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博士について

 ちょっとつづ記事を書いていこうと思いつつもなかなか進みませんが,アカデミックにいた自分の博士に対する主観的な感想を書こうと思います。本当は,今の話を書きたいところですが,まだ,公開して良いこととそうでないことの区別が付いていないかもしれないので,少し慣れてからにしようと思います

アカデミックの通常ルート

 アカデミックに残る場合,修士卒(24ー25歳)の後,博士号(27歳ー)を取得が必須です。無事博士号が取れれば,任期が2,3年ぐらいのポスドクと呼ばれる研究職に就くことになります。そこで実績を出して,どこかの大学のパーマネント助教のポストをとるというのが一般的です。

一般に言われている問題

 まずいと言われているのは,ポスドクに比べてパーマネント助教のポスト数が少ないので,ポスドクを数回やってもパーマネントになれない人が多く出てきてしまうことです。ポスドクでは30歳を超えることが多く,その年齢で,数年おきに就職活動と引越しを繰り返すというのはどうなの?ってことですね。

自分や自分の周り

 大学院の時に指導してもらった大学教員の方が,少し前に,過去10年か20年に渡って博士をとった人が今どういうポジションかという調査結果を公開していました(素粒子実験分野のみですが)。もちろん,民間企業で係長になったとか,そういう情報は入ってきませんので,民間に行った人は「民間」とかいうカテゴリーだっと思いますが,ポスドクなのか助教なのか教授なのかはかなりキチンと分類されていたようでした。それによると,アカデミック時代の私(2021年10月まで)は周りと比べても,かなり成功している部類に入っていました(キャリアパスの観点からのみですが)。また,資料の詳細を完璧に覚えているわけではありませんが,私ほど順調ではなくても,かなり多くの人がある年代でポジションを見つけているように感じましたし,それは自分の観測範囲とも矛盾しませんでした。悲惨な状況になっている人をあまり知らないし,アカデミックなんて悲惨だという世間(ツイッター)の評判と私の肌感覚とはかなりずれます。

なぜなのか

 自分の観測と評判の違いを考えたときにいくつか思うことがあります。

  • 「この研究」を「ここで」続けられないかもしれないという不満。
    私も40歳なので,アカデミックで職を得ようとする人にアドバイスすることもありました。自分の好きなことが何かもっと整理して考えたらどうですかと。自分の最初に携わった研究もしくはそれを生かせる分野を続けなければいけない,と思っている人が一定数いると感じます。実際には,「偉くなりたい」「物理学が好き」「物理学的な思考方法が好き」「アイディアを出すのが好き」と人それぞれあるはずなのに,「素粒子物理学のヒッグス粒子の解析がしたいけれど,電子回路は苦手,だけど生活安定したい」みたいに思っていませんかと,当たり前ですけどピンポイントになればなるほど確率は減ります。

  • 博士まで行った(沢山投資した)のに。。という思い。
     確かに,博士は自分の力で学術界に貢献した称号ではありますが,ほとんどが普通の人だよな,というのが私の感想です。私は,装置の研究開発が主でしたので,メーカーの技術者と多く付き合いましたが,同じぐらいの年齢の場合,自分達(アカデミック側)と彼らで能力の差はありませんでした。強いていうなら博士はプレゼンが上手いぐらいでしょうか。中小企業のエンジニアも多く,彼らは年間500万円ももらっていないようでした。日本人の給料が上がらないのは問題という論調には同意しますが,博士の給料が特別に低いと思わないのはそういう経験からきます。あと,彼らは正社員ですぐ雇い止めにはあいませんが,異動や転勤ありますよ。しかも,職種まで変わる場合もありますから。

博士の不満が上記程度だと,いざとなれば結局はいずれはどこかに就職出来てしまうので,僕の観測上は無事に過ごせているように見えるけど,不満は多く聞くということなのかもしれません。

結局,博士はいいのか?

 はい,いいと思います。プロスポーツ選手ほどは難しくないし,上記のように実際には潰しが聞きます。特に物理学はいいですよ。私自身は物理学者から民間のパワエレ研究に移っていますが,博士がなければこんな無茶できないでしょう。あと,アメリカで知り合った研究者の友人は博士モテるよって言っていたけど,それも一理あると思いますよ。芸能人やメジャーリーガーよりモテるのは難しいかもしれませんが,(男女問わず)平均よりはモテるんじゃないですかね。そんな軽い気持ちで博士号とっても悪くないと思います。

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