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暮瀬堂日記〜簾と嶺上開花(リンシャンカイホウ)

「ねえ、ぴょん吉の家に何か名前をつけない?」
 と家人に言われ、即座に出た言葉が、
「じゃあ、ホワイトハウスだなあ」
 であった。
 100円ショップで材料を買ってこしらえた自慢のゲージである。床上げして、ウンコをまめに捨てられるようにしたり、外壁に二つのロフトを作りくつろげる、など工夫をこらし、どこにも売っていない立派な家に仕上がった。


「なんでホワイトハウスなの?」
「見ての通り周りが真っ白だし、なんと言っても、ぴょんぴょん(ぴょん吉の愛称)は我が家の大統領だもん」


 ぴょん吉が来て昨日で二ヶ月、身体は倍近くに大きくなっている。と言うことはプルが天国に行ってから、もう二ヶ月と十日になるのだな、あっという間に時間は流れてゆく。本当に、月日は百代の過客なのだと実感する。

 かつて雀卓があった所に今はホワイトハウスが建っている。プルはおとなしかったので、雀卓の上で盲牌を覚えさせようとしたが、「白」だけしか分からなかった。まあ、それも、私の勝手な思い込みかもしれない。


 ホワイトハウスを見つめていると、懐かしい思い出がよみがえって来た。
 簾(簾状のブラインドの様な物)を巻き上げると、ぴょん吉が何となく眩しそうにしたので、また直ぐもとに戻した。早く、簾が要らなくなるくらい、涼しくなればいいのだが、まだまだ残暑は続きそうである。

   簾巻く嶺上開花あがられて

 ちなみに、プルは♂であったが、ぴょん吉はまだどちらなのか分かっていない。リンシャン上がる頃には判別しているかもしれないが、それだとまだまだ先になるだろうな。


(旧暦七月十一日 処暑の節気 天地始粛【てんちはじめてさむし】候)

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