ニコチン依存症管理料に1回払いが新設

ニコチン依存症管理料に“1回払い”が新設〈2020診療報酬改定〉

 ニコチン依存症管理料も、クリニックさんで算定件数が多い点数です。加熱式タバコ適用の話題ばかりが注目されている雰囲気ですが、今回の変更点は大きく3つ。
 ① オンライン診療の対象に 
 ② 5回の治療を一連とする項目を新設
 ③ 加熱式たばこの喫煙者も対象に
 ── です。

【ニコチン依存症管理料】 
1 ニコチン依存症管理料1
 イ 初回   230点
 ロ 2回目から4回目まで
  (1) 対面で診察を行った場合 184点
  (2) 情報通信機器を用いて診察を行った場合 155点
 ハ 5回目 180点

2 ニコチン依存症管理料2(一連につき) 800点

1.ニコチン依存症治療にオンライン診療

 ニコチン依存症管理料の算定は、12週のうちに5回まで。各回おおよその日程が決まっています。この5回の治療日のうち、初回と最終回は対面が前提で、2~4回目についてはオンライン診療も認められることになりました。

 オンラインの場合は、少し点数が低くなります。一方、患者の受診負担を軽くして、治療中断を減らすことの期待があるのでしょう。

 厚労省の報告書によると、H29年度の調査で、5回治療を完遂したのはたったの3割だったとのこと。

 禁煙の成否は、5回きちんと終了した人ほど禁煙継続割合が高く、5回完了できなかった人のなかでも、治療を受けた回数が多いほど、禁煙していた割合が高い(治療中止時の状況ですが…)。

 できたら5回治療を受けてほしいし、たとえ5回は無理でも3回より4回、4回が無理でも2回よりは3回、つづけて受診してほしい。そうすれば禁煙成功者が増えるだろう、ですね。治療中断は医療機関にとっても、入るはずだった医業収益の欠損になりますから、重大事項です。

 とはいえ、オンライン診療をするには、基準を満たさなければならず、新たに導入するには機器やシステムの用意だけでなく、必要な研修を受けたり、施設基準の届出を出したり、のハードルもあります。自院の患者にはニーズがあるのかは、始めてみないと本当のところはわからないという面もあるので、収益がどうなると予想されるかよりも、先生がやりたいかどうかを優先して検討されるのがいいのではと思います。

2.5回まとめての評価が新設

 対面の点数を再掲します。

1 ニコチン依存症管理料1
 イ 初回   230点
 ロ 2回目から4回目まで
  (1) 対面で診察を行った場合 184点
 ハ 5回目 180点

2 ニコチン依存症管理料2(一連につき) 800点

 1は、受診の日ごとに算定。5回完遂すると、230+184×3+180=962点です。

 2が、一括前払い的なものですね。1で5回完遂した場合に比べると、合計点数は少なくなります。治療中断のリスクをかぶるより、医療機関にとってもありがたい面もあります。また、患者さん側にとっては「行っても行かなくてもお金は返って来ないから、頑張って禁煙治療に行こう!」で動機づけにつながり、完遂率が上がることも考えられます。

3.加熱式たばこの喫煙者も対象に

 これは文字通りです。ギャンブル依存症に対する治療が保険適用という話題と合わさって、一般のニュースでもよく取り上げられているので、ここでは省略します。


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