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3度の飯より、とは流石に言えないけれど。

大学に入って、一人暮らしを始めた。

高校の時は控えめだった朝ご飯をよく食べるようになり、その分お昼ご飯を食べるという習慣が薄れていった。

自分で用意しないとお昼ご飯は存在しない。栄養満点・3食付きの実家が恋しくなる時もあるが、一人暮らしは、それはそれでいい。
料理もある程度上手くなった。そういえば、さっき友達に「腹減った、お前のチャーハン食いたいわ」と言われた。嬉しいものだ。嬉しいものだが。

いや恋人じゃないんだから。

恋人じゃ、ないとしたらルフィとサンジみたいな台詞回しだ。サンジか。サンジならいいかな。人は心だろうが!すいません。
ーーー

さて。僕は大学祭の実行委員会にも所属しているわけだが、

最近はもう、それはそれはてんてこ舞いだ。常に振動する携帯に、鳴り止まないコピー機の印刷音、そして本部代わりのホール前を行き交う人、人、人。
夏休みなんかは人影も数えるほどしかなくて、水の中みたいに静かだった部室も、秋真っ盛りの今やまるでスクランブル交差点みたいだ。

ま、そりゃお祭り前だからね。


あと一週間やそこらで始まってしまうわけだ。
始まるということは、終わりもあるわけで。前があれば、後だってある。
まあとにかく、前は長いんだけれど。
始まるまで本当に長くて、驚くほど長いのに、始まってしまったら一瞬なんだよ。人気ラーメン店に並ぶのは1時間、食べるのは5分、みたいな。違うか。

「〇〇祭実行委員会って、儚いよな。だってその数日間のために1年間掛けるんだぜ」


どこかで、こういう書き込みを見たことがある。

ああ、そうだよ。儚いんだよ。

でも、並ぶのだって。

準備だって、それ自体
楽しいんだぜ。
やりたくてやってんだよ。それこそ、ご飯を抜くくらい。
確かに大変なこともたくさんある。

もう疲れたわ!しんどい!はよおわってくれ〜!そう僕の尊敬する先輩方は言う。僕にはまだ、わからない。その重圧も、期待も、まだまだ敬愛する彼ら彼女らが背負ってくれているから。
でも、僕は知っている。そういう人こそ、本当に終わった時、半分満足げに笑いながら、半分泣くのだ。たぶん。

ここでは儚いからこそ美しい、という月並みな言葉を並べる気はない。

ただ、なんだって、そうじゃないのか。

スポーツの世界だって、練習に比べれば本当に大事な試合は一瞬だし、勉強だって大事な試験は一瞬だろ。

「なんでこんなんやってるんやろ」
ふと振り返れば分からなくなることもある。
でも、やりたいと言い出したのは少し前の僕たちだ。わかっている。
選んだ間違いの選択肢を正解にするために、昔の自分を肯定するために、僕たちは駆ける。

学生生活など間違いだらけだ。
間違いだらけだが。

間違いだらけを乗り越えて、僕らは走っていく。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 「出町柳パラレルユニバース」より

そんなかりそめの春を、青く塗りつぶしたいから僕たち大学生は衝動的に、必死に今を生きるんじゃないのか。

随分とまた青いことを綴ったように思う。

まったく、最近はお昼ご飯を食べる暇がない。みんな同じ時間帯にばかりアポを取るからだ。全く問題ないし、僕だってお昼休みの暇な時間に用事は終わらせておきたい。僕でもそうする。

でもまあ、そのあと夕方になって、お腹がぺこぺこになって「ああそういえば、また今日も僕はお昼を食べ損ねたのか」と気づいてからかきこむ鳥塩レモン丼─焼いた味付き鶏肉とふわふわの卵、千切りキャベツをご飯の上に乗せ、最後にレモンを絞っていただくどんぶり─は、実に世界一美味い。

一度に食べ過ぎて喉に詰まるから、その都度注意は必要だ。


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