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近代文学を理解したい!(川端康成編)▶youco

さて前回は、日本近代文学館で開催されていた芥川龍之介展について投稿させていただいたわけですが、今回はその続きです。

自分でもうっすら気付き始めていますが、「近代文学を理解したい!」と大きく書いたわりに、どうやら日本近代文学館で鑑賞してきた展示のご紹介になってしまいそうです…。

さあ、開き直って次の展示室へ参りましょう。川端康成記念室です。「川端文学の名作」と題した春季特別展が開催されておりました。

川端康成は、この日本近代文学館の初代名誉館長です。文学館の略年表によると、1962年に設立準備会が発足。その設立発起人の一人に川端康成も含まれており…というより、中心メンバーだったのでしょうね。設立に際し、挨拶回りも積極的にされていたそうです。

また、この設立を記念した展覧会が開催され(「近代文学史展」@新宿・伊勢丹)大変盛況だったそうです。この頃は同じようにあちこちの百貨店で文学展が開催されていたようで、近代文学というものが大きなブームを生んでいたのだと窺い知れます。

作家活動だけでなく、近代文学の資料保全・研究発展に尽力していた川端康成ですが、今回鑑賞した特別展は、文壇デビューから戦中までの前期作品を中心としたものです。

当時、浅草ブームを起こした「浅草紅団」。川端本人が言うには、発表と同時に注目されたのはこちらの方(伊豆の踊子と比べて)だとのこと。続編を書くにあたって読み返したら4日もかかり、“吐き気を催すほど厭であった”そうですよ。川端作品の中では異質で、ちょっと読んでみようかしら、と食指が動きました。

「雪国」の創作メモの細かさには驚きました。やっぱり大作には細かいプロットが必要なのですね。何度も推敲を重ねた様子も、直筆で見せられると真に迫ります。

「禽獣」の展示では、川端が、よその作品に「もっと動物について詳しく描写した方がよかったのでは?」というような書簡を送っているのが面白く。

「伊豆の踊子」では、ブームに巻き込まれ嫌な思いもしたようだ…などというエピソードも見聞きして。

それにしても、近代文学館の膨大な資料から、展示会に合わせた資料をチョイスして組み合わせるというのは大変な作業でしょうね。
よく訪れる東京国立博物館でも思うことですが、膨大かつ貴重な資料や文化財を、私のような門外漢にもよくわかるように展示してくれている学芸員の方々には敬服します。

どこに何が仕舞ってあるのか、それはどういうものなのか、それに関連するものはどこにあるのか…そんな諸々を把握し、管理されているのでしょうね。きっとご自宅も整理整頓されているのでしょう…と、余計なことに思いを馳せつつ、日本近代文学館をあとにしたのでした。(できれば同じ駒場公園内にある旧前田家本邸見学記も書きたかったのですが、そちらはまた別の機会に。)

結局、“近代文学”というもののさわりどころか、一瞬同じ空気を吸ったかな、くらいの接触しか果たせなかった私ですが、まあ、千里の道も一歩から…という気持ちで、今後も少しずつ近代文学に触れていこうと思います。

皆さまの参加を心よりお待ちしております。
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【投稿者】youco

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