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読書会に行く理由▶︎チャーリー

横浜読書会KURIBOOKSの映画祭の司会を担当しています チャーリー  です。

横浜読書会KURIBOOKSー好奇心を解き放とう
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僕が初めて読書会に参加したのは2016年11月6日の「朝の横浜読書会」だった。
読書会なんて行かないと思っていた僕がなぜ今は読書会に行き、そして通い続けているのか?
その理由は二つある。

一つ目の理由は、僕は寂しかったのだ。

僕には息子が二人いて同じ私立の中高一貫校に通わせたのだが、僕は8年間その学校のPTA役員をしていた。校長先生はじめ、若手からベテランまでの教師陣、保護者の人たちと会い、交流して、色々な活動をしていた。
学校には毎年新入生が入学する。毎年その百名を超す生徒の保護者の人たちとの繋がりが増える。会社の仕事で会う人たちとは別の様々な世代、出自、職業の人たちとの交流があるというPTA役員という役割が僕は好きだった。
しかし、それが2016年春の息子の卒業と同時に終わってしまった。その喪失感はちょっと大きかった。
つまり、僕は寂しかったのだ。

もう一つの理由は一冊の本との出会いだった。

アン・ウォームズリー著 「プリズン・ブック・クラブ ー コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年」(Ann Walmsley  “THE PRISON BOOK CLUB”)

カナダ在住の女性ジャーナリスト アン・ウォームズリーが自分の経験をもとに書いたノンフィクションだ。
彼女は暴漢に首を絞められて窒息死しかけた経験があり、その恐怖感がトラウマとなり、一時は外出することさえ困難になってしまう。そんな時、友人からコリンズ・ベイ刑務所の囚人を対象とした読書会のファシリテーターをしないかと誘われる。
刑務所内の読書会だから参加者は当然囚人のみ。彼らは模範囚だが、嘗ては強盗や殺人などの重犯罪を犯したことがある者たちもいる。そんな彼らと看守も立ち会わないスペースで対峙しなければならない。まだ恐怖感から抜けきれない彼女は自分にできるのか?と不安を感じつつも、友人の力を借りて読書会に参加する決心をする。
読書会は課題本を読んでその感想を語り合う形式。そこで彼女が見たのは充分な教育も受けていないにも関わらず、思いもよらないほど深く登場人物の心情を観察していたり、同じ登場人物に或る者は同情を寄せ、また或る者は強く批判し、その意見をぶつけ合うという姿だった。
年月とともに参加者の入れ替わりや彼女の心の変化が語られ、彼女のトラウマは少し緩和されるものの、この本には結末めいたものはない。

ただ、読み終えた僕にはこのコリンズ・ベイ刑務所読書会に参加してみたい、本を読んだ感想を自分の知らない色んな人と語り合いたいという衝動が湧いていた。読書会こそが僕の喪失感を埋めてくれるのではないか…。
そういう思いで探し当てたのが KURIBOOKS 横浜読書会 だった。

それから既に7年。
二人の息子たちは社会人となり、僕は老眼鏡をして本を読むようになった。毎月行く読書会では必ずといっていいほど初めての参加者と出会う。彼女や彼が僕の知らない本を教えてくれ、僕が読んだことのある本を紹介する人は僕と同じ想いをしていたり、僕が気づきもしなかった視点を教えてくれる。

この僕の物語がどんな結末に至るのか僕は知らない。
でも、僕は今も読書の虜(とりこ)だ。

蛇足。
この話にはちょっとした挿話がある。
2016年11月6日の朝、僕は赤い装丁の「プリズン・ブック・クラブ」の本を持って、「朝の横浜読書会」に参加した。
初めての読書会だったので少し緊張もあり、他人の本の紹介を聞きながらも自分はどうやってこの本の素晴らしさを、僕が何を感じたのかを説明したらいいのだろう?という焦りのようなものが頭の中で渦巻いていた。
そして、あっという間に僕の一つ前、隣に座っていた女性に順番が回ってきた。さあ、彼女が終われば次は僕だ。どうする?

僕の隣で彼女がバッグから赤い装丁の本を取り出すのが見えた。
それはアン・ウォームズリー著 「プリズン・ブック・クラブ ー コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年」だった。彼女は溌剌とした口調でその本について語り始めた。

そんなわけで僕は今も KURIBOOKS 横浜読書会 の虜だ。

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【投稿者】チャーリー

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