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暮瀬堂日記〜黄金虫

 神田和泉町のライフ脇で休憩を取っていると、プラタナスの幹に光るものがあった。
 風のそよぐたびに洩れる陽が反射したのだろうか、と目を凝らすと、黄金虫であった。身動きひとつせず、じっと葉摺れの音に耳を傾けているようだ。
 
   鈴懸にかなぶん香車の如く待つ

 日が暮れるのを待っているのだろうか、月に光る姿も見てみたいものである。

(旧暦六月十一日 大暑の節気 土潤溽暑し候)

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