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秀作の1期、傑作の2期を超えて、「アニメウマ娘3期」は何を描いたのか

 「最高のアニメを教えてくれ!」と聞かれたとします。
 一般人に聞かれたら『宇宙よりも遠い場所』と答えます。
 ですが、信頼できるオタクに聞かれたら『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』と答えます。

 というわけでこんにちは。
 先日、アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』の視聴を終えました。

 私が言うまでもなく、アニメウマ娘の1期・2期は素晴らしい作品です。
 スペシャルウィークを軸に据えた1期は、その突飛なビジュアルに反した王道のスポ根要素、かつ史実とifをバランス良く織り交ぜた秀逸なアニメ作品として高い支持を得ました。
 トウカイテイオーとメジロマックイーンが主役を務めた2期では、ほぼ完全に史実路線へとシフト。幾度となく怪我を負い、再起不可能に思えても立ち上がるテイオーの姿に多くの人が涙を流しました。

 私もこの1期と2期が大好きで、特に2期は傑作と言っても差し支えないクオリティーだと思っています。私事ですが、初めて円盤を揃えたアニメもウマ娘2期でした。普段はアニメを見直さないのに、この2期に関しては少なくとも5回見直していますからね。そのくらいこの作品が大好きでした。

 そんな事情もあり、3期が発表された時は歓喜したのを覚えています。2期のラストから世界観を引き継ぎ、キタサンブラックとサトノダイヤモンドを描くこと。Web限定で放送された『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』もこれまた素晴らしい作品であったことから、期待値はストップ高です。これはもう間違いない!
 ただ、2期の出来があまりにも良かったので、「さすがに2期レベルのクオリティーを求めるのは酷かな」とも思っていました。
 私が放送前に気になっていたのは、以下の3点です。

  1. キタサンブラックをどう描くのか?

    • 古馬になってからは基本ずっと強いし怪我もしない。それ自体は良いことだが、トウカイテイオーのように試練や苦難を描きにくい。一体どうするのか?

  2. ドゥラメンテは出すのか? 出すならどう描くのか?

    • 史実では(あえて悪い言い方をするなら)キタサンブラックに「勝ち逃げ」した馬。ライバルとしてはちょっと描きづらいし、かといって全く触れないのも違和感が残る。一体どうするのか?

  3. サトノダイヤモンドをどう描くのか?

    • ディープ産駒らしく、古馬になってから急速に衰えた馬。キタサンのように有終の美を飾れたわけでもない。キタサンのライバルとして描くなら、その辺は触れるのか?

 様々な疑問点はありつつも、「まあアニメウマ娘のスタッフなら上手くやってくれるだろう」と思い、ワクワクした気持ちでアニメを見始めました。そうしたら……いろんな意味でびっくり!
 今回はそんな『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』で特に気になったポイントをピックアップしていこうと思います。

最高のスタートダッシュ

 1話をリアタイで見た視聴者は、眼前に映る皐月賞を見て度肝を抜かれたことでしょう。いきなり実況が「ドゥラメンテ」と言い出したのですから。
 前提として、ウマ娘3期は放送前にドゥラメンテが登場することを一切明かしていませんでした。「出てほしいけど、情報を見る限り出なさそうだなあ」と思わせておいて、冒頭でいきなり登場! 視聴者はいきなり脳を焼かれてしまいました。
 なんといっても、ドゥラメンテの馬主は天下のサンデーレーシング。彼女の登場は、今後オルフェーヴルやジェンティルドンナなど数多の名馬も登場することを意味していたので、ウマ娘好きからすれば最高に嬉しいサプライズでした。

この表記が出るだけで感動もの

 3期1話は2期1話を踏襲している部分も多いです。日本ダービーまでを描く流れもそうですし、主人公の性格と努力する姿、今後何度も戦うことになるライバルの登場などが描かれます。2期を見ていた頃の記憶が蘇るようで、実家に帰ってきたような感動をしみじみと感じながら見ていました。
 トウカイテイオーが皐月ダービーの二冠を制したのに対し、キタサンブラックはドゥラメンテが二冠を達成するのを「見る側」だったのも良い対比です。
 そして、この立ち位置の違いが2話でも大きな意味を持ちます。

ナイスネイチャ先生

 3期2話は、これまた2期2話を意識した構成になっています。

 トウカイテイオーに憧れてレースの世界に足を踏み入れたにもかかわらず、皐月もダービーも勝てずじまいのキタサンブラック。そんな彼女に追い打ちをかけたのが、ドゥラメンテの故障でした。ドゥラメンテ不在の菊花賞と聞いて「勝てるかも」と思ってしまったキタサンブラックは、自分の不甲斐なさに涙を流します。そんなボロ泣きするほどか?とは思いましたが(笑)

ナイスネイチャ

 そんな彼女に対し、手を差し伸べてくれたのがナイスネイチャでした。
 ナイスネイチャは、二冠を制したトウカイテイオーが不在の菊花賞を走ったウマ娘。まさに今のキタサンブラックとほぼ同じ境遇を経験したウマ娘であり、だからこそ共感して背中を押すことができる。
 この構成の上手さにはただただ感服せざるをえません。いや、やっぱりすげえよアニメウマ娘は……と感動したものです。

 ネイチャの言葉に支えられ、キタサンブラックは菊花賞に出走。見事勝利して初めてのGIタイトルを獲得します。

ピークアウトと引退

 今作を語る上で、避けては通れないのがこの要素。
 現実の競走馬で、最初から最後まで活躍し続けた馬は一握りです。たとえ過去にGIを勝利した馬でも、ラストランは特に馬券に絡むことなく終了――そんな事例は珍しくありません。
 過去に活躍した現実の競走馬をもとにするウマ娘にとって、ピークアウトや引退を描くのは、言ってしまえばほぼタブーに等しい扱いでした。これまでのアニメウマ娘においても、レースそのものは真っ当に描きつつ、ウマ娘の年齢やトレセン学園の設定などは、かなりぼかしていた側面があります。今作はそんなタブーに足を踏み入れたわけです。
 とはいえ、私はそれを「描くこと自体が間違っていた」とは思いません。むしろ、先に話したサトノダイヤモンドの馬生もあり、3期ではピークアウトについて触れるのではないかと密かに期待していたのです。なので、これを描くと決意したアニメスタッフは、勇気ある決断をしてくれたなと思います。

 そして、3期3話に関しても、私は好意的に見ています。
 2015年の有馬記念は、キタサンブラックとゴールドシップが唯一同じ舞台で戦ったレース。キタサンブラックは3着と好走しますが、引退レースだったゴールドシップは8着。全盛期の強さは残念ながら残っていません。それは本人もよくわかっていました。
 しかし、そこで観客をネガティブにさせないのがゴールドシップ。オルフェーヴルとジェンティルドンナを名指しする粋なパフォーマンスで、スタンド(と視聴者)を盛り上げます。

かっこいいゴルシさん

 振り返れば、ゴールドシップは勝っても負けても話題の中心にいる破天荒な競走馬でした。今回のラストランでも、勝ったオールハイユウ(ゴールドアクター)や3着のキタサンブラックより目立っていたわけですから、いかにも彼女らしい幕引きでしょう。
 たとえ8着であろうと誰よりも目立ち、応援する人を飽きさせない。「ピークアウト」と「引退」を描く上で、ゴルシほど適任のキャラクターはいなかったのではないでしょうか

 さて、ここまでは良かったのです。ゴールドシップを用いてピークアウトと引退を描く。この構成自体はとても満足していました。

ぜえぜえキタちゃん

 ところが、今作は終盤になるとキタサンブラックを用いてピークアウトを描き始めます。これに関しては完全に間違っていると思いました

 理由は大きく分けて3つあります。
 理由1つ目は、キタサンブラックの古馬になってからの成績です。

netkeibaより

 宝塚記念でまさかの惨敗を喫していますが、それを除けば全く崩れていない抜群の成績です。この成績で「私、ピークアウトしちゃったんだ……」と勝手に納得し始めます。いやいやいや。
 ダイヤちゃんはキタちゃんを蹴っ飛ばしていいレベル。

 今作では、史実通り宝塚記念で原因不明の敗北を味わい、その後秋天で自分がピークアウトしていることを自覚。その後有馬記念での引退を発表……という流れになるわけですが。私はこの展開に最後まで納得できなかったです。むしろお前は5歳の時が一番強いだろと

 この描写に対し、「サブちゃん視点から見たキタサンブラックなのではないか?」との考察もあります。その意見もわからなくはないのですが、そもそも我々の視点は「キタサンブラックのファン」なのです。サブちゃんの目線でキタサンを見ているのはサブちゃんだけ。いきなり弱気なキタちゃんを見せられても、なかなか受け入れづらいのは仕方がないと思います。

 理由2つ目は、この要素のせいで秋天以降の描写が残念になってしまったこと。
 そもそも、2017年の秋天は武豊さんの神騎乗&キタサンの粘り腰でもぎ取った素晴らしい勝利のはずです。私もこのレースは大好きで、放送前からこの秋天をどう描くのか、かなり楽しみにしていました。それが蓋を開けてみれば、まさかのネガティブな後味。これは意外ではあるものの、期待通りではなかったです。
 その後行われたジャパンカップも影響を受けています。キタサンにピークアウト(=全盛期ほど強くない)の設定を付けてしまったせいで、せっかく勝利したシュヴァルグランの凄さと強さが薄れてしまっているのです。
 そもそも、キタサンブラックは史実だと道中で左前脚を落鉄していたことが判明しています。なので3位は「衰え」というより「負けて強し」「運に泣かされた」と捉えた方が自然ではないでしょうか?

 ダイヤとツウカア(マカヒキ)のダービーでは、落鉄の描写がきちんと盛り込まれています。それにもかかわらず、今回のジャパンカップではそれを描写せず、「衰えたから負けた」かのように描いたのが、私にはとても恣意的に映ってしまいました
 2期ではライスシャワーの強さを描写した上で、そのライスにツインターボが勝つオールカマーを描いたように、どの馬も強いと思わせる描き方をしていました。今作もその部分は死守してほしかったところ。
 有馬記念に対してもいろいろ言いたいことはあるのですが、それはまた後ほど。

 理由3つ目ですが、そもそもピークアウトを描きたいなら、キタサンブラックではなくサトノダイヤモンドでやるべきです。
 サトノダイヤモンドの成績を見ると、3歳までと古馬以降で明確な差があります。キタサンブラックと比べ、よりはっきりと衰えているのです。ピークアウトを描くなら、むしろこっちの方が自然だと思いませんか?

netkeibaより

 また、史実のダイヤはキタサン引退後に京都大賞典を勝利しているので、それを利用して物語を作ることも可能なはず。春天からずっと負け続きのダイヤちゃんに対し、キタちゃんが自らの勝利で希望を与える――そういった展開にした方が良かったのではないでしょうか。

キタサンブラックの描き方について

 ピークアウトに限らず、キタサンブラックの描き方についてもいろいろ思うところはあります。

 巷ではメンタルが弱すぎないかと言われていますが、私はそれほど気にならなかったです。むしろ『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどかの時も思いましたが、皆主人公のメンタルに厳しすぎるんじゃないかと思ったり。

 私が問題視しているのは、最後の有馬記念の描写です。
 もともと8話で「私はテイオーさんみたいにはなれないけど、それでもやっぱりスターを目指したい」と決意したキタちゃん。引退レースの有馬記念では見事勝利を収めます。
 で、お世話になってる商店街の人とか、観客の顔を見ると……泣いてるんですよ。まるでトウカイテイオーの有馬記念みたいに。つまり、テイオーの時と同じようなスタンドを再現することに成功しちゃったんですね。
 私はこれを見て「違うのでは?」と思いました。なぜなら、キタサンがスターであることに異論はなくとも、そのスター性はテイオーが持つそれとは根本的に違うからです。

 そもそも、キタサンブラックがどんな馬だったのか。それは以下のキャッチコピーが全てでしょう。

そして、みんなの愛馬になった。

JRAヒーロー列伝

 最初はあまり注目されなかったものの、レースを重ねるごとに強くなり、最後にはGI7勝という偉大な記録を打ち立てた名馬。そして、オーナーのサブちゃんこと北島三郎さん、主戦騎手の武豊さん、そしてファンの「みんな」から愛された存在です。初っ端から皐月とダービーを制し、その後何度も苦難を乗り越えて復活するトウカイテイオーとは、全く異なる馬生を歩んでいます。
 だからこそ、勝てば勝つほど「人に希望を与え、笑顔にするウマ娘」として描写するべきだったのではないか。テイオーとは「全く違う」スターとして、有馬記念のスタンドは観客全員が笑顔になっている様子を描くべきだったと思うのです。
 テイオーと同じ光景を作り出したということは、「夢は諦めなければいつか叶います!」と言っているようなもの。これは2期の「ほとんどの人は当初思い描いた通りの夢を叶えられない。それでも、夢は形を変えて生き続ける」というメッセージと比べると、かなり薄っぺらく感じてしまうのです。

他のキャラクターについて

 キタサンブラック以外のキャラクターはどうだったかというと、これまた惜しい存在が多い。
 キタサンブラックのライバルとして描かれるサトノダイヤモンドは、直接対決が有馬記念と春天しかないので、ライバルかと言われるとやや疑問が残る内容でした。まあ、それを言ったらトウカイテイオーとメジロマックイーンだって一回しか戦っていないのですが、あちらはレース以外でもお互いを気にかけたり支え合ったりする描写が多く、それらがライバルとしての説得力につながっていました。今作にもキタサトでお出かけする回こそあるものの、もう少しお互いが一番のライバルだと思わせる描写を充実させてほしかった……と思います。
 ダイヤちゃんがサトノ家のジンクスを打ち破るまでの流れを1話使って描いたのは良かったと思います。後半は少しくどかったけど。ただ、それ以降のダイヤちゃんの立ち位置が不明瞭なのは良くなかったですね。後半の凱旋門賞もあっさり流されてしまいましたし。
 思うに、3期はひたすら明るいキタサンが話を引っ張る1期に近い作風にして、シリアス要素はダイヤちゃんに全部乗せしても良かったと思います。サトノ家のジンクスに立ち向かうだけでなく、GI制覇後も成績の低迷に苦しみ続けるイメージですね。

シュヴァルグラン

 シュヴァルグランに関しては、12話でいきなり出てきたなという印象がどうしても残ります。もちろん、今まで何度もキタサンと同じレースで走っていますが、いかんせん絡みが少ないので、シュヴァルがキタサンをどう思っているのか不明瞭でした。基本的に話し相手は姉妹でしたし。
 そのくせ12話でいきなり「大好きだあああああ!!!」と言われても、いまいち気持ちが追いついてこないのが正直なところです。誰にでもグイグイいくキタサンと、やや内気なシュヴァルとの絡みはもっと描いてほしかったなあ。

 そして、史実ではキタサンに一度も先着を許さないまま引退したドゥラメンテ。アニメではどう描くのか気になっていましたが、まさかの史実そのままの関係性で終わったのでびっくりしました。
 宝塚でようやくライバルとして認識したわけですが、以降は史実通り復帰せず。「いつかもう一度対決できたらいいな」で終わりです。なんていうか、本当に史実通りの立ち位置なんですよね。それがいいという声もありそうですが、一方で「それだと実名で出した意味あんまなくね?」とも思います。
 ドゥラメンテがそもそもキタサンなんて眼中になかったと判明した時は「そりゃそうでしょうね」って思いましたもん。

 カノープス新メンバーのサウンズオブアースとロイスアンドロイスに関しては、なぜ出したのかよくわかりません。特にロイスアンドロイスは世代が全く違うし、終盤まで名前を隠す割には特に活躍もしないので、本当に謎の存在でしかなかったですね。というか不憫。そもそも、カノープスは2期のストーリーあってこその存在でもあるので、3期は3期で新しいチームを前に出したほうが良かったのはないでしょうか。
 サウンズオブアースはキタサンと同じレースを走っているものの、言ってしまえばそれだけで、ライバルかと言われると微妙なわけで。悪い意味で史実そのままの関係性で描いたら、そりゃ上手くいくわけがないでしょう。
 彼女たちを出すよりは、もう少しサトノ家に時間を割いてほしかったですね。宝塚や秋天で戦ったサトノクラウンに関しても掘り下げ不足ですし、全体的に尺が足りなかった感は否めません。

でもクラウンのこの表情は大好き

 こうして見ると、キタサンブラックはライバルらしいライバルがあまりいないような気もします。でもそれは2期のトウカイテイオーだって同じなわけで、仕方ないよねとも言いづらい。
 ダイヤちゃんをライバルとしてしっかり描ききれなかった時点で、この作品の評価は厳しくならざるをえなかったのかもしれません。

「オリジナルアニメ」から「ソシャゲ原作のアニメ」へ

 そんなこんなで、気づけば7000字です。思うことをつらつらと書きなぐってみましたがいかがでしたか。
 冒頭の視聴前の疑問に回答するなら、こんな感じになります。

  1. キタサンブラックをどう描くのか?

    • →ピークアウトと引退設定をつけることで、半ば無理やりシリアス方向へ持っていこうとした。しかしその結果、キタサンのキャラクター性や、史実との噛み合わせにブレが生じ、制作側の都合を感じさせる後味が残った。

  2. ドゥラメンテは出すのか? 出すならどう描くのか?

    • 史実そのままの関係性を描いた。2期のライスとブルボンのように、ウマ娘ならではの関係性が築かれることはなく、最後まで微妙な関係のまま終わる。

  3. サトノダイヤモンドをどう描くのか?

    • せっかくピークアウト設定を出したのに、なぜかダイヤではなくキタサンでそれを描いた。ダイヤはサトノ家のジンクスを中心に据えたものの、それが終わるとあまりパッとせず、消化不良のまま終わってしまった。

 全体的な評価を下すなら、2期はおろか、1期の出来にも届かない作品だったと思います。
 ここまでかなり批判的に書いてしまいましたが、仕方ない側面もあるんですよね。先に話したように、キタサンブラックは大きな怪我をしなかった上、レースでもあまり大崩れしない馬でした。しかし、視聴者が求めているのは、2期のようなシリアスなストーリー。なんとかしてシリアスな方向へ持っていかなきゃ……と制作陣も思ったでしょう。ピークアウト設定で半ば無理やり病み要素を作るしかなかったとも言えます。

 ただ、私がそれ以上に感じたのは、アニメウマ娘が「オリジナルアニメ」から「ソシャゲ原作のアニメ」になったことです。1期や2期の放送前は、まだソシャゲのサービスが開始していなかったので、ある程度自由にやれていたのだと思います。しかし、今は既にアプリがリリースされており、ウマ娘というコンテンツの中心は「アニメ」から「ソシャゲ」に切り替わっていた。それが「2期まで」と「3期から」の最大の違いではないかと思います。
 今回、サウンズオブアースやロイスアンドロイスなど、なぜ出したのかよく分からないウマ娘がいるのも、ソシャゲ側の都合と解釈すれば説明がつきます。ドゥラメンテに関しても同様で、3周年に合わせてゲームに実装されたのは計算通りでしょう。また、3周年記念の生放送にて、オルフェーヴルやジェンティルドンナのウマ娘化が発表されたことから、ソシャゲ側のスケジュールから逆算して制作しているのが伺えます。
 それが悪いことだとは言いません。しかしそれによって、秀でた要素が薄れ、数あるソシャゲ原作アニメの一つになってしまったように思います。

 とはいえ、最初の方で話しているように、今作は何もかもダメなわけではありません。
 特に最初の3話の流れは気に入っていますし、後半のピークアウト設定が出てくるまでは、それなりに楽しんで視聴していました。アニメ制作陣の実力が衰えたわけではないと思います。
 ウマ娘は特殊なコンテンツです。制約は多いものの、他では実現できない、質の高いエンターテインメントを提供できるポテンシャルを秘めています。既に新作映画の公開が決まっているように、ウマ娘のアニメはこれからも続いていくことでしょう。

 今のウマ娘にとって、一番良いメディアミックスの形とはなんなのか。今後も制作側が模索を続け、最適解を見つけることを祈っています。


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