 スカウティング研究センター・スカウティング研究集会は、ボーイスカウト組織の補完をもう始めています(または、始めているつもりでいます)。

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