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「◯◯を広めたい」という、本音と主体性

一億総発信者時代の今、自分のビジネスコンテンツ、趣味、特技、イベント開催の周知など、自分自身が関わっているものを多くの人に伝えたい、と活動されている人が多くいます。

本記事は、前置きとして、「私もそうだった」からこそ、勇気をもって発言しています。我が身も50も手前ですが、まだまだ未熟で、人間1回目です。


■この記事を書いている人■

2008年〜独学でヘナアート(ボディーアート)を始める
2013年〜中南米パナマ共和国から肌を紺色に染める植物(ジャグア)を日本に輸入し、ジャグアタトゥー用インクの製造販売(JAGUA JAPAN®︎)
2018年〜耐水•速乾 ホワイトヘナ用の特殊インク(Veil White®︎)を販売
ボディーアート用品の企画〜販売までひとりで手掛ける自熱自走型ひとり経営者。



本音を語る

自分のビジネスコンテンツやサービスなど、何かを広めたいと思う理由は、それが自分自身にとって大切だからですよね。
私で言えば、ヘナアート(メヘンディ)。元は外国の身体装飾文化です。ほんの15年ほど前の2008年頃の話ですが、インターネットで調べても今ほど詳しい情報はなく、ヘナアートの認知度はかなり低いものでした。

始めた当初の私は、ヘナという植物で肌を染める行為や手法、オリエンタルなデザインの美しさ、こんな楽しいアートがあることをみんなに知ってもらいたい!と思っていました。

「好きなことを仕事にする方法」よりも、「不得意分野の克服」が大事

「好きなことを仕事にする」というフレーズは魅力的なものです。しかし好きなことを仕事にすると、その業界や分野での競争が激しくなる傾向があるため、自分自身がどのように他と差別化していくか、独自の価値を提供できるかを考える必要があります。

また「好きなこと」が仕事になることで、その業務が日々のルーティンになってしまい、自分自身がその業務に対してのモチベーションを失ってしまうこともあります。また、自分自身の成長に繋がらない業務や、自分が苦手とする部分にも取り組まなければならない場合もあるため、好きなことを仕事にすることは常に楽しいわけではありません。

私の場合はデジタルに疎かったことです。当時はiPadとApple penという便利な利器はこの世には存在せず、未経験者がデザインをアナログからデジタルにするハードルが高かったです。

現在ではそういった端末もあり、スマホも高性能ですし、ノウハウはYoutubeで無料で学べ、好きなこと、やりたいことを追求することに関しては大変恵まれているように感じます。

デザインに関することだけでなく、写真や動画撮影の編集、SNSでの発信、そして実務に関しても、それらを活用できていない人は本来の才能を活かせないどころか、「好きなことを仕事にする」事への周回遅れをとってしまっているのが現状といえないでしょうか。

「広めたい」の本音

私が初期に「ヘナアートの楽しさを広めたい」と思ったのは、知ってもらえないとお金にならないからでした。(認知も乏しく、それ以上に需要がありません)

会社員時代、趣味でヘナアートをやっていた頃は、今よりももっと認知されておらず、人とは被らない変わった趣味、総じてマイノリティであることも自分らしさの要素でした。

ですが状況が変わり、仕事を辞めたばかりの私は、すぐに再就職する気になれず、少額でもいいので自分の出来る事(唯一やる気になったもの)で収入を得たいと思い始めました。

そうなると、自己満足の世界から這い出て、ヘナアートの認知度と需要をどうにか高めて、価値提供する活動をせざるを得なくなりました。ここで趣味だったものを「広める」行動に転換です。

私がやった「広める」方法

広める方法で私がとった方法は、単純ですがSNSでの発信、地域のイベントに出店の他、
「宣伝になるから」と言われて無料施術
「宣伝になるから」と言われて集客見込みないのに出店
なども、何度も何度もやりました。

「宣伝になるから」と親切心でのオファーだったと思うのですが、当時の私は不安定収入だったのと、都心部から離れた土地に住んでいるので、交通費だけでもかなり身を削りました。それでも、「断らない」と決めていたので、声がかかれば出向いたものです。

逆に「これは宣伝効果がありそうだ」と思って自ら飛び込んでも、落ち込むことも多々ありました。

「宣伝になるから」ではなく「勉強になるから」という心構えだったら、もっと違っていたのかも知れません。

今になって思えば、「広めたい」という気持ちでいたのに、収入にならなかったり、身銭を切ることに敏感になっていて、「広める」ことの必要コストは考えていませんでした。
視野が狭いというか、事業者思考がまったく成熟していませんでしたね・・・。

起業ノウハウの落とし穴

特に近年では、少ない費用で高い品質や性能を得ることができるかどうかのコストパフォーマンス、時間効率ばかり追求するタイムパフォーマンスを重視しがちな傾向が見受けられます。もちろんどちらも大切なのですが、経験が浅い人ほど、1個当たりのコスパを気にしたり、1日当たりのタイパを国内の最低賃金(時給)に換算して判断しがちです。
起業して事業者を志しているのに、消費者、労働者目線のままなのです。

とはいえ、数年続けているともっと長いスパンであらゆる物事を捉えれるようになるでしょう。初期に陥りがちなのは、先走りすぎ思考と豊かではない経営体力が、コスパやタイパに振り回されるせいで、志半ばで挑戦から降りてしまうことです。

経営体力をギリギリで保ちつつ、タフな選択を繰り返し、思考筋肉をつける活動方法だと、すぐに諦めてしまうことはありません。綱を緩めたり締めたり、動かしながらバランスをとっていくイメージを早くもつことがポイントです。

余談

起業系セミナーやオンラインサロン、自己啓発&起業系のYoutube、ビジネス書を鵜呑みにしてそうな人はこんな人です。

  • やりたいこと、好きなことだけやる

  • できないことは外注したらいいという考えだけど、お金がもったいない、もしくは余裕がないので外注してもいない

  • SNSで不特定多数の繋がり、もしくはグループを作ろうとする(でも薄い)

  • その道のトップもしくは影響力のある人に会いに行く
    (会いに行くだけ)

  • 感謝

  • 行動力だけある

  • 人を巻き込む(巻き込んで自分だけゴール)

  • 関係構築ができていないのに、相手に自分へのアドバイスを求める(聞くだけ)

  • 実務が苦手

  • 自己投資はセミナー代にしか使っていない

  • 肩書きがびっくり

  • 他社、他人のビジネスモデルをコピー(最短方法だけ知っている、がそれもやれていない)

  • 他人のビジネスに乗っかって、数字だけ(稼いでる金額)で偉くなった気でいる。

  • 失敗経験が乏しい

  • 他人と他人を繋げたがる(当事者置いてけぼり)


SNSを通じて知る経営者はこういったタイプの人が多く、でも実際に出会う経営者はこういったタイプの人は滅多に会いません。これはどういうことなのでしょうね。
しかし、稀に出会うと強烈な印象を持ちます。彼ら彼女らは誠実な態度とは言い難く、一切こちら側を見ていないという印象を持つことが多いです。

テクニックを駆使して器用に渡り歩く事が自分に向いていないと感じる人は、ゆっくりだけど実直なやり方を試してみてください。

主体性が相手に伝わっていない

「〇〇をもっとみんなに知ってもらいたいんです」

説明不足だと「知ってもらいたい」が「買ってもらいたい」に聞こえてしまいます。まず共感を得られるように説明し、そのサービスを受けたい、買いたいと思ってもらえるようになるのが理想です。

私は中南米原産のジャグアフルーツを使用した消えるタトゥー用インクを化粧品原料として国内に輸入し、商品製造販売を手掛けた「0→1」のビジネスをやっています。
ですので、その難しさをよく理解しています。

ある方からの相談です。
SNSで告知したり、知り合いに紹介してもらったり、レビューをもらったりと、思いつくアクションを起こしているのに、思ったより広がらないというか、手応えを感じないんです・・・。と、いった内容でした。

すでに市場にあり、一定の需要のあるものなら、それがなぜ他よりも優れているかと優位性を示したり、付加価値を伝えたりといくらでも方法はあります。

そうでない場合、広がらない原因は、おそらく相手に主体性が伝わっていないのではないかと推測します。
もしくは論じた主体性が現実とかけ離れすぎているのかも知れません。どちらも相手に違和感を与えてしまいます。

例えば、あなたがなぜそれをしているのか、それが何の目的なのか、それはどんな価値をもたらすのか、具体的に考えたことはありますか?
企業が策定するミッション・ビジョン・バリューと言われる経営指針ですが、この最後のバリュー(価値)の部分を、顧客がサービスを受けたり、商品を購入して得られる【価値】と置き換えてセールストークを考えてみてはいかがでしょうか。

ミッションを基にビジョンを策定し、ビジョン実現のための具体的な価値基準としてバリューを定めます。これらを策定することで、顧客などの第三者に対して、サービスや商品の存在価値を客観的に伝えることができます。

他人が使ったかっこいい言葉をインターネットで調べたりせず、普段話しているような気軽な話し言葉がいいですよ。
そこをうまく言語化して相手にわかりやすく伝えることが重要で、広める時にはこの3つを同時に伝える必要があります。

どれかが欠けると、相手の理解がゴールまで辿り着かず、せっかくのサービスや商品の価値が、価格だけで判断されやすくなります。
「う〜ん、高いから要らない」
「よくわからないから要らない」
となりがちです。

少なくとも、きっちり伝えた上で「(今は、私には)必要ない」という結論なら、お互いにミスマッチだっただけなので、価値を否定された気にならなくて大丈夫です。一方で、手応えを感じないことが繰り返されるなら、一旦サービスや商品を見直してみるのもいいかもしれません。それがいつでも可能なのが自分ビジネスの良いところです。

私が個人事業主から株式会社へ法人成りするときに、ある上場企業の経営者の方にお祝いでいただいた言葉を紹介します。

「法人格とは、自分がいなくても成り立つ仕組み作りをすることで、いつか自分が立ち上げた会社を去ったとしても、それが社会にとって必要なものやサービスであれば、未来に残って行くものだ。」

と激励していただいたのを忘れません。

結局いまだ1人経営しているものの、ジャグアインク事業に関しては、株式会社とは別に一般社団法人を立ち上げ、私も一員として理事や講師の方々と一緒に協力し、業界の整合性や安心安全への取り組み、知識のアップデートや共有、スキルやテクニックの向上に努めています。

いつか私が業界を去ることがあっても、続けて継続されることでしょう。

上記の「法人格とは〜」のお話は、法人や組織に限ったことではなく、どんなサービスや商品であっても同じことが言えるのではないでしょうか。

まとめ

この記事は、私自身があっちこっちで頭を打った経験をもとに、新規事業の立ち上げ時だけでなく、既存のサービス等を底上げする時にも役立つ考え方をお伝えしました。

ビジネスの相談を受けた際に、「何がしたいのかよくわからない」と感じる事がたまにあります。
熱意は伝わるのですが、点と点が繋がっておらず、他者へ利益よりも自分への利益の話に聞こえてしまう人がいます。

働く理由は人それぞれなので、どのやり方が正しいのかはわかりません。お金を稼ぐ方法も色々です。もちろん主体性なんてなくても、物を横流しで売ることもできます。

もし思い入れのある事業なら、このやり方を参考にしてもらえると嬉しいです。


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