小説「フルムーンハウスの今夜のごはん」【第7章】リノベーション
第7章 リノベーション
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耕平は今、大宮の実家の茶の間にいる。本日のミーティングの出席者は、健斗と直樹、そして耕平だ。和江は上機嫌でお茶などを用意している。
「ボクが前に働いてた下北沢の美容室のお客さんで、店舗設計の会社の社長さんがいるんですよ」
直樹は今日も小鹿のような顔で話す。最近髪の色を少し暗くしたので、ますますバンビのようである。
「井上さんって人なんですけど、すごくセンスが良いんですよね。レストランとかカフェとか、飲食系の店舗に強いらしくって」
美容師