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暮瀬堂日記〜暦売

 アメ横の外れ、首都高の高架下辺りで休憩を取りながら季寄せをめくっていると、近くの文具店で暦の並んでいるのが目に入った。


「暦売」の季題が詠まれることは少なくなるも、往来で季節を感じられる商いであった。かつては、年の瀬が近づくと辻立ちする暦売の姿が見られたようだが、今では神社などで歴注が売られているくらいであろう。

  ほうかぶりして懐手して暦売 曲室

 などは、師走の雰囲気が伝わり面白い。

  暦売寛永寺から両国へ

 上野の観音様から、両国回向院への参拝客を目当てに売り歩いた姿を、思い浮かべた。

  暦売ふんどし担ぎをよけにけり

 更に、両国に参れば相撲取も行き交うだろう、と一句を戯れてみた。


(二〇二〇年 十ニ月六日 日曜 陰暦十月廾ニ日 小雪の節気 橘始黄【たちばなはじめてきばむ】候)

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