心の変革がもたらしたもの ~【櫻坂46】パフォーマンス形式の変遷~
ストリーミングで音楽を聴くようになってから、プレイリスト作りが非常に簡単になった。発表されている曲から、お気に入りをまとめて、視聴したい時の雰囲気ごとにリストの作成できるので、よく利用している。
プレイリストを作成するタイミングとしては、ライブが開催されている時が多い。セットリストの発表に合わせて、リストを作成し、ライブの雰囲気や世界観を擬似的に味わいたいからである。
櫻坂46のライブは、楽曲ごとの世界観はもちろん、曲のつながりによって、物語性がある演出をしているので、今回はどんなテーマなのか思い描きながら聴くことになる。そんな時、曲の印象が全く違ってくることが度々ある。いつも聞き慣れているはずの楽曲の、違った一面を知るきっかけとして、ライブのセットリストの再現はなかなかよい。
こんな楽しみ方が出来るのも、欅坂46や櫻坂46の面白さである。
欅坂46時代からの伝統であるが、彼女たちの楽曲は、何度触れても、常に新しい発見がある。
①楽曲が初解禁されたとき
②MVが発表されたとき
③歌番組でパフォーマンスを観たとき
④ライブでパフォーマンスを観たとき
以上のように、楽曲に触れる機会ごとに、印象がガラッと変化するのだ。加えて、③や④の段階では、番組やライブ会場ごとに、振りを変えてくるので、ファンとしては、本当に楽しみが尽きない。
「アンビバレント」で音楽番組に出演することが多かった2018年の年末などは、センターが毎回変わり、フロントメンバーのフォーメーションも変えてきたことから、かなり話題になった。ファンの間で、「もんビバレントがいい」「ぽんビバレントがいい」「理佐ビバレントがいい」などと盛り上がっていたのが懐かしい。
年末の音楽番組は、スケジュールも詰まっているため、ただ出演するだけでも大変である。当然、レッスンをする機会もままならないことから、同じ振りで出演してくるアーティストも多い。そんな中でも、しっかりと、振りを変更して臨んでくる彼女たちの姿勢には、本当に驚かされた。
最新シングル「流れ弾」のパフォーマンスでも、番組ごとに変化させてきており、彼女たちの進化の歩みが止まっていないことを見せつけてくれた。
このように、グループが強くなったのは、2017年の全国ツアーで、センター不在という局面を迎えてからである。
センターがいない状態で、ライブをしなくてはいけないことになった時、センター以外のメンバーは、為す術がなかった。センターポジションをあけ、彼女の歌割りが代わりに歌われることもなかった。
これは、ただ手をこまねいていたというだけではないだろう。
どちらかといえば、「21人の絆」という思いが、そうさせていたのではないだろうか。「センターは、すぐに帰ってくる」ということをメンバー全員が信じていたからこそ、何もしないことを選択したように思う。各々は口にしないが、メンバー同士が不器用な優しさで結びついているというのも、彼女たちの魅力である。
しかしながら、そんな願いも虚しく、これ以降、センター不在となることが増えてくる。いよいよ「代理センター」というパフォーマンススタイルをとらざるに得ない状況に追い込まれる。
初の武道館ライブの時も、準備が間に合わないという理由で、全日程をけやき坂46に譲ることになってしまったのだが、このことも、奮起のきっかけとなったのだろう。
それからは、たとえ全員が揃わなくても、つねに「その時の最高を見せる」という覚悟ができたことが、パフォーマンスからも伝わってくるようになった。
覚悟が決まってからの進化は凄まじかった。
センターポジションに立つメンバーたちが、平手さんとは異なる形で、楽曲披露できることを見せつけてくるようになったのだ。いろいろな個性を持つメンバーが、次々とセンターとして登場する「アベンジャーズ」のようなグループへと変貌し、平手さん無しでも、十分に勝負ができる体制を調えることに成功する。
武道館ライブを譲った時とは異なり、どのポジションでも即座に対応できるようになったことから、どんなトラブルが起きても、何事もなかったかのようにパフォーマンスを続けることができるようになった。
櫻坂46となってからも、BACKSメンバーにもセンターやフロントを経験させる機会として、『BACKS LIVE!!』が開催され、彼女たちの意識を大きく変革させるきっかけが与えられている。
誰がセンターに来てもおかしくないグループは、とても強い。シングルごと、ライブごとにセンターを変えることが出来るからである。
その日の調子や勢い、開催される会場の場所などで、センターを変えてパフォーマンスすることも可能であろう。これが出来るようになれば、全国ドームツアーやワールドツアーなどの局面になっても、何の心配も無く、ライブを続けていくことができる。
初の全国ツアーも、10月末で無事終了した。その最終日には、『1st YEAR ANNIVERSARY LIVE』の開催が発表された。(12月9~10日。於:日本武道館)
次の公演まで少し時間があいていることもあり、どのような演出となるのか、今からとても楽しみである。
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