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『エスター ファースト・キル』を観てきました

まず、これだけは言わせてください。
本当に面白かったです。
面白過ぎて後半ずっとニヤニヤニヤニヤしてました。

以下、若干内容に触れた感想と紹介です。
ネタバレやだー!って方は映画館へ急いでください!!


前作『エスター』

まず、『エスター ファースト・キル(原題『Orphan: First Kill』)』は2009年に公開された『エスター(原題『Orphan』)』の続編です。
Orphanは孤児という意味だそうです。

孤児院の少女を養子に迎え入れた夫婦が、その日以来奇妙な出来事に遭遇する恐怖を描くサスペンス・ホラー。

こんな感じのホラー映画ですね。
各配信サイトで結構観れるようなので、加入してる方は是非!
R15+指定でグロってよりエグめ、家族と見ると気まずくなりそうなシーンもあるので注意してね。

この作品はサイコホラーって感じで、最後までヒヤヒヤして観れました。
この物語の始まりと顛末を知ってれば、続編も安心して観られます。

今作『エスター ファースト・キル』

そして今年の3月末に公開された『エスター ファースト・キル』。
こちらは前作の前日譚です。
前作の内容が大前提になっており、前作を観てない人はいきなり置いてけぼりになると思います。

今作は言うなれば、彼女が「エスター」と名乗るようになったきっかけの事件譚、と言う感じです。

今作もまた、彼女は自分を偽ってとある家庭に潜入します。
彼女を迎え入れた家族は、彼女への違和感を拭いきれません。
自然に振る舞ってるようで、どこか違う。
この娘、やっぱり変だ…。

ここで自分が抱いた感想。
「まあ前作(今作の後日談)で孤児院に居たんだもんなあ…」
「今作の家族も酷い目に遭うんだろうなあ…」
「じゃないと最終的に孤児院行きになんかならんもんなあ…」

当然、そうなります。そういう映画です。

自分が少女を演じ切れていないことに焦り、自分の正体を嗅ぎ回る存在には容赦なく牙を剥くエスター。
前作で観た通り、やはり彼女はサイコな殺人鬼です。

そしてここまでは、今作のほんの序章も序章です。
ここからが本当に面白かった!!!

観終わってから思ったのですが、前作と今作、「面白さ」が違う。
どちらも自分は面白かったのですが、今作の方が好きな面白さでした。

今作で重要なのは、観客が最初から少女の正体を知っているということ。

前作で我々の前に最初に現れた時のエスターは、孤児院で1人寂しく絵を描き、はにかみ顔がなんとも可愛らしい女の子でした。徐々に怪しさは見せるものの、彼女が「少女である」ということは誰も疑わなかったでしょう。
彼女の過去が明かされ、化けの皮が剥がれるところが、前作の1番の見どころでしたからね。

しかし今回は知っている。彼女が自分の正体を隠し、多くの大人を欺いてきた詐欺師だと言うことを。

そして知ってるからこそ面白い!

この状況で、彼女がどう立ち回るのか?
演じるのか?怒るのか?一思いにやっちまうのか?
気付けばエスター目線になってドキドキしていました。

一言で言えば、全てが狂ってます。
そんな感じの映画でした。

嬉しいことに興味を持ってくれた方は劇場へ急いでください。
1ヶ月経っちゃったんで上映館、結構減ってると思います。

以下は結構内容に踏み込んだ感想になります。
観る予定のある方はもう読まない方がいいです!!!


ネタバレ感想

自分はこの映画を観て、自分はすごく作り手の想像通りの反応をしてるだろうなあ〜〜と思えて、めっちゃ興奮したんですね。(特殊性癖)

観客たちが「エスターがこの家族をめちゃくちゃにしてくれるんだろうな〜」って期待してることは当然想定済みなんですよ。
そこは裏切らないんだけど、全く想像してないところを裏切ってくるんですよね。もう完全に作り手の掌の上だ!って思えて満面笑顔になってしまいました。

印象的なシーンは多いんですけど、
まずエスターと母が空港で待つ父と息子に合流するシーン。
父に抱きしめられるエスターを見る息子。そこでなぜかカメラがエスターの足元を映すんです。自分はその時は、
「エスターの足が浮いてるなあ。あ、もしかして身長が違うとか?
前はこんなふうに足浮かなかったのにって驚いてるのかな」
と勝手に想像してました。

そこがどういう意味だったかははっきり語られないんですけど、結局息子は本物のエスターが自分のせいで死んでることは知ってたようなので、
「え、こいつ本当にエスター?死んだはずじゃ?
幽霊?いやでも足あるな…」
というシーンだったと解釈しました。
あの再会のシーン見返したいですね〜。母と息子がどんな顔してたか…。
飛行機内でのおばあちゃんの写真とかも完全なカマ掛け、というかおちょくりですよね。良い性格してますわお母さん。

それから物語序盤、施設内で真っ赤な警報ランプがチカチカと点滅するシーンと、中盤〜後半あたりの父のアトリエでブラックライトを明滅させるシーン。
すごく重なりました。赤いライトと青いライト、前者ではエスターは追い詰める側、後者では追い詰められる側という状況でのシーンでした。印象に残ってます。

何より前作で結構衝撃的に使われた絵のトリック、
(本物の)エスターの父が作品に使っていた技術だったんですね。
エンディングでもそのイラストが使われていて、劇場が明るくなるまで映画に没入して感想を頭の中で巡らせる派の自分には最適でした。

それにしても、正体を隠して孤児として引き取られた家庭に身を寄せながら、以前自分の手で殺した男の作風で絵を描くってどういう心情なん?と思います。
理由があるのか、あっても理解はしたくないですが…。
やむを得ず殺してしまったけど愛していたし、せめてもの弔いの念を自分の作品に…とか言われたら勘弁してくれって思います。

彼女は自分の利得の為に人を殺すサイコキラーなので、同情とかはしたくない。
もし、もし、彼女の出生を描く物語があったとして、それが彼女の育った凄惨な家庭環境を語るものだとして、それが今日の彼女を形作ってしまったんだと言われても、彼女への評価は変わらないですよ。というか彼女みたいなキャラに人情的なバックボーンは用意して欲しくない派です。
この項は全部自分の想像なのでエスターとは全く関係無いですが。

なんの話だって感じになってきたので、ここで終わりにします。

洋ホラーより和ホラーが好き、
寝る前のトイレは廊下ダッシュのkurimo.でした。

読んでいただきありがとうございました。

kurimo.

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