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ありがとう、そして、さようなら来間小学校

ちょうど約1年前。

3月23日は、来間小学校の閉校式だった。

島で唯一の学校とお別れの日。

当時、ヨーコさんは来間小学校のPTA会長だった。

その時の、あいさつ文をここに書き起こし。

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令和という新しい年号となり、初めて迎える、春3月。
私たち、島民にとってはとりわけ辛く、寂しい3月となりました。


宮古島市の学校規模適正化により124年の歴史に幕を閉じることになる、今日のこの日を,
学校の存続を何より望んできた島民の皆さまが、どんな気持ちで迎えたのだろうか。
そんなことを思うと、私はPTA会長として、学校を存続させることができなかったことを、本当に申し訳なく、胸が張り裂ける思いでいます。


ですが今日は、今日のこの日を、ただただ悲しみや憤りの感情に打ちのめされるのではなく、
廃校を乗り越え前向きに進む子どもたちのために、
私たちの島の未来のために、
また皆さんと共に歩き出し共に生きていくために、
PTAを代表しまして、一言挨拶を申し上げます。


我が来間小学校は、私たち来間島住民にとっては、島の心臓のような存在でした。
あるいは、島の灯のような存在、とも言えるかもしれません。
そして、すべての島民が声を合わせ、心を合わせ、歌い継がれてきた、来間小学校の校歌は私たちのソウルソングとも言えるかもしれません。
明治28年の開校以来、今日まで、学校は島の中心であり、島と学校は常に連携しながら、ともに歴史を歩んできました。


そして、地域の皆様と、諸先生方のおかげで、子どもたちには島を慈しむ心と誇りがしっかりと育まれてきました。
本校では、ヤーマスプナカ(豊年祭)やムシバライウガンなどの地域行事には、学校も参加してきました。
一丸となって神事を執り行う共同体の姿を見て、また子どもたち自身も奉納舞踊などで神事に参加することで、伝統文化を学び、後継者としての誇り、郷土愛が育まれてきました。


また、地域としては運動会を合同で開催したり、学校行事に住民の皆様も参列してくださったり、地域全体で学校を盛り上げてきてくださいました。
多くの地域住民の皆さまが苦労を惜しまず、尽力してくださったこと、教育と島に対する熱い思いがあったからこそ、今日まで本校の歴史は子々孫々脈々と受け継がれてきました。


また歴代校長先生をはじめとする諸先生方は、小さな学校ならではの苦労もあったかと思いますが、特色ある教育環境を生かした温かいご指導によりスポーツ面や学習、文化面においても優秀な成績を残してきました。


来間小学校のように、地域と学校が支えあいながら、一体化していることは、他の学校や他の地域にはない、来間島独自の文化だと思います。


来間島において、学校とは、ただ単に教育機関としての役割だけではなく、
地域文化の中心として、また心の拠り所として、とても大きな役割を果たしてきました。
豊かな自然環境と島の学校ならではの特色は、全国的にも類を見ず大変貴重で、この歴史がここで途切れてしまうのは、本当に残念でなりません。
この存在を失うことは、何事にも代えがたい寂しさを感じています。
だけど、今日、小さな希望を見つけました。


私たちに希望を見せてくれるのは、いつだって、島の宝である子どもたちです。

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来間小学校の児童の皆さんが考えた、来間小学校のリノベーション案、皆様はご覧になったでしょうか?
模型が、ランチルームの後ろに展示してあるので、どうぞご覧になってください。
校長室がカフェになり、職員室では地域の特産品の販売所、2階は宿泊施設になります。
家庭科室では郷土料理教室が行われ、参加するお母さんたちの子供を預かり保育は幼稚園の教室を使うという利用案です。
本当にそうなったら、多くの人がまたこの場所に集うことになるでしょう。
多くの笑顔がきっと生まれることでしょう。


子どもたちが描いた夢を、私は実現したい、させたい、そんな風に思っています。
きっと、多くの島の人が、私と同じように思っていることでしょう。


毎朝、学校の前の路地を掃き掃除する子どもたちの姿、
チャイムの音、
お昼時に聞こえてくる瑞々しい声の放送、
運動会の頃に島中に響き渡るエイサーの太鼓の音、
私たちはいつもそんな風に学校から聞こえてくる音や気配、
子どもたちの姿からたくさんの希望をもらってきました。


そして、今日もまた、子どもたちは私たちに希望の光を見せてくれています。
子どもたちも私たちの島を一緒につくっていく仲間であり、同士です。
子どもたちも、そして大人たちも、来間島の人間としての誇りを持ち、島を愛し、この苦難を乗り越え、明日からまた、今日からまた、ともに生きていきましょう。


子どもたちは、四月から通う下地小学校、また下地中学校でも、何処にいても来間の誇りと感謝の念を忘れることはないでください。
ふるさとの良さと自分たちの個性を大切に、来間小学校で身に付けた力を十分に発揮しながら、大いに活躍することと信じています。
最後になりますが、来間小学校の長き歩みに関わってこられたすべての方々に深く感謝申し上あげるとともに、子どもたちの未来が一層健やかで輝かしいものでありますよう、
そして来間島のますますのご発展を心よりお祈り申しあげ、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
令和2年3月24日 来間小学校PTA会長 砂川葉子

2020年3月24日にFacebookページに投稿したものです。

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