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正しい言葉で話す努力 ~【櫻坂46】慣用句の意味と使い方を学ぶ~

 外番組に出る時にメンバーの皆さんが、「爪痕を残す」という言葉を使っているのをよく見かける。これは、「印象に残る言動によって、グループの知名度を上げる」という良い意味で使われているようだが、どうしても、この表現に違和感がある。
 この違和感は、40代以上の大人が特に抱くようである。元々、「爪痕」という言葉には「①爪でかいた傷あと。②災害や事件などが残した被害のあと」という意味があり、どちらかと言うとネガティブな意味が強い言葉である。(『大辞林』参照)
 そのため、彼女たちが使っているような意味を表現する場合には、「成果をあげる」「足跡を残す」という言葉の方がしっくりくると感じてしまうことから、どうしても違和感を覚えてしまうのだ。
 芸人さんが有名な番組などに出演する時に、「番組の中で大暴れをして、世間に(台風並みの)大きなインパクトや印象を残す」という意味で使っているとすると、あながち間違いとは言い切れないのかもしれない。
 一種の業界用語として、一般の人にも少しずつ浸透してきているので、段々、違和感を覚えることも少なくなっていくのだろうが、それでも現時点では正しい言葉遣いを選択した方が、印象がよいのは確かであろう。
 歌詞を読み込み、その中にあるメッセージを伝えることを生業なりわいとしている以上、言葉に対する感性を鋭くしておいて損することはないだろう。

 先日たまたま目にした番組では、有名なダンサーさんたちの素晴らしいパフォーマンスを観て、「いた口がふさがらない」というコメントをしている学生がいた。これもよく間違った意味で使われる言葉であろう。辞書をいろいろと調べていくと、あながち間違いではない用例もあるようだが、現代では、一般的に「言動などのあまりのひどさに、あきれたり驚いたりする様子」を表すネガティブな意味をもつ言葉である。
 同じ状況を表現するのであれば、「感動のあまり呆然としてしまった」「驚きのため言葉を失った」と言う方がぴったりかもしれない。
 先ほどの学生さんも、「あまりの衝撃にあんぐりと口を開けて見とれてしまいました」と表現したかったのかもしれないが、あのような発言をしているようでは、きちんとした大人から、余り良い評価は得られないだろう。

 シングルの発売やライブの告知などで、グループを代表して外番組にでるような場合には、特に注意して、正しい言葉遣いが出来るように準備しておくことが肝要である。
 


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