暮瀬堂日記〜枯木
街路樹の葉も雨のように降りそそぐ光景が見られるようになった。
中には枝が露わになり、裸木になっているものもある。
枯木は季語では冬季にあたり、枯れたように見えるのでそう呼ばれるが、立枯れのように枯れているわけではない。
色彩を失い、モノクロームのようになった様に、蕭条とした気配を感じさせられる。
蜘蛛の巣を鳥に切らるゝ枯木かな
三叉路で信号待ちをしていると、鳥に破れた蜘蛛の巣を垣間見た。こんがらがった糸は細くなり、主の姿はすでに無く、日に日に冬めくのが、感じられる束の間であった。
※枯木……裸木。枯枝。枯木立。枯木道。枯木宿。枯木星。冬の季。
(二〇二〇年 十一月十七日 火曜 陰暦十月三日 立冬の節気 金盞香【きんせんかさく】候)
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