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暮瀬堂日記〜二百十日、二百二十日。

 二百二十日である。
 立春から数えて二百二十日目に当たり、「二百十日」「八朔(はっさく)」と共に
気象の変化により暴風雨が来ることが多く、農家の三大厄日とされて来た。
 ちなみに、2001年の米国への同時テロ攻撃も二百二十日であった。無論、和暦の知らぬ西洋では気に留める様子は無かったが、俳諧に触れ始めた私は気になったものである。

  日照年二百十日の風を待つ    素堂
  二百十日目も尋常の夕べかな   蕪村
  月の秋や二百十日の二十日のと  無腸

 古来より俳諧ににも詠まれて来たが、農事が遠いものとなってより、世の中に意識されることは少なくなっている。俳諧に触れることにより、忘れられてゆく趣きをすくい上げられるのが幸いである。

   祖父の荼毘すゝける二百十日かな

 四歳の頃、初めて人が死ぬことを知った季節が、今年も思い出された。

※無腸……むちょう。江戸後期の作家、上田秋成の俳号の一つ。

(新暦九月十日 旧暦七月二十三日 白露の節気 草露白【くさのつゆしろし】候)

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