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ピンチから生まれた精神力

 長年のNY生活で何を得たかと言ったら精神力なのかな、と思う今日この頃。

東京もNYも大都会なので車も多いし、電車も多いですよね。でも先日都内に出てみて電車を使ってみて思ったのが、移動中のストレスがほぼなかった事。時間帯によって混み具合がひどくてストレス↑なこともあるかもしれませんが、電車が定刻に動いてくれている!なんて素晴らしい!こんなにもストレスが違うものですね。NYにいるときは急に乗ってる車両が止まってしまって乗り換えないといけなくなったり、週末はいつもの電車がなかったりと。警察が調査のために電車を止めたりとか、アナウンスさえゴニョゴニョ言って聞こえない時だってよくあります。困り果てた観光客をしょっちゅう目撃しました。そんな風にニューヨーカーを振り回す地下鉄。私もしょっちゅう振り回されていました。

 Valery Ponomarevという元アート・ブレイキーののJazz Messangersにいたトランペッターのおじいちゃんのビッグバンドのギグが入った時の話です。リハもなし、譜面も事前にチェック出来ない仕事だったから早めに行って譜面をチェックしておこうと意気込んでいました。しかし、電車が来ない!10分、15分、20分経っても来ない!夜遅かったから聞くにも人がいないし!早めに家を出ても流石にまずい時間に…。結局、待っていた電車はその時に走っていないことがわかりました。大きなベースとともに他の電車に飛び乗りましたが、その電車は各駅でしかも乗り換えもしないといけない。相当な時間ロス!もう完全に事前に譜面チェックするどころか、本番に間に合うかどうかも危なくなってきました。乗り換えの際にメンバーに遅れるかもしれないと連絡を入れた時に、今度は乗り換えようと思っていた電車も走っていないという情報が!そこからベースを持って階段を駆け上がり、地上に出てタクシーを拾いました。ベースとともに後部座席に乗り込む。その時点で本番10分前。最悪。冷や汗をかくどころじゃないくらい焦っていました。

そして本番の時間になり、まだタクシーに乗っている私。気分は最悪。初めてのValeryのビッグバンド。こんな遅刻をしたらもう次はないだろうな。。。と。でも気を落とさずに。

タクシーが店の前に到着。開演10分後。店に入ってステージがあるカーテンを開けるとお客さんがお酒を飲みながら、開演を待ち望んでいる様子。そしてステージの上には18人のメンバーが楽器を持って見つめる先は一点、

私。やばい。

I'm sorryを連発しながらステージへ。18人の中には何人か友達もいたので、「クリコちゃんおそいよ〜」と陽気に日本語でからかわれたりしてましたが、面白く返す心の余裕は全くありません。ボスのValeryは快く許してくれましたが、私の心は乱れに乱れていました。最大の敵は自分の心!そうこうしているうちに私の遅刻のせいで大急ぎで曲順説明が始まりました。しかし、パニクっている私は譜面を何度言われても曲順に並べられません。誰に聞き直してもダメ。諦めて2、3曲だけ並べて一曲目が始まりました。プラスこれから初見で全ての曲を弾かなければいけない!間違ったらバンド全員に迷惑がかかる!そのプレッシャーに自分が潰されそうになりました。

 でもここで気づいたのです。プロとしてこの心の乱れを音楽にのせてはいけないと!しかもお客さんに伝えてはいけないと!深呼吸をして大丈夫、大丈夫。と自分の心に言い聞かせました。そして心のスイッチをカチッと切り替えました。

 結果、無事に致命的なミスもなく、自分のソロさえしっかり弾くことができました。お客さんにもボスにも喜んでもらえました。次のギグにも誘ってもらえたので大成功と言えるかな?こんな毎日を送ってきたからか、NYで生きてきてプレッシャーに負けない精神力が身についたような気がします。

 ピンチの時は自分に暗示をかけるのです。怪しいですね。ヒヒヒ。演奏していても間違えるかもしれないって頭によぎった瞬間はなぜだか絶対に間違える。遅刻するかもしれない、と思った瞬間は絶対に遅刻するし。皆さんもそんな経験ありませんか?でも逆に間違えそうになったら、一生懸命その思惑を吹き飛ばすイメージをして大丈夫って思っていたら間違えないものなんです。それこそ『思考は現実になる』ので、ピンチの時に押し寄せる恐れを吹き飛ばしてプラスに変えるといい結果になると思います。

 ミスを犯したらもう電話が鳴らなくなる(=仕事の依頼が来なくなる)この業界。いくら練習を重ねても予期せぬことで私のようにパニックになって本領発揮できずに残念な結果になってしまうかもしれないけど、強い精神力でそれを乗り越えて自分の能力を発揮できるようになりたいものです。

パニックの最大の敵は自分のようですね。

 

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