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ぼざろの同人誌を買って、自分も同人誌を出すことを決意するまで

「また買ったなあお前! 性懲りもなく!」
……と言われそうですが、また買いましたよ、同人誌を。
そして感化されちゃいました、同人誌に。

同人誌はね~……厄介な存在なんですよ。
だって、買ったら基本的に捨てられないじゃないですか。この世に数十部しかない作品だと分かってて買うわけですからね。
我が家にはゆるゆりにVOICEROIDに少女終末旅行にVTuberと、今まで好きになったコンテンツの同人誌が棚に並んでいます。私のオタクとしての歴史を感じる棚になってきました。
現在進行形でどんどんスペースが侵食されているのです。最近は電子書籍中心とはいえ、このままだとますます紙の漫画が買いづらくなりそうなので、買うのはなるべく控えたいんですよね。

でも、売ってたら買っちゃうんですよ。
そこで手に入らなかったら最後、二度と手に入らない可能性だってありますからね。
私もこれまでの人生で手に入れられなくて後悔している同人誌が何冊かあります。その気持ちを味わいたくないからこそ、欲しいと思った時にはもうポチっているわけです。

これ以上増やしたくないと思いつつ、それでも同人誌の数は増えていく……将来は大豪邸に住むことを検討したほうがいいかもしれない。

読んでみた感想

前置きはさておいて、今回買ったのは以下の二冊でした。

  • 竹野の寝床(竹野)『虹夏とアルコール』

  • はっぱどおり(ahonok)『甘えて。甘えさせて。』

私のオタク人生をぼ虹に染めてしまった主犯格(褒め言葉)こと竹野さんと、同じ物書きとして尊敬の念があるこのは(ahonok)さん。そんな御二方の同人誌を購入しました。

竹野さんの作品については以前も語った通り、原作の延長線を進んだような、本当にあったかもしれないと思わせてくれる丁寧な作りが魅力。今回のアルコールの話も、アニメ8話のその後という設定なので、「こんな風になってたらいいなあ……」としみじみしながら読んでいました。五臓六腑に染み渡る読み心地。

虹夏ちゃんがお酒にすごく弱かったらいいなあって思いますし、何よりぼっちちゃんが虹夏ちゃんを撫でるシーンは、一連の表情がすごく豊かに切り替わっていくのでたまらなかった。

店長さんと協力して虹夏ちゃんのシャワーと着替えをさせたことがさらっと明かされたり(超重要情報)、お布団の中の会話で二人の心の距離がぐっと近くなったり、オチの精神攻撃や手繋ぎ含めて見どころ満載で、相変わらず愛に溢れている作品でした。染みる。

一方、このはさんの作品は、同じ物書きという視点が入った状態で読むことになったので、そこにひとつの面白さがある作品でした。こちらの表紙・挿絵も竹野さんが担当しています。
まず、一連の作品のストーリーが全部繋がっているのが良かったですね。pixivでああいうシリーズ物を読もうと思うと、それなりに心理的なハードルがあったりなかったりするんですが、紙の本だとむしろそれが普通なので一息に読めちゃいました。

で、実際に読んでみたらまあ驚きました。このはさんの小説ってこんなに甘いんだって。
それまでこのはさんの作品をあまり読んでこなかったのもありますが、最初から最後まですごく甘々で、幸せで……蜂蜜とクリームをたっぷりのせたパンケーキのような、幸福な読後感がありました。

何より嬉しかったのが、純粋に甘い生活を送る二人がそこにいたことです。ただ撫でたりハグしたりする二人とか、ちょっぴり罪悪感を噛み締めながら深夜に通話する二人とか、お泊り独特の距離感で少し浮き立つ二人とか……
かけがえのない日常の一瞬を丁寧に切り取った文章が、私にはすごく眩しくて、羨ましかったです。

自分も同じような文章を書けていたはずなんですよね。
それこそ書き始めて間もない頃は、好きな二人がただ楽しく生活している作品をたくさん書いていたように思います。
そういうのに段々慣れてきて、いつしか長編作品なんかも書くようになったわけですが、そうなると少しずつ意識が変わってきて。
人を感動させる脚本術とか、三幕構成とか、そういう理屈を意識するようになると、ストーリーの中でキャラクターに試練を与えて、それを乗り越えた時に得られるカタルシスを重視するようになりました。

それはそれでたくさんの方に評価していただいているので後悔はしていませんが、初期に書いていたような、あの純粋な甘みをぎゅっと詰め込んだ文章が書けなくなっているような気がしていました。
このはさんの作品には、いい意味でその「甘み」が詰まっていました。今の私にはきっと書けない、優しさと甘さが詰まった作品です。

感化されて・・・

「Kurikiさん(※前のペンネーム)は同人誌作らないんですか?」
「栗城さんの同人誌買いたいです!」
ありがたいことに、そんな風に言われたことは一度や二度ではないです。
でも今まで同人誌を作ったことはありません。合同誌に何度か参加してお茶を濁していました。

理由は至極単純で「めんどくさい」からです。
「お金がかかるから」とか「コミケ暑いし」とか、そんな理由は建前でしかなくて。
結局のところ、今まで「やりたい!」というモチベーションが、底にある「めんどくさいなあ」を超えることがなかったのです。
もとから何かをする時に先頭に立つタイプじゃないので、何もかも自分で決めなければならない不安も少なからずありました。

そんな折、先程の同人誌の竹野さんとお話する機会がありまして。

竹野さん「栗城さん本出さないんですか」
わたし「出したいです」
竹野さん「出してください」
わたし「はい……」

というわけで、出すことになりました。

なんかこれだけ見ると、竹野さんの「お前も本を出さないか?」プレッシャーに負けたみたいに見えますが、そんな単純な話でもないのです。

まず、なんでもいいからきっかけが欲しかった。「めんどいな~」で先延ばしにする自分に対して、誰かがおしりに火をつけてくれないかなって、ぼんやりと思っていました。
そんな火をつけてくれたのが竹野さんだったのです。ぼ虹の世界でこれ以上に勇気づけられる人なんていないでしょう。少なくとも私の中ではそうでした。だから出そうと思いました。

時期的に機運が高まっていたのもありました。来年には総集編の劇場公開が控えていて、まだまだ盛り上がりそうな『ぼっち・ざ・ろっく!』というコンテンツ。来年には就職し、可処分時間が減っていくであろう自分の人生。
それらを俯瞰してみた時に、「今こそ出すべきじゃないか?」と思ったのです。

そしてもう一つ。
自分がTwitterを始めてから少なくとも6年。その間、文章やイラストをずっと作ってきました。ありがたいことに、私の作品を好きだと言ってくださる方がいて、人との縁も少しずつ広がっていきました。良いことも悪いこともたくさんありました。

もし、それらの経験・人脈をフルに活用して同人誌が作れたら。
これまで歩んできた自らの生き方を、ちゃんと肯定できるのではないかと期待しているのです。

そんなわけで、まだ右も左も分からない初心者ですが、最初で最後のつもりで出す同人誌企画を、これから少しずつ進めていこうと思います。

よろしくお願いします!

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