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ムーンライトながら廃止を受けて日本の鉄道の未来を考えた

2021年1月22日(金)、タイトルの通り日本で唯一残っていた夜行快速の廃止が発表されました。2020年夏と冬のシーズンは運休という形だったのが、ここにきて廃止、このご時世なのでラストランというものもないしひっそりと姿を消すわけです。詳細は各専門webメディアを見ていただきたいです。

JR東日本・JR東海のプレスでも増発列車のタイトルとは一変、その他という形で記載されてます。

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「列車の使命」だの「車両の老朽化」だの御託を並べてますが、まぁ皆が言うようにはっきり経営合理化といえばいいのに。深夜に運行することは人件費もかかるし、新幹線なら何倍も利益がとれるのに安く移動されちゃうし、当然儲からない電車であることは事実だと思う。

といっても車両の老朽化については、別にJR東日本なんて車両使用サイクルが短いから使えそうな車両はいくらでもあるし。何なら成田エクスプレスなんて現状無用の長物なんだし、大船で眠ってるでしょ。

ネットの意見としては、寂しい、懐かしい、仕方ないとか、サービス列車だから運行してくれてたことに感謝とかあるけど、普通にはっきりこういいたいのですが。

経営努力をしてください

ちょっと乱暴だけど、別に前述の通り車両なんか変わりがいくらでもあるし、JR西日本は同じくらい古い車両を改造して夜行列車として走らせてますけど?

夜は貨物列車は普通に走ってるんだし、深夜沼津とか静岡とかで人を乗り降りさせなきゃ駅員はいらないよね?

指定席券500円だって、倍くらい値上げしても利用者はいるだろうし、企画乗車券にして払い戻しハードルを上げる(転売防止)んでもいいよね?

まぁいろいろ理由があるんだけど、まず一番の理由はJR東日本とJR東海が共同でやってるから売上と負担の分配調整が必要というしょうもないハードルがあるんだよね。

乗客のマナーが悪いってのは事実だと思う。防犯上消灯できないし、グループでお喋りとか飲食とか、座席の占有とかいろいろ言われてたし。でもそれってほかのどの乗り物でもあるんだよね。逆に言えば消灯車両とかお喋りOK車両みたいに値段変えて売ればいいし、どうしても暗くて一人席がいいなら夜行バスだってあるし、新幹線や飛行機乗る人はそもそもターゲットじゃないし。

儲からないっていうのも、朝から伊勢・志摩観光して翌日名古屋城行って新幹線で帰るとか、朝からTDS行って翌日は東京で買い物してもらって新幹線で帰るとか。駅に温泉施設作って乗る前に利用してもらうとか、そういう売り方してトータルで儲ければいいじゃん?

というかね、一番声を大にして言いたいのは、Japan Rail名乗るあなたたちが

日本の「列車の使命」を創造するんだよ

百歩譲ってはっきり経営合理化ですならわかるけど、なーにが列車の使命が薄れただよ、行動様式が変化しただよ。鉄道会社が鉄道を軸とした行動様式を考えて、提供しなくて何をするわけ?新幹線走らせるのが使命であり、高速移動こそ行動様式というなら、ローカル線なんて廃止してしまえ。

JR東と東海は民営企業だし一部上場企業に何を言ってるんだと思うけども、こんな小さい国でセクショナリズムやってどうするんだろうってのは最近強く思う。まさにムーンライトながらが2社にまたがることの不便さの象徴のようなものだと思った。1社完結なら儲かる仕組みもコストダウンも考えやすいし。もし東海とか東とか関係なく線路を自由に使うという制度があれば、ソフトバンクながらとかで存続させてもいいわけで。

こんなつまらないことですら弊害がでるというなら、30年以上続いたJRも改革があってもいい時期だと思う。上下分離方式(線路を保持する会社と運行する会社を分けて、線路保持する会社は線路使用料をとる)が解ではないだろうし、長距離列車が廃止されたり弱小地方ローカル線がどんどん弱っていくのを止められないのであれば再国有化でも。国鉄が赤字体質で労組がヤバイとか平成生まれの私にとっては歴史の1ページでしかないから国営が良かったかどうかわからんけど。

そもそも日本は人口減少してるし一極集中すれば地方路線がより利用者が少なくなる悪循環。そこでコロナですよ。頼みのビジネス利用も今後リモートワーク、オンライン会議等が普及すれば不要不急の出張や通勤だって減るのは自明。インバウンドも激減状態(これはそのうち回復するけどそれまで北海道や四国が耐えられる保証ないし)

じゃあ旅行してもらうしかないじゃんというわけだけど、世の中的にそんなの声を大にして言えない心情もわかる。だけど通勤電車は良くて、なんで旅行はだめなの?JR西日本も2人以上じゃないと使えないパスとか出してたし謎よね。航空会社とか旅行会社とかバス会社とか大打撃でしょ。だったらすべきなのは二階に金積むことじゃなくて、安全な新しい旅行様式ってのPRすることでは?鉄道会社は鉄道をPRすることでは?

私が一番危惧してるのは、このコロナで旅行=悪というレッテルが張られることよりも、夜行列車や風光明媚なローカル線といった鉄道旅行文化が衰退することなんだよね。

これはコロナ前から繰り返し言ってきたんだけど、日本はとにかく若者が格安で鉄道旅行する手段が少ない。少子高齢化金のある老人や勢いのあるインバウンドを頼りにするのもわかるけど、今回のムーンライトながら廃止のような金ないけど時間と体力がある若者が工夫して鉄道旅行するという選択肢をつぶさないでほしい。

若者に安い手段を提供することは損ではないのよ。今多少利益とれなくても若いうちに旅行に親しんでもらってらば、将来結婚したら夫婦で、子供ができたら一家で鉄道を利用するという選択肢を作ってもらえる。子供が成長したら一人旅、今度は孫連れてあの時どこどこいったね!って、何十年とサイクルができるわけ。そういう先行投資という考えはないのかなって。鉄道に慣れ親しんでなければ、鉄道の不便さと楽しさを天秤にかけたとき不便さが勝つ場面が多くなるのは当然。

鉄道はエコでバリアフリーとか最近はやりのSDGsとか壮大なテーマもあるけども、JRには鉄道旅行文化の発信者たろう、日本の地方創生を担うプレーヤーたろうという気概がないのかなって。未曽有の国難であるコロナに対しても、公共交通機関であることを忘れてセクショナリズムと利益主義に走り、鉄路を分断していくさまを見ているとすごく悲しくなります(じゃあお前が就職して改革を)。

長くなったけども、今回のムーンライトながらの廃止というのが日本鉄道の未来がどうなるのかという問いに対して、象徴的な出来事だと思いましたので一鉄道旅行オタの考えを書いてみました。ムーンライトながらからかなり飛躍してるけど。






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