幼少期の居住体験と大人になっても変わらない”家”に対する価値|住宅への価値観の変遷 1
一児の父となり家族が安心して健康に暮らせる環境を求め、いくつかの選択肢の中から注文住宅を選ぶことになった。その結論に行き着いた考えを整理する。
価値観の基準となる居住体験と記憶を辿る指で擦ればザラザラと削れる砂壁に、忍び足でも軋む薄暗い階段。
木製枠の掃き出し窓からは隙間風が漏れ、強い風が吹けばガラスがガタガタと音をたてる。
くみ取り式トイレは悪臭を放つバキュームカーを定期的に呼び寄せ、母が毎晩マッチで火を焚くガス風呂釜は老朽化により煙突から火の粉を吹いていた。
35年以