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「全体」と「細部」 ~【櫻坂46】MVの紹介方法の違い~

3月10日に「五月雨よ」のMVが公開されてから、残りの2曲分のMVが解禁されていない。
じっくりとファン側の興味を抱かせるように解禁するやり方自体は、大いにやっていくべきであるが、忘れられてしまうようでは本末転倒である。
幸い、You Tube急上昇ランキングでは、上位を維持しているため、世間に対して、4枚目シングルのアピールという意味では、十分出来ていると言えるだろう。
メンバーの皆さんも、ラジオやTVに出演した際は、MVも含めて告知を入れているようだ。
その告知方法をみると、彼女たちのやり方には、一つの特徴がある。

日向坂46の「ってか」のMVが公開された時、MVの中に様々な仕掛けがあることが紹介され、それを探すために何回も見返すファンが続出した。
「日向坂で会いましょう」でも、MVが出る度に、メンバーが自分が注目して欲しいポイントを紹介する企画が放送されるのだが、これも、MVの細部に注目してもらうことで、再生回数の伸びを期待しているのだろう。
松田さんのように、もう通常の再生速度では分からないレベルのポイントを、ブログで細かく紹介してくれるメンバーもいるため、ついつい、それを確認することになる。
このような地道な活動が功を奏しているのか、日向坂46のMVは、かなり再生回数が多い状態を維持している。
キャッチーな振付が多いこともあり、彼女たちのダンスを真似したい人たちが多いことも、再生回数の増加に繋がっているのだろう。

その点、櫻坂46は、そのような紹介をすることは余り多くない。
雑誌のインタビューやFC限定配信ラジオ「さくみみ」で、MV撮影中のエピソードなどが紹介されることはあるが、どちらかと言うと、全体を一つの作品として、まるごと受け取って欲しいと考えていることが、メンバーの紹介の仕方から感じることが多い。
欅坂46の初期には、平手さんが、MVの注目ポイントをブログで紹介していることもあったが、次第に、あえて説明しないスタイルがとられるようになっていく。
あくまでも、観る側の感性に委ねるという紹介方法を貫いているとも言えるのであるが、これは、観客側の好き嫌いに大きく左右されてしまうことから、単純に再生数を伸ばすと言う意味では、余り効果的とは言えない。
それでも、公開すれば、すぐに数千万の再生回数を叩きだしていたので、内容に余り触れない紹介方法でも、世間に対するインパクトは一定以上のレベルに達していたと言えるだろう。

櫻坂46となってからは、1000万回を越えることが非常に難しくなってしまった。
再生回数が一番多い「なぜ恋をして来なかっただろう?」でも、まだ994万回である。(2022年3月現在)
再生回数が全てではないのだが、評価の一つの指標であることは確かである。
この違いを真摯に受け止めて、何らかの対策を講じていく必要があるのかもしれない。

芸術の分野では、どんなに制作過程で努力や苦労を重ねていたとしても、結果=「作品」が全てである。
音楽の世界で言えば、舞台上のパフォーマンスや映像などのメディアに収められたものが、評価の対象となるという厳しさがある。
そのような意味では、櫻坂46のように、「作品」を鑑賞してもらって、そこから、各々で感じてもらうという、正統派なやり方ストロングスタイルが本来の形であることは間違いない。

表現者として、このやり方が、どこまで通用するのか。
今まさに正念場と言えるのかもしれない。





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