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クリオネ句会的 兼題及び季語についての考え方


今回のnoteは主にメンバー向けとなります。
兼題については季語を兼題としたもの、決まった漢字や文字を読み込むもの、テーマに沿って句を詠むものと分かれます。


○季語を兼題とする場合

必ず句の主役は兼題の季語となります。そのため、使える季語は当該の季語及びその傍題のみです(意図する季重なりもありですが、必ず兼題季語を主季語にしてください)。稀に当俳句会では収穫や狩猟などに関する季語も許容範囲とすることがありますが、その際は必ずアナウンスいたします。通常他の句会や俳句大会では許容されないことですので、これだけは頭の中に入れてください。
またこれらの場合であっても、兼題季語と季節の異なる季語はまったくの別物だと思ってください。例えば「馬鈴薯」と「馬鈴薯植う」ではまったく季節が異なります。「山椒の芽」と「山椒の実」が異なるのもお分かりでしょう。
季語の考え方ですが、季語には本意というものがあります。本意は小さなサイズの歳時記では簡略化されていることが多いので、大歳時記で確認するのがベターです。すべての歳時記が正しいとは言い切れませんが、少なくとも植物や動物などは料理で原形が留まらないように加工してしまうと季語の鮮度が落ちてしまいます。トマトの加工品であるトマトケチャップが季語とは誰も思わないでしょう。気を付けたいところです。
最後に季語の表記です。漢字、ひらがなは大丈夫ですが、植物や動物に関する季語をカタカナで表記するのは原則外来種のみです。外来種でも漢字で表記することが多い動植物は漢字やひらがなを使います。歳時記の表記に沿うのが正しい判断です。俳句の表現としてわざとカタカナ表記を選択する場合は、果たして本当に効果があるのか熟考した方が良いかと思います。なお、英語表記(例:ポテト、パンプキン等)は認めない派がまだまだ多いです。私自身否認派です。10年後、20年後に変わっているかもしれませんが、現時点では使用しない方が良いと思います。


○決まった漢字や文字を読み込む場合

これは主に持ち回り兼題で発生するパターンです。
本来この場合、季節はどの時期でも構わないという考えになりますが、当季の句がベターです。勿論季節の限定の指示があった場合はそれに越したことはありません。


○テーマに沿って詠み込む場合
これは出題の意図に判断が委ねられます。写真詠などで「発想を飛ばして」という指示があれば、ある程度画像から連想した飛躍も大丈夫でしょう。「発想を飛ばす」ことを許容していない場合は、あくまでそのテーマに沿って詠み込んでください。
なお、クリオネ句会では「○○したつもりで○○吟行」という兼題を出すこともあります。
本来は吟行会に行くべきところをそれが叶わないため吟行会に行ったつもりで俳句を詠んでもらおうという機会を設けています。この場合は、テーマだけではなく、テーマ地に行った時に見るであろう光景を詠み込むのも可能としています。
吟行未経験者には分かりにくいかもしれませんが、例えば「公園吟行」だった場合、公園そのものを詠むわけではなく、ブランコや滑り台などを詠みますよね。またはベンチに座って見上げる青空を詠むかもしれない。公園で遊ぶ子を詠んでもいい。そういう幅を持って俳句を楽しむのが吟行になります。


以上、複数の俳句会を渡り歩いた私なりの、最低限のルールを記してみました。
クリオネ句会のルールはプレバトを基準に相当甘目に設定しています。地貌季語の使用も積極的に行なっています。ただ、他の俳句会や俳句大会では通用しないこともあることだけは頭の中に入れていただけると幸いです。
なお一番寛容度の高い夏井いつき氏の俳句集団「いつき組」ですが、季語に関する考え方については相当厳しいものがあり、その点については私自身踏襲している部分もあります。

私が俳句を始めた25年前は今では俳句でも普通に使われる略語(例:スマホ。当然25年前はせいぜいポケベルでしたが)の使用も認められませんでした。それが20年かかって変化してきていることを体感しています。
もしかすると今後このルールも時代と共に変化していくのかもしれません。
ただ、俳句が成り立っていく経緯からみても、季語を主役に立てるということは俳句である限り変わらないことと思います。

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