会話できないなら、グローブを一緒にはめよう。
ふと今朝思い出したことがある。
上手く笑えなかったこと。
以前、働いていたとき。
そのときはもうボロボロすぎて、帰りの電車でいきなり涙がツーッと出てしまうことがあるときだった。
「この会社をどんなふうにしたい?」
入社面接であるような、シンプルな質問を問いかけられた。その人は中途採用で働き始めたばかりの、キラキラした人だった。
どんなふうにしたい。
私も入社当初は、あった。
でも、そのときは前向きなことを答えられず、ただ「現状こうなので、ここを改善したいですね」と、守りの姿勢の回答しかできなかった。
そのとき、私はその質問に泣きそうになっていた。そんなことを考えるの、無理だよ、と思った。
だって、余裕がない。
もうボロボロだ。
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私が会社を去るとき。
「あのときの状況を、あとで他の人から聞きました」と言われた。
別にその人は何も悪いことをしていない。
ただ、そのとき私はそういう状況で、そのタイミングで彼は入社しただけだ。
でも、前向きな質問は、時にとても痛い。
その質問に素直に答えられないほど。
自分以外の人が、今何を抱えているのかは分からない。
だからこそ、言葉に違和感があったとき、キャッチボールできないとき、そんなときはグローブを一緒にはめることから始めたいと、そう思った。
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