ビッグアーサーとニジンスキーの親和性を考える
ビッグアーサー産駒の収得賞金トップ3のトウシンマカオ、ビッグシーザー、ブトンドール。この3頭はいずれも母方に『ニジンスキー』の血を複数もつ共通点があります。
ニジンスキーはかなりメジャーな血。母方の血統内に複数存在すること自体は、それほど珍しくはありません。たまたまトップ3がそうであった可能性もあるでしょう。ただ個人的に、これは偶然ではないとみています。
ニジンスキーという血には、ちょっと面白い効果があります。それは「パワー系・ノーザンダンサー血統のクドさを中和する」というもの。以前はハービンジャー産駒でよく見られた手法ですが、いまはビッグアーサー産駒で活用されているようです。具体例を挙げたほうがわかりやすいと思うので、実際にビッグアーサーを例に説明します。
ビッグアーサーは血統内に「パワーを伝える、ノーザンダンサー系の血統」を三つ抱えています。ノーザンテースト、ヌレイエフ、サドラーズウェルズです。これらはいずれも優れた名血ですが、さすがに三つも固まっていると影響が強くなりすぎます。次世代となる産駒の代では、緩和したいところです。
そこで用いるのがニジンスキー。相手となる繁殖牝馬からこの血を補給すると、ノーザンダンサーのパワー色が薄くなるのです。
ニジンスキー自身も、父にノーザンダンサーを持つ血統。大枠で見ればノーザンテースト、ヌレイエフ、サドラーズウェルズとおなじ仲間です。そうであるにもかかわらず、ノーザンダンサー色を薄めてくれるというのが不思議な感じはしますね。ただニジンスキー自体は上記3血脈とは違い、パワー血統ではありません。胴長体型による、ゆったりとしたストライド走法を持ち味とする競走馬でした。パワーによる硬さをほぐすという見方をすれば、理にかなった組み合わせのようにも思います。
ニジンスキーは半世紀近くもまえに誕生した存在。いまでは血統表の奥にあるような古い血です。母方に1本あったくらいでは、大きな影響をもたらすことはないでしょう。ビッグアーサーのノーザンダンサー的なパワーを薄めるのであれば、それに負けないくらいの量がほしいところ。活躍馬のトップ3がただニジンスキーをもつのではなく、複数本もつというのにも、相応の意味があるのではないでしょうか。
この仕組みを活かした活躍馬
※活躍馬がでるたび追記します
トウシンマカオ
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